「最初に組むならFIFTY-FIFTY」
──FIFTY-FIFTY Recordsは渡辺さんの影響を受けているようですが、強みを挙げるとしたら?
古川 うちのレーベルはリリイベの会場押さえに関してはめっちゃ強いと思います。
渡辺 タワー(レコード)とか?
古川 タワーレコードさんは渋谷のCUT UP STUDIOであれば、うちが20本分くらい持ってました。
渡辺 すごっ。なんでそんなことできるんですか?
古川 関係を築けたというのもあるし、都内の交通の便がいい新宿、渋谷、池袋のいい会場は空いてるところをガッツリ押さえます。うちとしてはいい会場でリリイベをやれることが大事なプロモーションにつながると思ってるので、会場押さえにはかなり力を入れてます。
渡辺 20本……だから俺ら取れなかったのか(笑)。
──FIFTY-FIFTY Recordsではどんな事業計画があるんですか?
古川 例えばこれは自社所属のDEAR KISSに関してですけど今度投資ファンドのシステムを取り入れるんです。投資をすることでワンマンライブやCDの制作面でいいものが作れるから、試しにやってみようっていうのがあって。
──それは投資ファンドのプラットフォームを作るってことですか?
古川 はい。作りました。
渡辺 システムを? すごっ。
古川 うちのレーベルとしてはこれからシーンを盛り上げていくグループをちゃんとサポートして押し上げるブースター役になれたらなって。ちゃんと飛ばすところまで飛ばしたら、あとはメジャーさんがやってくれればいいと思っているんです。「最初に組むならFIFTY-FIFTY Records」という立ち位置がつかみ取れたらいいなと。
渡辺 インディーズのうちはあんまりテレビの宣伝とか必要ないので、むしろ箱を押さえられるほうが重要ですね。古川さんは箱にもネットにも強いからそういった戦略がうまくできると思うし、一緒にできる運営はラッキーでしょうね。
アヤ・エイトプリンスをください
──FIFTY-FIFTY RecordsではARC∀DIAの凍結が決まった今、新たなプロジェクトのプランはあるんですか?
古川 ARC∀DIAの代わりというわけじゃないですけど、また新しいユニットを作ろうと思っていて。
渡辺 それは1社で?
古川 そのユニット自体はうち1社で見る予定ですけど、ARC∀DIAのように各グループからまた1人ずつ選んでやるユニットを作りたいなと。
──選抜系のユニット?
古川 そうです。ARC∀DIAのプロジェクトを進める中で本当は新メンバーの候補として「この子いいな」と思うボーカリストが何人かいたので、その子たちだけでコンセプトをまた固めて新しくユニットを作ろうと思ってます。候補はもう何人か決まっていて直接話もしてます。とても面白い顔ぶれになると思いますよ。ニュージェネレーションというか。僕はWACKから1人欲しいという話を渡辺さんにはずっとしていますけど、これもタイミング次第ですかね。
渡辺 そうっすね。激動すぎちゃって最近。
──WACKから選抜ユニットに入れたいメンバーは決まってるんですか?
古川 包み隠さず言っちゃうとアヤが欲しいんです。
渡辺 それもどうなるかわからない。今、戦力外通告をしてるので(笑)。
古川 (笑)。あの発表にはびっくりしました。戦力外ってことは辞めちゃうの?
渡辺 可能性ありますね。
古川 それは渡辺さんとしてはいらないってことですか?
渡辺 いらないっすね。現状、戦力外通告したあの4人はいらないっすね(笑)。
古川 えー(笑)。
渡辺 合宿で変わってくれたらいいなとは思ってますけどね。最近うちの所属アーティストとも会う機会が少なくなっちゃったんですけど、BiSだけヤバくて。動員が減ってるわけではないんですけど、これ以上ジャンプアップする感じがしなかったので、週1でメンバーとミーティングをやってたんです。だけどまあ変わらないので、アヤが戦力外通告を受けているような現状で。
古川 アヤも人気ありますけど、論点はそこじゃないってことですよね?
渡辺 そういうところじゃないですね。彼女がいないほうがBiSの人気が出るんじゃないかなって。
古川 マイナスにしたほうがプラスになる?
渡辺 みんなびっくりするのは当然のことで「BiS.LEAGUE」の結果が2位だったという事実はあるにしても、そういう問題じゃない。WACK流の理不尽さにはつながってくるんですけど。
古川 じゃあ辞めるかもしれない?
渡辺 可能性としては。
──この特集が公開されたあとすぐに合宿の最終日なので、どうなるのかという。
渡辺 そうっすね(笑)。
古川 ボーカリストとしてのアヤの声質がすごい好きなんですよ。迫力も増してきたし。何をきっかけにして変わるかわかんないですけど、もう一段階上に行くためにはまた武者修行みたいなものも必要なんじゃないですかね。とにかく今は去就が不安(笑)。
WACK vs FIFTY-FIFTY
──今のWACKは順調そうに見えるんですけど、渡辺さんは今のWACKを客観的にどう捉えてますか?
渡辺 いつ沈没するかわからないと思ってます。やっぱり人気商売なので。この間、文春されたし、ホントにどこからガラガラ崩れるかわからないから全然落ち着いていられない。周りからは「安泰じゃん」とか、「あと数年は大丈夫でしょ」と言ってくれる人もいますけど、僕はそうは思ってない。あとは自分だけじゃなくてメンバーに関しても、10年後に何をしてるかまで見られたら一番いいなと思っているので。そこまでジャンプアップする。BiSHでも成長するペースは遅いと思っているので、ずっと試行錯誤してる感じが続いています。
──FIFTY-FIFTYの猛追にも期待ですね。
古川 うちでもユニットを作って、いろいろ挑戦を重ねて、時間をかけていよいよ体力が付いてきたとき、自信を持って先輩の胸を借りたいですね。僕は「WACK vs FIFTY-FIFTY」みたいなイベントをやりたいです。ただの知り合い同士だからというレベルではなくて、WACKのアーティストと張り合える子たちを育てたい。そういう未来が何年後にくるかわからないですけど、それが今考える僕の目標です。
渡辺 ありがとうございます。さっき話題に出たような若い運営がいるのはいいことです。25歳くらいのギラギラした奴が本気で参入してきたら、たぶん今のシーンを総ざらいできます。あっという間にひっくり返されると思うので怖い存在ですね。出る杭は打たないと(笑)。
古川 (笑)。僕はどっちかと言うとそういう若い人たちを内包して一緒に成長していきたいなと。ホントにうちにいる期間は短くてもいいんです。そこである程度、いい結果を若い子たちに見せて、未来につないであげる橋渡しができれば。会社は粛々とそれ以外の事業を並行してやって、少しずつ大きくしていければいいかなって。いやあ、今日はめっちゃ勉強になったなあ(笑)。