アーティストEXITが歌詞に込めた思いとは 表現したいことを貫いたミニアルバム「GENESIS」を語る

最高の無駄遣い

──今回リリースされた初のミニアルバム「GENESIS」には全7曲が収録されています。これを聴いてもらえばEXITのやりたいことがもうちょっと鮮明に見えてくる感じもしますよね。

りんたろー。 そうかもしれないですね。ホントにいろんなタイプの曲が集まったし、どれも自分の好きな雰囲気に仕上がりました。聴いてて楽しいなってシンプルに思えるミニアルバムになったと思います。

兼近 うん。全体的なコンセプトを決めていたわけではないからそれぞれサウンド的にはバラバラだけど、たくさんの曲の中から自分たちが気に入った“よさげ”なものだけを選んでいったんで、ホントいい作品になったと思います。

りんたろー。 お互いに好きな音楽のジャンルも違うからね。2人とも直感頼りで曲を選んでいった感じでした。

──すべての曲でEXITが作詞にも参加されていますよね。

兼近 そうっすね。作詞家の方が上げてきてくれたものに対して、「ここはこういう言葉のほうがいいかもしれないです」「ここは残しましょう」みたいな感じでいろいろ意見を言わせていただきながら書いていった感じで。あとはレコーディングで歌ってみたときに、「ここはちょっと語呂が合わないからこの言葉に変えましょうか」とか。

りんたろー。 全体的にいろんな箇所で僕らの意見を取り入れてもらった感じですね。

──「なぁ人類」に続いて8月に先行配信された「SUPER STAR」ではMISIAさんがコーラスで参加されています。これも大きな反響がありましたよね。

兼近 たくさんの人に「MISIAの無駄遣いだ」って攻撃を受けましたね(笑)。「お前らの後ろにいていい人じゃないんだ」みたいな。

りんたろー。 それはホントにその通りですからね。ちょっと笑っちゃいました。そんなことわかってないとでも思ってんのかっていう(笑)。僕らはMISIAさんのライブに何度も行かせてもらってるんで、すごい方だっていうのは重々承知してますから。

兼近 しかもコーラスの件はMISIAさんから言ってくださったことなんですよ。それを断るなんてね、それこそおこがましいことですから。

りんたろー。 うん。ほんとに光栄すぎたんで、最高の無駄遣いにするつもりで僕らもレコーディングをがんばりました。

──ミニアルバムには「WHAT COLOR?(feat. 明石家さんま)」という曲が収録されていますが、ここではなんと明石家さんまさんがフィーチャーされていますね。

兼近 “色”をテーマにした曲なので、昔「ブラックデビル」というキャラクターをやっていたさんまさんに参加してもらったら面白いんじゃないかなと思ったんです。ダメ元で聞いてもらったらOKしていただけたっていう。メロディがめっちゃよくて大好きな曲だったので、さんまさんに参加してもらえてうれしかったですね。

りんたろー。 お笑い怪獣がチャラ男のアルバムに参加してくれるなんてね。レコーディングのときには、前に僕たちがプレゼントしたジャケットを着てきてくれて。「こんな感じで行くで!」とすぐにいろんな声を入れてくれて、10分くらいで録り終えてバッと帰って行きました。「超かっけー!」って思いましたね。やっぱスターはちげえなって。

──自分にしかない色を大事にして生きていこうというメッセージもいいですよね。

兼近 そうっすね。これもいろんなことを言われる可能性はありますけど、ちゃんと聴いてもらえれば僕らの言いたいことは伝わるかなと思います。

プロデューサーかねちーとマリオネットりんたろー。

──「バナナナナバ」という曲は唯一、EXITが単独で作詞を手がけた楽曲です。

兼近 この曲はもう何の意味もないっすね(笑)。そういう曲をどうしても1曲入れたかったんです。シンプルに楽しくみんなで踊ったり歌ったりできればいいなっていう。歌詞はたまたま近くにいた子供に好きなフルーツを聞いて、それをそのまま書いた感じですね。この曲のタイトル、本当は「バナナナバ」がよかったんですけど、確認ミスで“ナ”が1個多くなっちゃって。それが唯一、悔しいところですね。

りんたろー。 この曲はかねちー(兼近)が総合プロデューサーみたいな感じで、歌い方をけっこう指示してきたんですよ。「発音が違う」「イントネーションが違う」みたいな。それがマジで何言ってるかわかんなくて、怖かったっすね(笑)。「どこがどう違うんだよ!」っていう。

EXIT

兼近 あははは。俺がいろいろ言うとそのうち怒るかもしんないから、途中からはほかのスタッフを通してりんたろー。さんに伝えてもらったりしてました。ホントは俺が言ってるんだけど、直では言わないっていう(笑)。

りんたろー。 僕はもうマリオネットみたいな感じでしたけど、楽しみながら思いきり踊ってやりましたよ。最近はカラオケにも全然行けなくなっちゃったんで、レコーディングはどの曲もめっちゃ楽しかったです。基本的には1つの山をイメージして、その山を声で押すようにして歌いました。

兼近 それ合唱コンクールで先生に言われるやつじゃん(笑)。

りんたろー。 音楽の先生がそう言ってたのを思い出したんで(笑)。あと歌詞に関しては、今まで反骨精神みたいな気持ちでリリックを書いてきてたんですけど、けっこうステージが変わっちゃったところがあって。今の状況から反発していたときを思い出してリリックを下ろそうとしてもちょっと出てこなくなってる時期があったんですよね。それがちょうどこのアルバムを作ってるときだったから、ちょっと苦労しましたね。

兼近 今のエピソードはR-指定(Creepy Nuts)さんが僕らに言ってた話ですね。まんまパクッてます(笑)。

りんたろー。 どっかに「by R-指定」って書いといてください(笑)。

いつかフジロック

──本作のジャケット写真や、初回限定盤に付くフォトブックはレスリー・キーさんの撮り下ろしなんですよね。

りんたろー。 そうなんですよ。空気を作るのがすごく上手な方で、気付いたら脱がされてましたね。左乳首大解放スペシャルな写真とかもあります。仕上がりを見たときは世界観がすごいなって思いました。

兼近 撮影はホントに楽しかったです。2着がつながった服を2人で着るとか、肌に直接ペインティングするとか、いろんなアイデアを形にしていく作業にワクワクしましたね。

りんたろー。 ただ、つながった服を着て撮った写真は、仕上がりを見たらつながってなくても撮れたやんみたいなものもあって(笑)。つながってるとかなり動きづらかったんで。

兼近 それは正直、俺も「大変だな」と思ってましたよ(笑)。でも、服をつなげるアイデアは俺が出したからずっと我慢してました。

りんたろー。 珍しくノリノリだったのはそういうことだったのね(笑)。でもホントにすごくいい写真ばかりなので、ぜひ見てほしいですね。さすがレスリーっす(笑)。

──では最後にアーティストとして成し遂げたい目標を教えてください。

兼近 エド・シーランとコラボしたいっす!

りんたろー。 いいね! あとジェイ・Zとかね。「フジロック」(「FUJI ROCK FESTIVAL」)にも出たいです。

兼近 出たい!

りんたろー。 僕らはもともとフェスに似合う芸人だと思うんで、そこに音楽を絡めてぶち上げるのはいいかも。いつか実現したいっすね。

EXIT
EXIT(イグジット)
EXIT
りんたろー。、兼近大樹による吉本興業所属のお笑いコンビ。2017年8月、チャラ男漫談をしていたりんたろー。に兼近が声をかけ「M-1グランプリ」に出場。同年12月に正式にコンビを結成した。2018年7月放送のテレビ東京「ゴッドタン」出演をきっかけにブレイクする。同じく7月にLaugh&Peace Musicから初の楽曲「Re;rize」を配信リリース。11月には吉本興業所属芸人で最速となる結成11カ月でルミネtheよしもとでの単独ライブを開催した。2020年1月にきつね×EXIT名義で配信シングル「L.O.K.F」、3月にスカイピース、Da-iCEとのコラボ曲を収録した初のシングルCD「EXSID」をリリース。2021年7月に「なぁ人類」にてソニーミュージックよりアーティストデビュー。9月に初のミニアルバム「GENESIS」を発表した。このほかアパレルブランド「EXIEEE」のプロデュースを手がけるなど、芸人の枠に留まらない活躍を見せている。