Adoのラップは鳥肌が止まらないぐらいの衝撃
──映画「ONE PIECE FILM RED」の劇中歌として書き下ろされた「ウタカタララバイ」も、Adoさんが見事に歌い上げていて驚きました。
トップハムハット狂 そうなんですよ! デモでは自分だけが気持ちよく歌えるようなラップだったので、ラップを歌い慣れていない人からしたら、相当難しいはずなんです。「もしかしたら修正依頼がくるかもな」と思いつつ提出させてもらったんですけど、すんなり「OKです」と連絡が来て。実際にAdoさんのボーカルが入った音源を初めて聴いたときは、「これを歌えるんだ! Adoさんってすごいな」と僕もダイスも驚愕しました。
DYES 鳥肌が止まらないぐらいの衝撃を受けましたね。Adoさんが本気でラップしてくれていて、すごいのひと言でした。
──どう聴いても、FAKE TYPE.が作った曲ですしね。
DYES アハハハ。僕らの特性が色濃く出てますよね(笑)。
──そもそも「ONE PIECE FILM RED」の楽曲制作に参加することになった経緯は?
トップハムハット狂 お話をいただいたのは去年の6月9日ですね。先ほどお話しした「メジャーへ行ってどうしよう」という会議をした直後に連絡を受けまして。
DYES すごかったよね。昼間の打ち合わせで「メジャーへ行ってどういうことをやりたいですか?」と聞かれて「アニメの曲とかやりたいですね。尾田先生が僕らの音楽を好きだと言ってくれているし、いつか『ONE PIECE』の曲をやれたら」と話したその日の夕方に連絡が来て。あの日のことは絶対に忘れない(笑)。
──曲を作るうえで、どんなオーダーがありました?
DYES ディレクターの方から「癖になるような、聴く人を洗脳するような曲にしたいです」と言われて。キーワード的には「明るい狂気感」や「世界を巻き込む感じ」といったものを提示されました。「FAKE TYPE.の曲で言うと『FAKE LAND』とか『Tandemoon Rendezvous』のようなイメージ」と指示書に書かれていたので、いつも通りの感じで作ればいいのかなと。
トップハムハット狂 歌詞に関しては台本をいただいて、どこのシーンで曲が流れるのかも教えていただいたのと、「こういう感じのことを言ってほしいです」という細かい指示書もあったので、そのオーダーに沿って作っていきました。あとは「シャンクスの娘で、世界の歌姫のウタだったらこう思ってるんじゃないかな」と妄想しながら書いたら、一発OKでしたね。
──Adoさんが歌われることは、曲作りのうえでポイントになりました?
トップハムハット狂 そこはあまり意識しませんでした。というのも、自分がちょっと無茶なことをやっても「Adoさんが絶対にカッコよく歌い上げてくださるだろう」という信頼があったので、いつものスタンスを崩さずに作りました。
DYES 僕も最初は話の規模が大きすぎて悩んだりしたんですけど、結局FAKE TYPE.にできることを求められていると思ったので、「じゃあ、いつも通り作ればいいんだ」という考えになりました。
夢を叶えてくれた「ONE PIECE」
──改めて絶大な人気を誇る「ONE PIECE」に関わることについて、どう感じていますか。
トップハムハット狂 2019年に「Princess♂」の名前を挙げてくださったときから、いつの日か音楽で「ONE PIECE」に関われたら、という小さな希望があって。それがまさか数年で実現してしまうなんて……なんか怖かったですね。怖いのと同時に、尾田先生がFAKE TYPE.を見つけてくださって本当にありがたいなという気持ちでした。
DYES 感謝しかないよね。僕は高校時代に音楽を始めてからずっと、アニメ作品に携わりたいという夢があったんです。その1発目の夢を叶えてくださったのが「ONE PIECE」なんて、いまだに信じられないですね。
──お二人にとって「ONE PIECE」とはどんな作品なのでしょう?
トップハムハット狂 幼い頃からマンガを読んでいたり、アニメを観たりしていて。学校に行くと誰かしらが持ってきた「ジャンプ」を仲間内で回して読むみたいな。ずっと触れていた作品なので、今回は人生の大きな夢の1つを叶えた感覚ですね。
DYES 小学3年生のとき、アニメを観て「すごい面白い作品だな」ということでハマって。そこから毎週アニメも楽しみにして、マンガも読んでいました。もう自分の人生とともにあったくらいの大きな作品ですよね。
──キャリアがあるとか、「ONE PIECE」と関わりが深いから参加することになったわけじゃなく、楽曲がそのチャンスをくれたというのがいいですよね。
DYES なんか……手を抜かずに活動してきてよかったなって思いました(笑)。エレクトロスウィングとトラップをかけ合わせる手法をやろうと休止中から決めていて。それを最初にやった楽曲が「Princess♂」なんです。あのとき、活動休止中でも「今やるべきだ」と挑戦したことが大きな結果につながったので、改めて出し惜しみはしちゃダメだなと思いました。
──これからFAKE TYPE.はどんなアーティストになっていきたいですか?
DYES 理想はラーメン二郎でありたい。
トップハムハット狂 間違いないね!
DYES 二郎のラーメンは二郎に行かないと食べられないじゃないですか。FAKE TYPE.も二郎と同じように俺らにしか作れないものを目指して、唯一無二の存在になりたいですね。
トップハムハット狂 僕らは去年くらいから積極的に楽曲提供をやらせてもらっているんですけど、FAKE TYPE.の曲はなかなか発表できていないから、僕らのリスナーからしたら「FAKE TYPE.の曲も作ってよ」みたいな声があると思うんです。でも、その人たちに伝えたいのは「大丈夫、めちゃめちゃ作ってるから!」ということ。期待していてください!
プロフィール
FAKE TYPE.(フェイクタイプ)
MC / トラックメイカーのトップハムハット狂とトラックメイカーのDYES IWASAKIが2013年8月に結成した音楽ユニット。2014年4月にリリースした1stアルバム「FAKE BOX」でデビュー。2015年12月に2ndアルバム「FAKE BOOK」、2016年9月に3rdアルバム「FAKE WORLD」を発表後、2017年から約3年にわたり活動休止する。2020年に活動を再開し、2022年7月に配信シングル「Knickknack Kingdom」でメジャーデビューを果たす。同年8月公開の映画「ONE PIECE FILM RED」に、Adoが劇中で歌唱する楽曲「ウタカタララバイ」を提供し話題に。8月にメジャー2ndシングル「真FAKE STYLE」をリリースした。
FAKE TYPE. Official (@faketype) | Twitter