音楽ナタリー Power Push - FACT
全員で明かす、FACTの歩み&解散理由
年内での解散を発表しているFACTが、最後の作品としてベストアルバム「best+ 2009-2015」をリリースする。今作には2009年発売のメジャーデビュー第1弾作「FACT」以降6枚のアルバムからメンバー自らが選曲した18曲に、書き下ろしの新曲2曲「look away」「choices」を加えた全20曲が収録される。
音楽ナタリーでは、メンバー全員参加のインタビューを実施。解散を決めた理由からベスト盤の内容、バンドのたどった軌跡、11月20日に控える自身のラストライブを兼ねた主催イベント「ROCK-O-RAMA 2015」への意気込みまで、FACTが最後に届ける声に耳を傾けてほしい。
取材・文 / 荒金良介 撮影 / 小原啓樹
FACT解散の理由
──今回ベスト盤を出すことになった経緯から教えてもらえますか?
Kazuki(G) 年内での解散が決まりまして、それで最後にベストを出そうと。
Tomohiro(B) せっかく出すなら、新曲を入れたりツアーをシューティングしたDVDを付けたりできたらいいんじゃないかと。
──現在回っているツアーの模様ですか?(参照:FACT、涙の“クライマックスシリーズ”ラストツアー東京編)
Tomohiro はい、大阪のライブの映像を撮ったので、それが付きます。
Kazuki CDの内容に関してはメンバーそれぞれ3曲ずつ選びました。
──メンバー6人×3曲で18曲に、新曲2曲ですね。では、ベスト盤の詳細はまた追って話を聞かせてください。まず単刀直入に聞きますが、解散の理由から教えてもらえますか?
Kazuki 結果から先に言ってもいいですか? 今の俺らが最強にカッコいいからっす。その結果に至る過程は複雑なものがあり、これを語り始めたら全部載せられないくらいの量になっちゃうから。まとめると、バンドには結成理由があると思うけど、FACTは俺が19歳のときに始めたバンドで、単純にカッコいいからバンドをやりたいという気持ちでスタートして。カッコいい曲を作りたい、ライブが楽しい、その気持ちでずっと続けてきたんですよ。それでアメリカのバンドが好きだから、アメリカのレーベルからCDを出したいとか……みんなで共有できる目標が自然と出てきたんです。そして、うれしいことにそれが叶った。叶ったけど、結成16年目にして、目標を自ら探さないとその目標が見えなくなって。その結果、先に進むモチベーションがなくなったというか。
──そうなんですか?
Kazuki なくなったと言う言い方はアレだけど、俺たちは今がベストな状態でこの下もないし、上もないという。
Eiji(Dr) それなら、バンドがベストな形で終わるのが一番いいかなと。
──それがKazukiさんが言った「今の俺らが最強にカッコいいから」という発言につながるわけですね?
Kazuki そうっすね。理由はいろいろあって……バンド以外にも普通の生活をしているだけでも、いろんなことが起きるじゃないですか。
──Kazukiさんのコメントがバンドを代表するものと受け止めていいんですか?
Tomohiro Kazukiの言いたいことは俺もわかるし、それはわかっているけど、具体的にこれが理由というものがなくて。言葉が合ってるかわからないけど、自然の流れの中で解散の決断をしたという。
晴れ晴れとした気持ちです
──解散の話は、いつ頃に浮上してきたんですか?
Kazuki バンドのスケジュールを考える中で、具体的にライブの本数を減らすとか、そういう話が出てきたんです。その時点でみんなの目標がブレてるわけですよ。今まではアルバムを作ろう、ツアーをしようとか、どんどん次が決まっていったけど、そうじゃなくなってきた。だから、みんなの目標が違ってきたのかなと。こないだのアルバム(「KTHEAT」)で、タイトルが意味深だったけど、そのときは解散が決まっていたわけではなくて。
──メンバーの頭文字を付けたアルバム名でしたもんね。
Kazuki たまたまなんですよ。それも不思議だなと。
──アルバム名もそうですが、作品自体もメンバーのやりたいことをストレートに詰め込んだと言ってたので、いろいろ詮索しちゃいました。
Kazuki 意外と理由があるようでないんですよ(笑)。自然と始まって、自然と終わる。自然な流れなんだなって。
Adam(G) 無理やり続けるのも違うし、好きなときに好きなことをやりたい人たちだから。無理やりは違うのかなと。
──Eijiさんはどうですか?
Eiji もちろん解散する、しないの話はしていたけど、当時は当時の考えがあったし、今は今の考えがある。今は結果があって、それを振り返って見ている状態だから、落ち着いてるし、冷静にバンドのことが見えるんですよ。みんな似たような感情があるのかもしれない。今はすっきりした気持ちですね。解散ですべてが終わるわけではなく、むしろ終わってから、リスタートできるものもあるから。晴れ晴れとした気持ちです。
──Hiroさんはどうですか?
Hiro(Vo) この6人で築き上げてきたものがあり、この6人がその道を選んだ。それは誰にも間違いかどうかわからないし、前に進んでいかなきゃわからないと思います。振り返って、間違いじゃなかったと思えたらいいなと。
Kazuki まあ、正解じゃないと困るというか。これが間違いだと、困っちゃう。
Takahiro(G) 映画の「フォレストガンプ」でトム・ハンクスがマラソンするシーンがあるじゃないですか。走りたくなったから、突然走り始める。で、ある程度走ったら、疲れちゃって、家に帰りたくなる。要するにそれと同じぐらいシンプルなんですよ。
Kazuki バンドは俺らが意識してないところででかい存在になったりするから。そうなりたくて始めたわけじゃなくて、初期衝動で始めただけですからね。
──このタイミングで、自分たちのこれまでの道のりを振り返りました?
Kazuki 振り返りましたね。最近HiroがライブのMCでよく言うんですけど、「当たり前だと思うなよ」って。いつ終わるかわからないし……息をするのも、ごはんを食べるのも当たり前だけど、何かのおかげでその循環が生まれているわけで。俺らは解散すると言ってるけど、現時点ではまだ解散してないから。ほんとに終わってみないと、俺の心にどんな穴が開くのかわからなくて。ぶっちゃけ、想像できないっす。
Tomohiro 振り返ると言っても、まだ歩いている感覚ですからね。
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- ベストアルバム「best+ 2009-2015」2015年11月11日発売 / maximum10
- 「best+ 2009-2015」
- CD+DVD 4104円 / MXMM-10048
- CD 3024円 / MXMM-10047
収録曲
- look away
- choices
- paradox
- a fact of life
- purple eyes
- rise
- hate induces hate
- slip of the lip
- sunset
- the shadow of envy
- error
- FOSS
- drag
- witness
- ape
- miles away
- disclosure
- the way down
- wait
- over
CD+DVD盤 DVD収録内容
- ラストツアー「FACT "KTHEAT" JAPAN TOUR」大阪・なんばHatch公演のライブ本編
ROCK-O-RAMA 2015
2015年11月20日(金)
東京都 TSUTAYA O-EAST / 渋谷duo MUSIC EXCHANGE / clubasia
OPEN 16:00 / START 16:30
<出演者>
The BONEZ / COUNTRY YARD / Crossfaith / Crystal Lake / FACT / HER NAME IN BLOOD / HEY-SMITH / Ken Yokoyama / LITE / LOYAL TO THE GRAVE / MAN WITH A MISSION / NOTHING TO DECLARE(Acoustic Set) / POP DISASTER(Acoustic Set) / SIDE IMPACT / SNORT / STORM OF VOID / SWANKY DANK(Acoustic Set) / waterweed
FACT(ファクト)
Kazuki(G)、Adam(G)、Hiro(Vo)、Eiji(Dr)、Tomohiro(B)、Takahiro(G)の6人からなるロックバンド。1999年結成。2009年4月、フルアルバム「FACT」で全世界同時デビューを果たす。スラッシュメタル、グラインドコアなどの影響を感じさせるヘビーなサウンドに、ダンスロック、打ち込みなどの要素を取り入れたオリジナリティあふれるサウンドで、幅広いリスナーからの支持を獲得。2012年から現在の6人編成となる。2015年、3月に6thフルアルバム「KTHEAT」をリリースした後、年内で解散することを発表。同年秋にバンド初のワンマンツアーを行い、11月に最後の作品となるベストアルバム「best+ 2009-2015」をリリースして主催イベント「ROCK-O-RAMA 2015」でラストライブを行う。