ナタリー PowerPush - FACT & sfpr
気鋭レーベルが放つ強力アルバム2作
気鋭のレーベル・maximum10に所属する2アーティストがこの1月、立て続けにアルバムをリリースする。
1組目はFACT。2009年のデビュー以降、ハードな音楽性を武器にまたたくまに頭角を現し、海外でも高い評価を獲得した彼らが、ニューアルバム「burundanga」を完成させた。今作には、FACTの持つヘビーネスはそのままに、ストリングスの導入など新しい挑戦にも取り組んだ13曲が収められる。また日本盤にはボーナストラックを2曲収録。ボリューム感のある、バンドの最高傑作に仕上がっている。
そして2組目はsfpr。アルバム「apocalypse」が初音源となる、謎に包まれたユニットだ。そのサウンドは、デジタルロックと呼べるようなものからメロウなバラードまで色とりどり。また、テクノの大御所とも言えるUNDERWORLDの名曲「Born Slippy (Nuxx)」をカバーするなど、遊び心も覗かせている。
今回ナタリーでは、FACTとsfprにインタビューを実施。それぞれの作品に込めた思いを語ってもらった。
取材・文 / 荒金良介
FACTインタビュー
Kenさんはミッキーマウスみたいな人
──11月はKen Bandと一緒にツアーを回ってましたよね。その合間を縫って、BRAHMANのツアーファイナル(2011年11月19日に幕張メッセで開催)にKenさんが出演した際「FACTと一緒にツアー回ってて、すげえ楽しい!」と言ってたんですよ。
Kazuki(G, Vo) すごくうれしいですねえ。俺の中ではミッキーマウスみたいな人ですからね。
──Kenさんがミッキーマウスですか(笑)。
Kazuki いや、ほんとそうなんですよ。Kenさんが立っているだけで、やべえ!って思って、そこに集まりたくなりますからね。
Takahiro(G, Vo) 表現はヘタクソですけど……。
Tomohiro(B, Vo) 的を射ているよね(笑)。
Eiji(Dr, Vo) 歩くディズニーランドですよ! 夢がありますからね。
Tomohiro ツアーを一緒に回って、すごく魅力的な人だということも改めてわかったし、俺らもすごく楽しくて。また一緒にやりたいですね。
Takahiro 俺らの世代にとっては、スーパーヒーローですからね。そんな人と一緒にツアーを回れて、なんだか不思議な感覚はありますね。
──ただ、同じステージに立つ以上、負けられない気持ちもあったのでは?
Kazuki ……うーん、でも負けられないという気持ちはそんなにないかな。
Takahiro 音楽は勝ち負けじゃないような気がするんですよ。負けたと思うのは、自分に負けたときだと思うし。
Kazuki 自分たちが納得していれば勝ちも負けもないと思うし。誰かが勝ち負けを決まるのであれば、たくさんお客さんが付くか、付かないか、それだけの話だと思うんですよ。根本的に俺らがやっていることは、自分がどれだけ満足できるかだと思うので。
Hiro(Vo) 逆に言えば、俺らにしかできないライブのやり方と、あの人にしかできないライブのやり方がありますからね。KenさんはいきなりMCで始めることもあるけど、俺らのライブはクリックを流して、この曲からこの曲までをつなげて、と決めてるって違いもあるし。Kenさんのライブのいい部分は取り入れていきたいですけどね。
マイナスなことがあるとその後にでっかいプラスが来る
──アルバムの前に、ドキュメンタリー映画「001.」の話も訊かせてください。映画からは、FACTはメジャーデビュー以降、想像を超えるほど密度の濃い時間を過ごしてきたんだな、というのが伝わってきました。特にアメリカでのレコーディングに飛び立つ日に、Kazukiさんのお父さんが亡くなられるという思いもよらぬ出来事もあったり……。
Kazuki 俺もビックリしましたからね。すべてあそこから始まった感じで。逆に言えば、もうやるしかねえな、という気持ちになりました。バンドのみんなにもすげえ助けられたし。
Hiro あの時期に曲作りをしてたら、やばかったかもしれないですね。
Kazuki やばかったね。でも、これからレコーディングってことで、うまく気持ちを切り替えることができたので。
──バンド活動に対して、腹をくくれた感覚ですか?
Kazuki そうですね。俺はずっと実家に住んでて、チャラチャラしてたし、親父に生かされていた部分があったんですよ。でもああいうことがあのタイミングで起きて、「もう一人でやれよ!」って親父に言われたんじゃないかと思って。
──メジャーデビュー以降はどうしても華やかな部分ばかりに目が行きがちですが、北米ツアー中に交通事故でEijiさんが骨折したことを始め、よくない出来事も多くありました。プラスマイナスゼロという言い方も変ですが……大変な時期を経て、今があるんだなと。
Kazuki そう、不思議なんですけど、マイナスなことがあると、その後にでっかいプラスが来るんですよね(笑)。俺らって、いつもそうだったよね?
Tomohiro そうだね。マイナスなことが起きると、それ以上のものが返ってくる(笑)。
Kazuki この4年はそれの繰り返しですね。なんだこれ?!っていう驚きの連続で。
Takahiro 人生、そんなもんだよね。ドキュメンタリー映画の最後でも言ってますけど、諦めないで続けることが大事だなって。ホントそのとおりだと思います。
Kazuki バンドはいろんな理由で辞めざるを得ないこともありますからね。エッくん(Eiji)が骨折したときも、ダメかなと思ったけど、快復してFACTを続けていられるのは幸せだと思うし。もうとことんやってやろうぜ!って気持ちですね。毎回打ちのめされて、立ち上がってますから。
Takahiro 人生は8割、苦しいよね。だけど、あとの2割の幸せや喜びのためにがんばることができるから。
Kazuki いつまでにアルバムを出すからいつまでに曲を作らなきゃいけないとか、縛られてる感じが嫌になったこともありますからね。でもその分、クリエイティブな面ではやりたいことをやらせてもらえるので、それを頼りにずっと進んできました。今回もすごく満足できる作品ができたから、救われたなと思って。そういう意味では今の立ち位置というか、この環境で良かったと思います。すげえ辛いこともあるけど、結果的にいい方向に進んでいると思うので。
CD収録曲
- FOSS
- 1000 miles
- pink rolex
- melt
- tonight
- polyrhythm winter
- 狂
- eighty six
- crying
- mimic
- 1-4
- GSMD
- temptation
- give up - 日本盤 Bonus Track -
- empty mind - 日本盤 Bonus Track -
Disc.1:
Eat Your WordsまでのMUSIC VIDEO13作品を全て収録
Disc.2:
Documentary Film - a life of fact -(Special Edition)
RENTAL盤には収録されなかったUKTourの模様や同じく未収録となったKenYokoyamaやClosure In Moscow(AUS)をはじめとするコメントなどを収録したスペシャル盤
CD収録曲
- awakening and riot!!
- awakening and riot!!
- feeder ft.hitomi
- bring down your flags!!
- wish
- The Nights,
- turn new border
- air
- snow, forest, clock
- sooxxthsayer
- Born Slippy Nuxx ft.ADSKILLZ/SLICKLIPS
- Maxwell's demon
- warseeds
- Arms, Darkness and The World's End
- terminal for give
- L.astO.perationS.ystemT.ool
- Mark Prays◆Monster.
FACT(ふぁくと)
Takahiro(G, Vo)、Kazuki(G, Vo)、Hiro(Vo)、Eiji(Dr, Vo)、Tomohiro(B, Vo)の5人からなるロックバンド。1999年結成。2009年4月、フルアルバム「FACT」で全世界同時デビューを果たす。スラッシュメタル、グラインドコアなどの影響を感じさせるヘビーなサウンドに、ダンスロック、打ち込みなどの要素を取り入れたオリジナリティ溢れるサウンドで、幅広いリスナーからの支持を得る。2012年1月、4thフルアルバム「burundanga」をリリース。
sfpr(えすえふぴーあーる)
SG(B, Vo)とFZ(G, Vo, Programming)からなるロックバンド。バンド名は「SGとFZのPROJECT」からつけられた。元々作家として活動していた2人がお互いの楽曲に惚れ込み、2011年にバンドを結成。ロック、ダンス、打ち込みなどさまざまな要素をごった煮にしたアルバム「apocalypse」で2012年にデビュー。