ナタリー PowerPush - 「EXIT TUNES ACADEMY -EXIT TUNES 11th ANNIVERSARY SPECIAL-」ライブレポート
さいたまスーパーアリーナで約1万8千人熱狂!!感動の6時間を完全レポート
去る4月7日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで音楽イベント「EXIT TUNES ACADEMY -EXIT TUNES 11th ANNIVERSARY SPECIAL-」が開催された。このイベントはレコード会社EXIT TUNESの設立11周年を記念して企画されたもので、当日はレーベルと縁の深い歌い手、ボカロPなどさまざまなアーティストが出演。60曲近い楽曲を6時間以上にわたって演奏し、集まった1万7892人のファンを大いに沸かせた。
本公演はメインスポンサーを「ヤフオク!」で一般公募するという異色の企画を実施。オークションの入札金額は1円からスタートし、15歳の女子中学生(イベント翌日から高校生)が1円のまま落札したことから、ステージ上の巨大掲示や各種広告には公約通り落札者のハンドルネームにちなんで「Koharu Sakurai Presents EXIT TUNES ACADEMY -EXIT TUNES 11th ANNIVERSARY SPECIAL-」という文字がディスプレイされた。
豪雨と予報されていた天気は奇跡的に晴天となり、さいたまスーパーアリーナには開場直後からたくさんの人々が殺到。物販コーナーにはあっという間に長蛇の列ができあがっていた。長丁場なイベントのオープニングを飾ったのは、アニメ「ゆゆ式」に登場する情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙)が歌う、同アニメのオープニングテーマ「せーのっ!」。作詞、作曲、編曲を担当したふわりPがノリノリでキーボードを演奏した。続いてStarving Trancer(Another Infinity) feat. Mayumi Morinagaが「ゆゆ式」のエンディングテーマ「Affection」を歌唱し、カラフルなサイリウムで埋め尽くされた会場は早くも熱を帯びていく。歌い終わった種田梨沙は「こんな大きな会場で、正直足がガクガクです」と素直な気持ちを明かしていた。
ぐるたみんが黒うさPの人気曲「千本桜」を歌い始めた瞬間、ステージから客席に向けて大量の銀テープが発射され、会場内のボルテージが一気に上昇。生バンドによるヘビーなロックサウンドに乗せてぐるたみんが力強くシャウトすると、ファンがはち切れんばかりの歓声でそれに応える。彼はその後も、YMのベースをフィーチャーして「オーバーテクノロジー」を熱唱。「ファンタジースター」ではサビの掛け声にあわせて飛び跳ね、それに合わせてアリーナ中のオーディエンスが一斉にジャンプしていた。また「天ノ弱」では164による泣きのギターと絡み合い、トップギアのまま駆け抜けるような強烈なステージとなった。
そらるとしゃむおんは「東京テディベア」でデュエットを披露。2人は王子様のように上品な佇まいながら、熱のこもった歌声で掛け合いを繰り広げていた。そらるはその後「文学少年の憂鬱」を歌い、感情をたっぷり込めた声でメランコリックな世界観を表現。しゃむおんはオリジナルPVのアニメ映像をバックに「非公開日誌」を披露した。さらにしゃむおんはみーちゃんとのユニット「みちゃおん」として、6月発売の1stアルバム「MEET YOUR ONLY WORLD」から「え?あぁ、そう。」を、オリジナル作成者である蝶々Pの演奏にあわせて歌唱。豪華コラボによるパフォーマンスに会場中が興奮し、客席が揺れるほどの盛り上がりとなった。また「shiningray」では床にスモークが焚かれたステージで幻想的なパフォーマンスを繰り広げた。
灯油の1曲目はkemuの楽曲「人生リセットボタン」。赤と青に染まったステージの上で、存在感のある鋭いハイトーンボイスで観る者を圧倒し、またギターで参加したスズムが観客を飲み込むような激しいプレイを披露した。灯油はのちに「トーキョープレジャーグラウンド」も披露。どこまでも伸びていく美しい高音ボーカルが、ハードなサウンドの中でも強烈な存在感を放っていた。
__(アンダーバー) のステージでは彼の独特な世界観が炸裂。シルクハットに仮面、マントという出で立ちで現れた彼は、ミュージカルのようなさまざまな人格を演じるように「十面相」を表現する。さらに彼は「アンダーバー星の王位継承」について説明するドキュメンタリー風アニメ映像を流して寸劇を演じ、また「ピエロ」「ギガンティックO.T.N」といったアッパーチューンでインパクトのあるステージングを次々と展開。「こちら、幸福安心委員会です。」ではリズムに合わせてステージから巨大な火柱が上がるという、ハイテンションな彼にピッタリの派手な演出が用意され、観客を巻き込んだ「アンダーバーは?」「最高です!」というコール&レスポンスで会場中に一体感を作り出していった。
黄色い声援に迎えられて登場したりょーくんは、まずはbuzzGとともに「ワールド・ランプシェード」をパフォーマンス。壮大なスケール感を持ったロックサウンドに乗せて、甘く透き通った歌声を響かせた。りょーくんはさらに「風待ちハローワールド」や、蝶々Pのキーボード演奏をバックにした「心拍数#0822」、そして「S・K・Y」とったバラードナンバーを3連続で歌唱。イベントのラスト直前にも164のギターをバックに「青」をしっとりと歌い、気持ちの込もった迫力ある歌声に観客はじっと聴き入っていた。
登場するなりオーディエンスに向けて「会いたかったぜ!」と叫んだ赤飯は、昨年12月に復活したジミーサムPとともに「Calc.」をパフォーマンス。圧倒的な歌唱力で観客を魅了していく。さらにデッドボールPとのコラボによる「パンチラドランカー」では赤飯がステージを所せましと走り回りながら客席を煽り、1万8000人の観客とともに「パンチラは素晴らしい」と合唱。「こんなに大勢の方々と自分の性癖について語り合えて幸せです!」とファンに向けて叫んだ。
そんな男らしいパフォーマンスから一転して「吉原ラメント」では、赤飯は艶やかな振袖を着て和傘をさしながら、妖しくもセクシーな歌を聴かせた。またその後、彼は「僕はすごくバカで不器用です。歌うしか能がないと思ってます。歌に生かされてると言っても過言ではありません。その反面、何回も歌に殺されそうになりました。辞めたいと思ったことも何度もありますが、最終的には歌が好きで、これしかないと思ってます」と涙を浮かべて告白。「皆さんもしんどいことなどがいっぱいあると思うけど、ちょっとでもいいから前に進めるように」と観客に思いを伝え、自身のオリジナル曲「plot」を贈った。
recogはゆちゃPのギター演奏で「ポーカーフェイス」、デッドボールPのシンセ演奏で「Japanese Ninja No.1」を歌唱。「ポーカーフェイス」ではrecogの煽りを受けて観客が一斉に「I want you!」と大合唱し、「Japanese Ninja No.1」ではショルダーキーボードを構えたデッドボールPとともに縦横無尽に動き回って会場を盛り上げた。赤いライダースジャケット、フリルのスカートというスタイルで現れた松下は「チェックメイト」でゆちゃPとコラボ。キュートでありながら骨太なロックを感じさせる歌声で観衆を魅了する。その後も彼女は「放課後ストライド」を歌唱し、縦ノリのアッパーなビートで会場の熱気を上げていった。
40mPがシャノをボーカルに迎えて演奏した「からくりピエロ」では、アーバンでジャジーなアレンジで会場の雰囲気が一変。シャノはガーリーな雰囲気ながらも艶っぽい歌声で、40mPと掛け合いを繰り広げた。歌い終えたシャノは客席に向けて「まさかこのステージに2回も立てるとは思ってなかった。夢のようです」と感謝の言葉を述べた。そのまま2人は、軽快でさわやかなポップソング「春に一番近い街」も披露。春風を感じさせるようなサウンドで、まさにこの季節にピッタリの1曲となった。
幽閉サテライトはギターに音霊を迎えた特別編成でのバンドアンサンブルを展開。仮面で顔を隠したまま、東方Projectのコスプレで「泡沫、哀のまほろば」「月に叢雲華に風」の2曲を演奏した。またcosMo@暴走Pのライブでは、ボーカロイドの歌声を同期させつつ「初音ミクの消失」「初音ミクの暴走」で華麗なキーボード演奏が繰り広げられ、強烈なパフォーマンスに会場が大いに沸いた。
che:櫻井とHYBRID SENSEによる2人組ユニットL.I.N.Eは、ヘビーなロックサウンドに乗せて妖艶な世界観を構築。卓越したステージアクションで観客をグイグイと自分たちのペースに引きこんでいく。演奏後にHYBRID SENSEは、この4月でL.I.N.Eとしての活動が3年目を迎えたことに感謝し、さらに7月3日にメジャー1stアルバムをリリースすることを発表しファンを驚かせた。ふわりPは、ボーカロイドの歌声に合わせてシンセサイザーの演奏で「にじいろのはる」を披露。途中で据え置き型のシンセを抱えて踊りながら走り回ったりと、そのゆるふわなアーティスト名とは裏腹に激しいプレイスタイルで、会場に拍手と喝采を巻き起こした。
着流しを身にまとってクラシックギター1本でステージに現れたおさむらいさんのライブは、しっとりとした繊細な演奏で、それまでの派手なパフォーマンスとは一転した緊張感あふれるものに。途中でNemが混ざり、おさむらいさんのギター演奏のみをバックに「シザーハンズ」を歌うと、観客はそのセッションにじっくりと聴き入った。続く「ハッピーシンセサイザ」では、おさむらいさんのギターを伴奏に会場中の観客が大合唱。「すき家! 松屋! 吉野家!」というコール&レスポンスが響き渡る、幸福感に満ちたステージとなった。
4月17日にアルバム「僕は初音ミクとキスをした」をリリースしたみきとPはエレキギターを弾きながら、自らボーカルをとって切ない恋の歌「サリシノハラ」を披露。切実さが胸を打つパフォーマンスで、じっくりと客を引っ張っていく。
終盤には赤飯、__(アンダーバー)、ぐるたみん、しゃむおん、灯油、Mayumi Morinaga、松下、そらるといった人気歌い手8人が一堂に集結し、ホラーショー風の3部作「Bad ∞ End ∞ Night」「Crazy ∞ nighT」「Twilight ∞ nighT」を連続でパフォーマンス。次々と繰り広げられる歌い手たちの掛け合いで、会場のテンションは最高潮になった。さらに本編最後にも同じメンバーが出演して「いーあるふぁんくらぶ」が披露され、ハッピーな空気に満たされたままライブは終了した。
その後、盛大なアンコールを受けて全出演者がステージに登壇。EXIT TUNES代表取締役社長のDJ UTOが「来年もまた日曜日に開催できるように、さいたまスーパーアリーナの偉い人にお願いしよう!」と呼びかけると、会場中から「日曜日!」というコールが湧き上がった。6時間以上にもおよんだこのイベントの最後を飾ったのは、ふわりPの楽曲「またあした」。全31組の出演者が横一列になって歌うなか、広大な会場は一面サイリウムの光が揺れ、天井からは桜の花びらを模した紙が舞い落ちるという、感動的なフィナーレとなった。
なお5月1日には「EXIT TUNES ACADEMY」の魅力を凝縮したコンセプトアルバム「EXIT TUNES ACADEMY BEST」がリリースされることも決定している。このアルバムには同ライブでもおなじみの楽曲を多数収録。ETAに行ったことがない人にも手にとってもらいたいということで、特典として1年間有効のイベント入場無料券や、イラストレーターさいねが各人気歌い手たちを描き上げたキャラクターストラップ(全11種ランダム封入)が同梱される。
4月29日からは「EXIT TUNES ACADEMY GOLDENWEEK ZEPP TOUR 2013」、7月28日からは「EXIT TUNES ACADEMY SUMMER TOUR 2013」という全国5都市でのZeppツアーがそれぞれスタート。どんどん拡大していくETAから今後も目が離せない。
終演後コメント動画
- EXIT TUNES ACADEMY GOLDENWEEK ZEPP TOUR 2013
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- 2013年4月29日(月・祝)
北海道 Zepp Sapporo - 2013年5月4日(土・祝)
福岡県 Zepp Fukuoka - 2013年5月10日(金)
愛知県 Zepp Nagoya - 2013年5月11日(土)
大阪府 Zepp Namba - 2013年5月19日(日)
東京都 Zepp Tokyo
前売券 3675円
- 2013年4月29日(月・祝)
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出演者
亜沙 / add9(ヘリP) / __(アンダーバー) / 164 / おさむらいさん (東京公演のみ) / ぐるたみん / cosMo@暴走P(名古屋公演のみ) / しゃむおん / スズム / Starving Trancer(Another Infinity) feat.Mayumi Morinaga / 赤飯 / そらる / ダルビッシュP(東京公演のみ) / たろう16bit(東京・札幌公演のみ) / DJ UTO / デッドボールP / 灯油 / ふわりP(大阪公演を除き出演) / 松下 / みきとP / りょーくん / YM / and more
- V.A.「EXIT TUNES ACADEMY BEST」2000円 / EXIT TUNES / QWCE-00282
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収録曲
- 千本桜 / 黒うさP feat.ぐるたみん
- 天ノ弱 / 164 feat. しゃむおん
- ダンスナンバーを共に / ナナホシ管弦楽団 feat. 松下
- チェックメイト / ゆちゃP feat.recog
- ディストピア・ジパング / cosMo@暴走P feat. 灯油
- ノーナイデンパ / YM feat.__(アンダーバー)
- Glitter(Starving Trancer Remix Edit) / Another Infinity feat. Mayumi Morinaga
- 風待ちハローワールド / add9(ヘリP) feat. りょーくん
- 吉原ラメント / 亜沙 feat. りょーくん
- 心拍数#0822 / 蝶々P feat.nero
- パンチラドランカー / デッドボールP feat. 赤飯
- おにゃのこ きねんび / 赤飯
- 十面相 / YM feat.__(アンダーバー)
- 深海シティアンダーグラウンド / 田中B feat. しゃむおん
- トーキョープレジャーグラウンド / 灯油
- 過食性:アイドル症候群 / スズム feat. GUMI&MAYU
- セツナトリップ / Last Note. feat. Mayumi Morinaga
- いーあるふぁんくらぶ / みきとP feat. ぐるたみん
- またあした / ふわりP feat. そらる
- 君にエールを…!(DJ UTO REMIX) / Mayumi Morinaga
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特典
- 「ETA無料チケット」もれなく封入
- さいねが描く全11種+シークレット1種オリジナル携帯ストラップ(スマホ対応)を数量限定封入
- CD同封のアンケートに答えて、オリジナルクリアファイル応募者全員プレゼント
- 店頭にてオリジナルポスタープレゼント
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「ETA無料チケット」について
有効期限:2013年5月1日~2014年4月30日
対象となる公演、また各会場への入場方法はEXIT TUNES ACADEMY WEB、およびEXIT TUNES公式Twitterにて随時発表いたします。
※各会場の当チケットで入場できる人数に関しては事前にEXIT TUNES ACAEDMY WEB、Twitter等でお知らせいたします。
※使用は、日本国内で行われる「EXIT TUNES ACADEMY」に限ります(特別イベントには使用できません)。
※無料チケット1枚につき、お1人様、1公演入場可能です。
※本無料チケットの入場者数制限を超えた場合は会場にお越しいただいても入場ができない場合がございます。あらかじめご了承ください。
※会場によっては別途ドリンク代がかかる場合がございます。
※本券はご持参の方全員の入場をお約束するものではありません。【問】03-4590-6236(お客様センター/平日 11:00~18:00)
※本件に関してCDショップやライブ会場、プロモーターではお答えできません。