音楽ナタリー Power Push - FACT
全員で明かす、FACTの歩み&解散理由
「この曲、新しくない?」がメンバー内で最高の誉め言葉
──ベスト盤にはアルバムリリース順に楽曲が収録されてますけど、ド頭が新曲2曲というのはちょっと驚きました。
Kazuki 頭に新曲って変ですか? 何が普通なんですか? オレらそこも普通じゃないんだ(笑)。
──バンドの歴史を結成時から紐解くと、メタリックなパンクが好きで、言ってしまうとStrung Outみたいなサウンドだったじゃないですか。当時そういうバンドは少なかったですよね?
Kazuki スタイルが近いと思ったのはSunsgrind、New Starting Over、16 Reasonsとか……。
Eiji 懐かしい(笑)。
Kazuki だけど、そことも毛並みが違ったんですよね。1990年代前半にスクリーモというジャンルが生まれてきたけど、俺らは全然そうじゃなかった。
Tomohiro そこにカテゴライズされちゃったけどね。
Kazuki というか、俺らはいつもそうなんだよね。それからラウドロックと言われるようになったし(笑)。
──自分たち的にはオリジナリティがあるものや、ほかにない音をやりたかっただけ?
Kazuki そうですね。周りに似たバンドが出てきたら、自分たちの武器を捨てるみたいな。
──そういう意味でFACTは最初からひねくれ者というか、異端でしたね(笑)。
Tomohiro そうかもしれない。
Kazuki 「この曲、新しくない?」と言うのが、メンバー内で最高の誉め言葉でしたからね。最初はStrung Outっぽいものをやりたかったけど、自然と新しいものが生まれてきて、そこにこだわりを持つようになって。
──こだわりとは?
Kazuki オリジナリティが何より大事だなと。レッチリ(Red Hot Chili Peppers)がサマソニに出たのって、いつだっけ?
Tomohiro けっこう前だよね。2011年かな。
Kazuki そのときにレッチリの裏が俺らだったんですよ。例えばNoFXが今日ライブをやってて、その隣のライブハウスでNoFXみたいなバンドがライブをやってるとしたら、絶対NoFXを観に行くじゃないですか。俺はそれをずっと信じてて。
──ええ。
Kazuki レッチリを当てられたときに、俺がお客さんならそっちに行くなと。でもその中でたくさんの人が観に来てくれたわけですよ。俺の中ではレッチリは偉大なバンドだから、勝てるわけがないと思っていたけど、場合によっては勝てるかもしれないなと。レッチリでは味わえない空気を俺らは出せてるし、それを味わいたいヤツもたくさんいるんだなと。そのときにオリジナルであることって、すげえ大事なんだなと思いました。
「FACT」期
──ベストの中身についてですが、「FACT」から「paradox」「a fact of life」「purple eyes」「rise」の4曲が収録されてますね。能面をかぶったアーティスト写真とともに「FACT」の内容が音楽シーンに与えた衝撃は本当に大きかったです。このタイミングで、FACTはエレクトロを大胆に取り入れました。
Kazuki パソコンでデモテープを作る環境ができたんですよ。それまではMTRでやっていたけど、手軽にノートパソコンをスタジオに持ち込んで編集もできたし、そこが一番大きいですね。
Takahiro これも入れられるんだ、これも入れちゃえって。音を入れることがすごく楽しくなっちゃって。
Kazuki このアルバムは実験的でもあり、イメチェンという部分でパソコンの導入はでかかった。まあ、進化の流れに乗ったというか、ああいうのはどういうふうに作っているんだろうなって。だけど、当時はまだ少なかったですね、ロックバンドでパソコンでデモを作っていたのは。今はそういうバンドが多くなりましたけどね。まだ6年しか経ってないけど、6年前はそんなにいなかったと思います。だから、いろんなヤツに「どうやって作ってるの?」と聞かれた記憶がありますね。
──そうなんですね。
Kazuki 俺らにとってパソコンとの出会いは革命的でした。
Takahiro インディーズ時代のアルバムでもその都度やりたいことをやっていたから、当初は「次は何をやろうか」と考えていて。
──また違うことをやろうと?
Kazuki うん、インディーズ時代の「The fine day never last」から「Never turn out the light, to keep myself」の間もすげえ進化してるし。俺からすると、毎回変わってるんですよ。ここであえて進化した部分を挙げるなら、パソコンだけかなと。
Eiji メジャーで出して、あそこまで大きな反響が来るとは思わなかった。そういう意味で俺らの進化を裏付けることはできたのかなと。
Tomohiro 花開いたというかね。
Kazuki わかりやすく進化できたのかな?
Takahiro アルバムが出るたびにそれぞれジャンルを決めつけられますからね。最初、俺らはメロコアをやってるつもりだったのに。
Kazuki 「Never turn out~」もメロコアだと思っていたしね。自分たちでジャンル名を付けてたじゃん。“エモーショナル・スピード・メタリック・メロディック・ハードコア”みたいな。
──当時の取材でもそんなことを言ってましたね。何を言ってるんだろう、と思いましたが(笑)。
全員 はははは(笑)。
──そういう意味ではブレてませんね。
Kazuki そうっすね。
Takahiro えっくん(Eiji)が入ったり、Adamが入ったりして、そのたびにサウンドが変わってるし、やりたいことも変わるんですよ。それが許されるバンドですね。
- ベストアルバム「best+ 2009-2015」2015年11月11日発売 / maximum10
- 「best+ 2009-2015」
- CD+DVD 4104円 / MXMM-10048
- CD 3024円 / MXMM-10047
収録曲
- look away
- choices
- paradox
- a fact of life
- purple eyes
- rise
- hate induces hate
- slip of the lip
- sunset
- the shadow of envy
- error
- FOSS
- drag
- witness
- ape
- miles away
- disclosure
- the way down
- wait
- over
CD+DVD盤 DVD収録内容
- ラストツアー「FACT "KTHEAT" JAPAN TOUR」大阪・なんばHatch公演のライブ本編
ROCK-O-RAMA 2015
2015年11月20日(金)
東京都 TSUTAYA O-EAST / 渋谷duo MUSIC EXCHANGE / clubasia
OPEN 16:00 / START 16:30
<出演者>
The BONEZ / COUNTRY YARD / Crossfaith / Crystal Lake / FACT / HER NAME IN BLOOD / HEY-SMITH / Ken Yokoyama / LITE / LOYAL TO THE GRAVE / MAN WITH A MISSION / NOTHING TO DECLARE(Acoustic Set) / POP DISASTER(Acoustic Set) / SIDE IMPACT / SNORT / STORM OF VOID / SWANKY DANK(Acoustic Set) / waterweed
FACT(ファクト)
Kazuki(G)、Adam(G)、Hiro(Vo)、Eiji(Dr)、Tomohiro(B)、Takahiro(G)の6人からなるロックバンド。1999年結成。2009年4月、フルアルバム「FACT」で全世界同時デビューを果たす。スラッシュメタル、グラインドコアなどの影響を感じさせるヘビーなサウンドに、ダンスロック、打ち込みなどの要素を取り入れたオリジナリティあふれるサウンドで、幅広いリスナーからの支持を獲得。2012年から現在の6人編成となる。2015年、3月に6thフルアルバム「KTHEAT」をリリースした後、年内で解散することを発表。同年秋にバンド初のワンマンツアーを行い、11月に最後の作品となるベストアルバム「best+ 2009-2015」をリリースして主催イベント「ROCK-O-RAMA 2015」でラストライブを行う。