ナタリー PowerPush - FACT & sfpr
気鋭レーベルが放つ強力アルバム2作
絶対キャッチーさを失わないことが暗黙の了解
──では、sfprの軸にあるものを言葉にすることはできますか?
FZ バンドとしてはかなり自由ですね(笑)。自由だけど、今回はアルバム名の「apocalypse」、"終末論"という言葉に寄ったサウンドになったと思います。できた曲を一度破壊して、作り直すみたいな作業だったので、そういうイメージなのかなと。
SG 実は、歌詞をつくるときにはそこまでメッセージを込めてないんですよ。歌詞を読むと、すごくこだわっているのかな? 哲学的じゃないの?と思う人もいるかもしれないけど、実はそこではなくて、曲を書くときに既にメッセージを込めてる。僕たちはメロディメイカーだという意識が強くて、曲を書く上でそのコンセプトやメッセージに沿ったメロディにすごくこだわっているんですよ。
FZ そこが肝だと思ってます。絶対キャッチーさを失わないことが暗黙の了解ですね。マニアックなことはいくらでもできるけど、サラッと聴いて「キャッチーだね」と自分たちで思えないと納得しないので。
SG だから、歌詞もサウンドのひとつという意識で。ただ、世の中にはネガティブなことも多いけど……音楽業界であればCDが売れないとか。それでも僕らは5%、1%でも諦めてないぞ、という気持ちは表現したくて。それでアルバムの最後にも希望のある曲を持ってきているんです。
FZ 光が差す感じというかね。
──その諦めてないぞ、という思いはどこから生まれてきたものですか?
SG 個人的に、以前組んでいたバンドでも山あり谷ありの人生を送ってきて……そういう意味でも諦められないという気持ちもあるし。音楽業界を見ても、今は手放しにいい傾向ではないじゃないですか。自分たちなりにそこに挑戦する意味でも、諦めないぞって気持ちを持ってて。
FZ サウンド面でも、もう新しいものは出尽くした、みたいに言われてるじゃないですか。でも僕たちなりに何か新しいことができるんじゃないかと思ってて。もう新しいものはないでしょ?という風潮に対して、実はまだまだいっぱいあるんじゃないかって感じてるんです。それでバンドサウンドにこだわらない、という部分が強くなったのかもしれない。できることを自由にやろう、これは新しいんじゃない? 面白いんじゃない?と感じる心を大切にしたくて。それが諦めないという部分につながるのかもしれない。
好きに作ったら、結果ミクスチャーになった
──話を少し戻すと、キャッチーなメロディさえあればどんな曲調でもあり、という感覚ですか?
SG うん。そこが崩れなければ、いろんなことをやってみたいですね。例えば、今回のアルバムに収録したUNDERWORLDのカバー「Born Slippy (Nuxx)」では、バックトラックをボイスパーカッション、同期、ベースだけで作ってて。ベースのトラックだけで4~50トラック使っているんですよ。僕はベーシストですけど、スラップをループさせたりとか(笑)、普通ではやらないことをやってますからね。今までの音楽経験の中でも初めてのことだったけど、結果的にキャッチーであれば全然問題ないなって。今回は制作のための時間をたくさんもらえたので、それには感謝してます。レコーディング期間も毎日ではないけど、半年ぐらいかかったんですよ。
FZ いろいろ実験させてもらえたので、それは良かったですね。
──当初思い描いていたものと、実際完成したものとでは、自分たちの中で違いはありますか?
FZ こんなに素敵なものができるとは思わなかったです(笑)。まとめて聴くと、こんなに統一感があって、パワフルなものになるんだと思って。てんでバラバラな曲が、1つの固まりになったなと。
SG アルバム全体の流れを意識したのも、うまくいきましたね。バラードっぽいミドルテンポの曲が4曲ごとに入ってるところも狙いだったりして。そういう意味では、ちょっとしたコンセプトアルバムだったりするんです。
──映画のサウンドトラックのような雰囲気もありますね。
FZ それは意識しましたね。効果音にしてもプログラミングにしても、映像が見えるようなものにしたくて。
──その分、人に説明しづらいサウンドではありますが(笑)。
SG それは実際、A&Rも困ってました。いろんな音楽を混ぜているからミクスチャーロックと言いたいところだけど、いわゆるミクスチャーロックとは多分違うじゃないですか(笑)。
──ははは、そうですね。ですが、ミクスチャーというキーワードは意識したんですか?
FZ 好きに作ったら、結果ミクスチャーになったという(笑)。僕らが作るのは、がっつりエレクトロを通ってきた人がやってるプログラミングじゃないし。ロックバンドをやってた人が「エレクトロのカッコよさってこういう感じじゃない?」って作ったというテイストはうまく出せたんじゃないかな。
sfpr「wish 」ビデオクリップ
CD収録曲
- FOSS
- 1000 miles
- pink rolex
- melt
- tonight
- polyrhythm winter
- 狂
- eighty six
- crying
- mimic
- 1-4
- GSMD
- temptation
- give up - 日本盤 Bonus Track -
- empty mind - 日本盤 Bonus Track -
Disc.1:
Eat Your WordsまでのMUSIC VIDEO13作品を全て収録
Disc.2:
Documentary Film - a life of fact -(Special Edition)
RENTAL盤には収録されなかったUKTourの模様や同じく未収録となったKenYokoyamaやClosure In Moscow(AUS)をはじめとするコメントなどを収録したスペシャル盤
CD収録曲
- awakening and riot!!
- awakening and riot!!
- feeder ft.hitomi
- bring down your flags!!
- wish
- The Nights,
- turn new border
- air
- snow, forest, clock
- sooxxthsayer
- Born Slippy Nuxx ft.ADSKILLZ/SLICKLIPS
- Maxwell's demon
- warseeds
- Arms, Darkness and The World's End
- terminal for give
- L.astO.perationS.ystemT.ool
- Mark Prays◆Monster.
FACT(ふぁくと)
Takahiro(G, Vo)、Kazuki(G, Vo)、Hiro(Vo)、Eiji(Dr, Vo)、Tomohiro(B, Vo)の5人からなるロックバンド。1999年結成。2009年4月、フルアルバム「FACT」で全世界同時デビューを果たす。スラッシュメタル、グラインドコアなどの影響を感じさせるヘビーなサウンドに、ダンスロック、打ち込みなどの要素を取り入れたオリジナリティ溢れるサウンドで、幅広いリスナーからの支持を得る。2012年1月、4thフルアルバム「burundanga」をリリース。
sfpr(えすえふぴーあーる)
SG(B, Vo)とFZ(G, Vo, Programming)からなるロックバンド。バンド名は「SGとFZのPROJECT」からつけられた。元々作家として活動していた2人がお互いの楽曲に惚れ込み、2011年にバンドを結成。ロック、ダンス、打ち込みなどさまざまな要素をごった煮にしたアルバム「apocalypse」で2012年にデビュー。