音楽ナタリー Power Push - Faint★Star

目指すは宇宙!? トマパイの遺伝子引き継ぐガールポップデュオ

キャッチフレーズは「聴く、見る、嗜む」

──リスナーはもちろん、恐らくプロデューサーの玉井さんも、Faint★StarはHINAさんがいる以上、トマパイのネクストだと捉えていると思うんですね。

HINA はい。私もトマパイの延長線、さらなる進化系だという気持ちは強く持っています。トマパイでの活動があってその次、という環境でYURIAちゃんに会っているので、少しかわいそうなんですよね。ハードルが上がっちゃって。

──ハードルはきっと高かったと思うんですよ。トマパイは音楽的なクオリティが高く評価されていた中で突然“散開”したので、その続きが見られるという期待値はYURIAさんにとっては大きなプレッシャーになったんじゃないかなと。

YURIA

YURIA プレッシャーを感じている余裕もなかったです。レコーディングやミュージックビデオの撮影も、何から何まで初めての経験だから、ただただ必死で。でもアルバムを出すと決まったときは、初めてプレッシャーを感じたかもしれないです。タイトルが「PL4E」だし、トマパイの「PS4U」(2012年8月に発売されたTomato n' Pine唯一のフルアルバム)と歴史がつながっているんだなあと思うと……。

──そうですよね。トマパイリスナーであれば誰もがハッとするタイトルで。HINAさんはトマパイではなくFaint★Starとして活動する上で、どこを引き継ぎ、どこを変えていこうと考えましたか?

HINA 玉井さんはまず「聴く、見る、嗜む」というキャッチフレーズを挙げたんですよ。「聴く」はもちろん楽曲的な部分で、トマパイから引き継いでいるところですね。「見る」は「魅せる」に近いのかな……トマパイはダンス初心者の子たちが踊るフワフワしたところがよかったと思うんですけど、Faint★Starは魅せるパフォーマンスをしっかりやるというのは最初の段階から決めていました。そこはトマパイと違うなというのは自分の中にも実感としてありますね。トマパイのお姉さんバージョンなんだなって。

──なるほど。では「嗜む」は?

HINA 私たちのファッションやライブパフォーマンス、ミュージックビデオも、すべては「音」を楽しむために作られています。なので「音を嗜むユニット」なんです。だから、日常生活の中でみんなにもっともっと、わたしたちの音を好んで親しんでもらいたいという思いもあります。お部屋でじっくり楽しんでもらったりとか。

Faint★Star

YURIA 「見る」という面では、ファッションアイコンとしても強く打ち出していくとはコンセプトの説明を受けたときも言われましたね。やっぱり音楽とファッションは切り離せないものだし、Faint★Starは“渋谷系”の流れも意識しているんです。“渋谷系”は音楽だけじゃなくアートワークでも高く評価されていたし、野宮真貴さんがライブで10回衣装をチェンジするとか、ファッションもすごく重要な要素の1つだったと思うんです。

──アートワークを含めた総合的な見せ方は確かに1990年代の“渋谷系”を彷彿とさせるものがあって、世代的には一切触れていないお2人がそれを担っているのが面白いなと思うんですよね。

YURIA もちろんコンセプトを言われるまで知らなくて、あとで勉強しました(笑)。

歌もトークもエンタテインメント

──プロデューサーの明確な意思とともに作り込まれた部分だけじゃなく、HINAさん独自のキャラが徐々に開花したりとか(笑)、コントロールできるものじゃない生身の部分も見えているのがいいなと思うんですよね。

YURIA エンタテインメントとして、歌や楽曲だけじゃなく、MCでも楽しんでもらえるものを提供できるように徹底しています。

HINA ここ(東京・ソラトニワスタジオ)でやっているインターネットラジオのレギュラー番組には構成作家さんがいて、その方にMCのネタ帳をチェックしてもらったりしてます。最初のアーティスト写真を撮ったときは「こんなカッコよく撮ってもらったんだから、ちょっとクールにしないと」って思ってたんですけど、今は爆発しちゃってる感じがありますね(笑)。ライブ後はいつもトークの反省会もするんですけど、いつの間にか「ウケるかウケないか」がすごく大事なポイントになっていて。

Faint★Star

YURIA 「今日のはちょっとウケなかったから今度は違う方向でいこうかな」とか(笑)。

──ウケを狙っていく人生になるなんて1年前は思ってなかったですよね。

YURIA はい(笑)。でも私、むしろ普段のほうがすごくしゃべるほうで、逆にステージとかこういうインタビューでは静かなほうなんです。緊張して静かになっちゃう。

HINA 「あー今スイッチ切れちゃってるな」ってときはわかりますね。そういうときは私が勝手に進めていっちゃうんで、それも怖いなーと思って(笑)。

YURIA 私の緊張を察すると、こっそり助けてくれますね。

「Hurly-Burly」はトマパイのシングル候補曲だった

──ここからアルバムの話を聞かせてください。先ほど少し話題に挙がりましたが、やはり「PL4E」というタイトルはトマパイ時代からのファンが大きく反応するところですよね。

HINA でも意味合いは全然違うんです。「PS4U」は「Pop Song for You」、「PL4E」は「Play List for Earth」で。

YURIA アルバムは今私たちが発信したいガールズポップを凝縮した1枚になっていて、そんな私たちの曲を世界中の人たちと共有したい、“プレイリスト”に私たちの曲を入れてほしいという思いが込められているんです。

HINA EDMから“渋谷系”ポップスまで、私たち自身もリスナーとして大好きな曲ばかりを集めた、私たちが提案したいプレイリストです。

──アルバムの前に出たシングルは2枚だけながら、どちらも4曲入りで、すでに8曲のレパートリーがありました。この8曲でもすでにジャンルは多岐にわたっていましたが、アルバムではさらにその幅を広げていますよね。

HINA 「アルバムは盛りだくさんにするよ」という話は聞いていて、どういうことなのかなと思っていたら、新曲もいっぱいあって、ジャンルはさらに広がっていて。

──では新曲についてひと通り解説してください。アルバムは新曲「Hurly-Burly」でスタートします。

HINA

HINA 「Hurly-Burly」は実はトマパイのシングル候補曲で、仮歌を録ったこともあったんです。ずっと歌いたくて、「あの曲どうなっちゃったんだろう」と思っているうちにトマパイは“散開”しちゃったので、Faint★Starとして歌えることになってうれしいです。アレンジは当時と変わっていて、歌詞も「シーズン2 開演の合図」というフレーズが入っていたり、まさにFaint★Starのための楽曲になっているんです。このアルバムでいよいよFaint★Starはスタートするよ、という気持ちが込められているなと私は感じました。

──確かに「Hurly-Burly」はもっともトマパイからの流れを色濃く感じる楽曲ですし、「PL4E」と冠されたアルバムの冒頭にそんなエピソードの込められた曲を置いたというのはストーリーとして完璧ですね。

HINA そうですね。ここから旅立っていきたい、ここがスタートラインだという気持ちがあります。

1stアルバム「PL4E」 / 2015年7月7日発売 / Faint Star Tokyo
CD+DVD盤 / 4500円 / FST-003~4
通常盤 [CD] / 3000円 / FST-005
アメリカ盤 [CD] / 2000円 / FSUSA-002
インドネシア盤 [CD] / 2000円 / FSIN-002
台湾盤 [CD] / 2000円 / FSTW-002
国内盤CD収録曲
  1. Hurly-Burly
  2. メナイ
  3. Boyfriend -A.S.A.P-
  4. エレクトロニックフラッシュ
  5. ス ラ イ
  6. フィルム!フィルム!フィルム!
  7. 今夜はRIDE ON TIME
  8. Sleeping in your car
  9. Lips!!
  10. koboreteshimattamizunoyouni
  11. Spilt Milk
  12. レ・ミ・ラ
  13. Tip Tap
  14. スーパー・サマー・ワンダー
  15. Boyfriend -A.S.A.P- Favourite Wild Summer Remix(好き好きサマーREMIX) remixed by カジヒデキ
DVD収録内容
  • 「koboreteshimattamizunoyouni」MV
  • 「Sleeping In Your Car」MV
  • 「レ・ミ・ラ」MV
  • 「フィルム!フィルム!フィルム!」MV
  • 「Boyfriend -A.S.A.P-」MV
  • 「Lips!!」MV ※インドネシアライブの映像で制作
  • 「メナイ」MV ※リリックMV
海外盤特典

インドネシア盤にはIkkubaru、台湾盤にはBoys Get Hurt、アメリカ盤にはCOLOUR VISIONによるリミックス音源がそれぞれ収録される。

Faint★Star 1stアルバム「PL4E」リリース記念
「Faint★Star × 2.5D Tokyo Sound Collection vol.5」
2015年7月7日(火)東京都 2.5Dスタジオ
<出演者>
Faint★Star
ゲスト:カジヒデキ / DJ ABO
Faint★Star(フェイントスター)

Faint★Star

agehaspringsがトータルプロデュースを手がけるガールポップデュオとして、HINA(ex. Tomato n' Pine)とYURIAの2人で2013年12月に結成。2014年5月に東京・タワーレコード新宿店でお披露目ライブを行い、同年7月に4曲入りシングル「koboreteshimattamizunoyouni」でCDデビューを果たす。「TOKYO IDOL FESTIVAL 2014」「@JAMEXPO 2014」などへの出演を経て、2015年2月には2ndシングル「フィルム!フィルム!フィルム!」を発表。シングル発売直後にはagehasprings主催のライブイベント「Synapples 2.0 ~no border between sounds~」に出演し、ゆず、JUJU、back numberらと競演した。同年5月にはインドネシアで初の海外公演を行い、7月に1stフルアルバム「PL4E」をリリース。8月にはアメリカ・サンフランシスコにて開催される「J-POP SUMMIT 2015」への出演が決定している。