2019年に結成20周年を迎えるET-KINGが、1月より全国ツアー「えびす巡業~やりたい放題やったる年!!~」を開催する。
今年1月にリーダー・いときんが癌性心膜炎のためこの世を去ったET-KING。つらい出来事を乗り越え、残された5人はアルバム「LIFE」のリリース、全国各地での精力的なライブ活動などを展開し、20周年に向けた新たな体制を着実に作り上げていった。
そんな彼らが記念すベきアニバーサリーイヤーに、全国のファンへ今までの感謝を届けるツアーを開催する。今回のインタビューでは5人にとっての2018年、そしてツアーを控えた現在の心境をじっくりと語ってもらった。
取材・文 / 秦野邦彦 撮影 / 渡邉一生
偉大な男が残した言葉やメッセージがたくさんある
──来年結成20周年を迎えるET-KINGですが、今年1月31日に闘病中だったリーダー・いときんさんの訃報が届きました(参照:ET-KINGいときんが38歳で死去)。元気に復活されることを心待ちにしていたと思いますが、当時の皆さんの心境をお聞かせください。
コシバKEN 前回取材していただいたときは(参照:ET-KINGインタビュー|こういう状況やからこそ歌える歌がある!いときん闘病中のグループを支えるメンバー5人の今)、アルバム「LIFE」の制作が終わってリリースを楽しみにしてくださいというタイミングでしたね。あのとき、いときんは病気と闘いながら去年の12月28日の大阪・Zepp Nambaでの全国ツアー「えびす巡業~出稼ぎ篇~」ファイナル公演に向けてがんばってくれてたんです。本人はほかの日程も出たいと言ってたんですけど、「今回が最後じゃないから、とりあえず12月28日のファイナルに向けて体を作っておいてよ」という状況で。当日も「10曲ぐらいやりたい」って言うから「それはちょっと待ってくれ」っていう感じでアンコールだけ出てもらって。
センコウ とにかくライブしたいという思いはずっとありました。当日の最高のライブの映像はアルバム「LIFE」初回限定盤のDVDに入っているので、ぜひ観ていただきたいんですけれども。僕らもツアーを5人で回るのは初めてだったんで不安もあったんですけど、最後にいときんと一緒に歌えてることに安心もあったし、うれしさもあったし。
コシバKEN いときんから言われたのは「それぞれがやれることをしっかりやりなさい」ということでした。もちろん本人も戻ってくる気でしたし、僕らもそこに向かって動いていたので。2017年は病気がわかって悲しい1年だったんですけど、一番しんどいはずのいときんがツアーファイナルの最後に「ええ1年でした!」と言ったのがすごく印象的で。そういう意味では、いい締めくくりができた年末でした。
──いときんさんとの出会い、そしてET-KING結成時の思い出はKLUTCHさんのブログ(参照:俺のともだち | ET-KING KLUTCHオフィシャルブログ Powered by Ameba)でも語られていましたが、つらい気持ちを乗り越えてET-KINGを続けようと思われたのは、どうしてですか。
KLUTCH シンプルに、偉大な男が残した言葉やメッセージがたくさんあるんで、それをこの先に伝えていくのが僕らの使命やし、まだまだやらなあかんことが僕らには残されているからそれをやっていくだけだなと。「これからET-KINGどうしよう」というのはあまりなくて、進むべき道は変わらへんのかなっていうのは思いますね。
センコウ TENN(2014年に死去)もいときんもいなくなったけど、そこで止まっても2人とも喜ばへんやろうし、それが原動力でもあるのかなと思います。今までやってきたことを誇りに思っているんで、僕ら。止めたくないからっていう。昔の曲もまだまだ伝えたいし、今の俺らやから歌える歌があると思うし。いろんな捉え方があっていいと思うんですけど、僕らの歌で誰かがちょっとでも元気になってくれればうれしいですよね。
いろんな思いを込められた「LIFE」というタイトル
──今年4月にリリースしたアルバム「LIFE」は本当に素晴らしい作品で、たくさんの方に聴いていただきたいなと思います。ここで改めて「LIFE」というタイトルに込めた思いについてお聞かせください。
コシバKEN 今までの作品は基本いときんがプロデュースして取りまとめてくれてたんですけど、今回は闘病中ということもあって初めて「任すわ」って言われて。「LIFE」は 「愛しい人へ」や「新恋愛」をプロデュースしてくれたNAOKI-Tさんが8年ぶりに一緒にやってくれることになって、NAOKIさんが持ってきてくれたトラックに僕らがアプローチしていく形をとりました。僕らのスタジオ(メンバー自身が大阪に建てたHEAVY C.R.E.A.M SUTADIO)を見て「最高の環境だね。これならET-KINGが歌えることの幅も広がったんじゃない?」ってすごく褒めてくれて。今までは彼女だったり目の前にいる人に対して歌ってきたけど、これからは家族に向けた歌がラブソングになるんじゃないか、みたいなテーマも引き出してくれて。そんな中でいときんの病気が見つかったんです。
──まさにこれからというときだったんですね。
コシバKEN 「なんかいいね」という曲があるんですけど、このテーマを出してくれたのはいときんなんです。病室でテーマがなかなか見つからへんみたいな話をしていたら、「そんな深く考えんでいいんちゃうか? 普段の生活の中でちょっとした何かええなあって思うことをいっぱい積み重ねていったらそれが幸せになるやろ」って。ああそうか、「なんかいいね」っていいな、と思って。病気が見つかって一番しんどい時期なのに誰かに何かを伝えたいと思える人ってすごいですよね。そういうことが積み重なって、できあがったときにKLUTCHが「LIFE」というタイトルをつけてくれて。
センコウ みんな思ってることは一緒で、「LIFE」で行こうってすぐ決まりました。ジャケットも僕らのスタジオの写真です。その上にBUCCIが「LIFE」ってタイトル文字を書いてくれて。
BUCCI 今回は指で書きました。よく見たら指紋とか残ってるんちゃいますか?(笑)
──「LIFE」というタイトル、力強くていいですね。いろんな捉え方ができるでしょうし。
センコウ 僕らのライフスタイルだったり、生命力だったり、いろんな思いを込められたと思います。ジャケット裏側の写真では自転車が止まってるんですけれども、あれはTENNが乗ってたチャリンコなんです。どうしても載せたいねってみんなで話をして。
──7人全員が参加しているアルバムなんですね。7曲入りで30分というのも実に今っぽい。カニエ・ウエストの「イェー」もこのサイズでした。
センコウ 最近そういう傾向ですよね。みんな13、4曲入ってたら聴ききれへんのかなあと思って。
コシバKEN 僕の家からこのスタジオまで来る間、ちょうど1枚分聴けるんです。とてもいいサイズですね。
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7人の頃のET-KINGに追い付き、追い抜かす
- ツアー情報
「えびす巡業~やりたい放題やったる年!!~」 -
- 2019年1月12日(土) 福島県 郡山HIP SHOT JAPAN出演者 ET-KING
- 2019年1月13日(日) 宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX出演者 ET-KING
- 2019年1月20日(日) 富山県 MAIRO出演者 ET-KING / 昭和の兄弟(オープニングアクト)
- 2019年1月26日(土) 滋賀県 滋賀U★STONE出演者 ET-KING / nobodyknows+
- 2019年1月27日(日) 香川県 高松MONSTER出演者 ET-KING
- 2019年2月2日(土) 広島県 広島セカンド・クラッチ出演者 ET-KING
- 2019年2月3日(日) 兵庫県 チキンジョージ出演者 ET-KING
- 2019年2月9日(土) 鹿児島県 CAPARVO HALL出演者 ET-KING
- 2019年2月10日(日) 長崎県 DRUM Be-7出演者 ET-KING
- 2019年2月11日(月・祝) 福岡県 DRUM LOGOS出演者 ET-KING / TEE
- 2019年2月16日(土) 東京都 神田明神ホール出演者 ET-KING / かりゆし58
- 2019年2月17日(日) 愛知県 ElectricLadyLand出演者 ET-KING / SEAMO
- 2019年2月22日(金) 大阪府 umeda TRAD出演者 ET-KING
- ET-KING(イーティーキング)
- 1999年に大阪で結成。5MC+1DJ+1総合司会という異色のメンバー構成で、大阪は通天閣のすぐ近く大国町を拠点に共同生活をしながら活動をスタートさせた。レゲエ、ヒップホップ、テクノ、ロック、さらに歌謡曲や演歌までも取り入れたオリジナルなサウンドと、はっぴを身にまとい「お祭り」をテーマに繰り広げられるエネルギッシュなライブで注目を集める。2007年にシングル「愛しい人へ」とアルバム「LOVE&SOUL」のヒットでブレイク。結成15周年を目前に控えた2014年に全国ツアー「ET-KING 結成15周年記念全国ツアー ~おまえとおったらおもろいわ!~」を開催し、ツアーファイナルを持って“充電期間”と称した活動休止期間に入ることを発表した。同年9月にメンバーのTENNが死去。2015年7月にメンバー6人で活動を再開し、2016年2月に活動再開後初のアルバム「Ideologie」を発売した。2017年8月よりリーダー・いときんが肺腺がんの治療に専念するためライブ活動を一時休止。同年12月に行われた全国ツアーファイナル公演にて復帰したものの、2018年1月に死去した。その後もグループは活動を続け、4月にニューアルバム「LIFE」を、11月に配信シングル「この街の空」をリリース。2019年1月より結成20周年記念の全国ツアー「えびす巡業~やりたい放題やったる年!!~」を行う。