ナタリーストアにてフェンダーとBiSHによるコラボレーションギター「Fender Telecaster Thinline "BiSH"」の受注販売がスタートした。このモデルはBiSHの楽曲を手がける松隈ケンタ(SCRAMBLES)のプロデュースによって制作されたギターで、セミホロウボディのTelecaster Thinlineをもとにボディ、ヘッド、そしてネック裏に至るまで黒で統一したカラーリングを採用。またサウンドの要となるピックアップには松隈のギターブランド「Jimmy Quartett」オリジナルハムバッカー「INVADER」を2基搭載し、中低音に粘りのあるサウンドに仕上がっている。
音楽ナタリーでは本モデルの発売を記念して、松隈とHISASHI(GLAY)の対談をセッティング。BiSHの楽曲を手がける松隈と、BiSHをはじめ、WACK所属アーティストに高い関心を示すHISASHIの2人に、本モデルの感想や、それぞれの楽曲制作、レコーディングにおける制作プロセスなどについても話を聞いた。また松隈の実演による「BiSH-星が瞬く夜に-」のデモンストレーション音源も公開。フェンダーと“楽器を持たないパンクバンド”によるコラボモデルのサウンドをぜひチェックしてほしい。
※特集内に登場するギターはプロトタイプとなり、製品版とは仕様が一部異なります。
取材・文 / 田中和宏 撮影 / 西槇太一 撮影協力 / SCRAMBLE STUDIO
松隈サウンドに魅了されたHISASHI
──お二人は今回が初対面なんですよね。
松隈ケンタ(SCRAMBLES) そうなんですよ。以前BiSの「primal.2」のギターソロを弾いていただいたことはあるんですけど。
HISASHI(GLAY) 僕が家で弾いた音源をレコード会社に納品しただけで、メンバーやスタッフとは誰とも会わずに終わりでしたけどね(笑)。なので今回、お会いできてうれしいです。自分のFacebookを漁っていたら、2011年くらいからBiSのYouTubeの動画とかをアップしていて(笑)。
松隈 そんな前からですか(笑)。
HISASHI 僕はもともとBiSが好きで、松隈さんの作るエモーショナルなメロディ、楽曲がすごく好きなんです。一度BiSが解散したあとに淳之介(渡辺淳之介 / WACK代表)さんがWACKを立ち上げてから、BiS、BiSH、GANG PARADE、EMPiREも動向をチェックしてるんですけど、どれも素晴らしくて、旧BiSの頃からまったく途切れない曲作りのテンションをずっと感じていました。
松隈 もう光栄すぎて……うれしい限りです。
HISASHI 「そりゃブレイクするわ!」と思うくらい、どのアーティストもいい楽曲が多いなって。ものすごくいい新曲がどんどん生まれていて、いつも楽しみにしてます。ギタリスト目線でも気になるようなリフとかコード進行がたくさんありますし。「SCHOOLYARD」(3月発売のシングル「PAiNT it BLACK」カップリング)とかも「うわーこう来たかー!」って胸に刺さりました。で、「HiDE the BLUE」(6月発売のシングル「Life is beautiful / HiDE the BLUE」収録曲)を聞かせてもらって、やっぱりBiSHはエモいなと。彼女たちの思いや、もがきながらも突っ走ってる姿が重なるんですよ、最近の楽曲を聴いていると特に。
松隈 ありがとうございます。しかし、まさかHISASHIさんとギター談義ができるとは思ってなかったですよ!
HISASHI いやいや、今日はもう半分趣味で来てるようなものなんで(笑)。
Fender × BiSHコラボモデルができるまで
──では「Fender Telecaster Thinline “BiSH”」についていろいろとお話を伺えればと思います。
松隈 今回、「フェンダーさんとBiSHでコラボギターを作りましょう」とナタリーさんから提案がありまして。最初はせっかくならとんでもないことを言ってみようと思って、僕からナタリーさんに「フェンダーからレスポールとか出せないですか?」とか無茶な提案をして。
HISASHI ははは(笑)。
松隈 まあそれは当然ダメで(笑)。そのあと、真面目にどんなモデルにするかを決めていったんですけど、BiSHは“楽器を持たないパンクバンド”と謳っているグループなので、イメージを固めていく段階で、自分の好きなパンクバンドのイメージ的にもやっぱりテレキャスターだろうと思いつつ、普通っぽくないほうがいいのでテレキャスターシンラインをチョイスしました。ハムバッキングのピックアップを積みたかったので、自分がプロデュースしているJimmy Quartettのピックアップを搭載していただきました。見た目は「BiSHのギターなら黒だろ!」と、“PAiNT it BLACK”をイメージしたカラーリングにして、ピックガードは右側の角の端まで伸びたデザインの、つまり普通のテレキャスターに近い形にしています。
HISASHI あ、ホントだ。ボディカラーは普通のブラックじゃないですよね?
松隈 シースルー塗装で杢目がちょっと透けて見えるようにしてます。あと、フェンダーさんのギターだとなかなかない仕様らしいんですが、ネックの裏側も黒に塗りまして、ネックプレートにはBiSHのロゴが刻印されます。
──BiSHのロゴなどがフロント面に一切ないので、一見するとスタンダードなモデルにも見えるという仕様ですね。
HISASHI ほう、そうきましたか。
松隈 そうなんですよ。ピックアップ以外はビスなど細かいパーツを含めてすべて黒で統一しました。
HISASHI このfホールが黒いボディのアクセントになっていておしゃれですね。こういうボディの色、すごく好きなんですよね。若干紫がかったようにも見える。
松隈 光の当たり方によって灰色とか茶色っぽくもなりますね。
HISASHI 何か秘めた感じがあって、BiSHらしくていいと思います。
──フェンダーでは過去にはアニメ作品とのコラボモデルはあったそうですが、楽器を弾かないアーティストのモデルを発表するのは初めてだそうです。
松隈 まあ前代未聞ですからね、フェンダーとコラボモデルを出せる楽器を持たないグループなんて。
HISASHI ホントに珍しいと言うか、ありそうでなかった感じ。
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HISASHI、BiSHのギターを試奏
- ナタリーストアにて「Fender Telecaster Thinline "BiSH"」受注販売スタート!
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商品詳細はナタリーストアの商品ページで確認を。
- 松隈ケンタ(マツクマケンタ)
- 福岡県出身の音楽プロデューサー、音楽制作プロダクションSCRAMBLES代表。ロックバンドBuzz72+を率いて上京し、2005年にavex traxよりメジャーデビューした。バンド休止後に作詞家、作曲家としてアーティストへの楽曲提供をスタートさせ、BiS、BiSH、GANG PARADE、EMPiREらの楽曲を手がけている。現在はプロデュース業に加え、ロックバンドGHOST ORACLE DRIVEでボーカルを担当しているほか、ギターブランド「Jimmy Quartett」、楽器店「LITTLE BY TECH.」、音楽スクール「SCRAMBLES MUSIC COLLEGE」、レコーディング&リハーサルスタジオ「SCRAMBLE STUDIO」を運営している。
- HISASHI (ヒサシ)
- GLAYのギタリスト。1989年に同バンドに加入し、1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。数多くのヒット曲、ヒットアルバムを生み出し続け、2017年7月に発表したアルバム「SUMMERDELICS」では全14中4曲の作詞作曲を手がけた。これらの楽曲や、SNSを通じて多趣味かつフレンドリーな人柄に注目が集まり、近年では声優やアニソンシンガー、アイドルへの楽曲提供やプロデュース業、ACE OF SPADESのリーダーを務めるなど幅広い活動を行っている。
- BiSH (ビッシュ)
- アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人からなるアイドルグループ。BiSを作り上げた渡辺淳之介(WACK)と松隈ケンタ(SCRAMBLES)がタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当している。2015年5月に1stアルバム「Brand-new idol SHiT」をリリース。同年5月に東京・中野heavy sick ZEROにて初のワンマンライブ「THiS IS FOR BiS」を開催し、以降のライブは各所でソールドアウトを記録する。2016年5月にはメジャー1stシングル「DEADMAN」をリリースしavexよりメジャーデビュー。6月から10月にかけて全国ツアー「BiSH Less than SEX TOUR」を開催し、ツアーファイナル「帝王切開」では東京・日比谷野外大音楽堂で単独公演を成功させた。同年10月にメジャー1stアルバム「KiLLER BiSH」、2017年6月にミニアルバム「GiANT KiLLERS」を発表。7月22日には千葉・イベントホールにてグループ史上最大規模のワンマンライブを行った。同年11月にフルアルバム「THE GUERRiLLA BiSH」、2018年3月にシングル「PAiNT it BLACK」を発表。5月22日に神奈川・横浜アリーナにてワンマンライブ「BiSH "TO THE END"」を行い、6月27日には両A面シングル「Life is beautiful / HiDE the BLUE」のリリースを控えている。