リーダー・いときんが肺腺がんの治療のため8月からライブ活動を休止しているET-KING。しかしそんな逆風に負けず、彼らは11月に新曲「こっちこい」を配信リリースし、12月に5人のメンバーで全国ツアー「えびす巡業~出稼ぎ篇~」を開催する。
音楽ナタリーでは今回、メンバー5人にET-KINGの現状についてのインタビューを実施。さらに各メンバーの音楽的なバックグラウンドを聞き、ET-KINGの音楽が生まれる背景に迫る。
取材・文 / 秦野邦彦 撮影 / 渡邉一生
あいつが病気に前向きになってる中で、僕らは止まるわけにはいかない
──最初にファンの皆さんも心配していると思いますが(参照:ET-KINGいときん、肺腺がんを公表「生きたい!!」)、いときんさんの具合はいかがですか。
コシバKEN 病名が病名なのでご心配をかけているんですけど、本人もすごく前向きに戦ってくれてますし、実際病状もよくなっていて。今回の新曲「こっちこい」の告知動画でレコーディングシーンに本人も出ているんですけど、体型がちょっとシュッとしてるのは病気のせいじゃなく、節制の賜物ですので。今まで暴飲暴食が過ぎただけで。
──「こっちこい」のレコーディングに、いときんさんも参加されているというニュースに勇気付けられた人も多いと思います(参照:ET-KING新曲「こっちこい」に肺腺がん闘病中のいときんが参加)。
センコウ いときんがライブ活動できないということで、ET-KINGとして今後どうするか考えた時期もあったんですけど、あいつが病気に前向きになっていろいろやってる中で僕らは止まるわけにはいかないなという思いはありました。夏以降に決まってたイベントも、先方に「こういう状況ですけどよろしいでしょうか」というお話もさせてもらったんですけど、「いやいや、こんなときやからこそ来てメッセージ伝えてほしい、盛り上げてほしい」と言ってもらえて。待ってくれてる人がいることに、ありがたいなとひしひしと感じました。ライブ中も「負けんなよ!」「がんばれよ!」という声がよう聞こえたんです。
コシバKEN ちょっとアスリートに向けて言ってるみたいな掛け声で。ありがたかったですね。
センコウ いときんへの寄せ書きを会場でいただいたり。
結婚もして家族も増えた自分たちに歌えるラブソング
──支援の声も、これまでの皆さんの活動あってこそだと思います。そうした中で完成した「こっちこい」は親と子の関係を歌った、メンバーの皆さんが結婚して家庭を持たれた今だからこその曲ですね(参照:ET-KINGのKLUTCHが結婚「いつも笑顔で僕のことを陰ながら支えてくれていました」)。これはいつぐらいから準備されてらっしゃったんですか?
コシバKEN 取りかかったのは今年の4月です。もともと次のアルバムを作ろうという動きの中で、「愛しい人へ」「ギフト」「新恋愛」をプロデュースしてくれたNAOKI-Tさんともう一度タッグを組んでやりたいという声が、いときん含め全員から出てきて。
──NAOKI-Tさんとのタッグは約7年ぶりになります。
コシバKEN お話を持っていったら、「ひさびさだね」と快諾していただけて。大きく変わった点は、これまでNAOKIさんとの作業は僕らが東京に行って住み込みでやってたんですけど、今回は自分たちのスタジオができたんで、逆に東京からNAOKIさんに来ていただいたことです。
──ET-KINGメンバー全員で建てたレコーディングスタジオ、HEAVY C.R.E.A.M SUTADIO(ヘビークリームスタジオ)ですね。
コシバKEN うちのBOOBYが管理してくれてます。
DJ BOOBY 作るときは「できるだけ安く」ってことを考えながら(笑)。見積もり出したとき、値段の差が激しかったのは壁ですね。壁の厚さは40~50cmはあるんで。10畳ぐらいのスタジオに、家3軒分ぐらいの木を使ったと職人さんが言ってました。作る段階でもセンコウとか一緒に手伝って。
センコウ いときんと2人で壁塗ってました。少しでも早く、少しでも安くしたくて(笑)。
コシバKEN 今回のレコーディングでスタジオに来られたNAOKIさんが「すげえな、お前ら!」って驚いてました。「ライフスタイルがにじみ出てる。汚ねえし(笑)。でも、最高だよ」って。
──このタイミングで、親と子の関係をテーマにした曲を作ったのはなぜですか?
コシバKEN 僕らは最初もう一度ラブソングをやれたらなと思ってたんですけど、NAOKIさんから「今のET-KINGはみんな結婚もして家族も増えたわけだし、自分たちのライフスタイルで歌えるラブソングがいいんじゃない?」という提案をいただいて。もっと広い角度で今の自分たちが歌えるラブソングっていうテーマで作ったのが「こっちこい」なんです。親父から息子、娘へっていう。
──聴いていると、幼い子が目の前にいる気持ちになります。
コシバKEN シンプルに子供のことだけ歌っても響いていかないと思うから、KLUTCHのパートやったら未来の子供に伝えるという聴き方もできるように、BUCCIのパートやったら「城公園」とか「御堂筋」とか大阪の絵が浮かぶようなフレーズが出てくるようにしてます。その中で四季を感じられる、1年通して聴ける歌がいいんじゃないって。さすがNAOKI-Tですね。
ニューアルバムの制作は終わりました
──「こっちこい」はライブでもすでに披露されていますが、ステージからご覧になって手応えはいかがですか?
BUCCI 僕らのライブに来てくれるお客さんも、お子さんがいてるママさんがけっこう多いので。響いてくれてたらうれしいですね。あと、若い十代の子にも、あなたのお父さんお母さんはこういうふうに思いながら育ててくれたんだよというのが伝わればいいなと思いながら歌っています。
──次の世代につなげる意味も込めて。
コシバKEN なので曲自体もわりと短めで。最初はもうちょっと長かったんですけど、短いほうが若い子はさくっと聴けて盛り上がれるんじゃないかっていう考えもあって。
──海外でも短めな曲が最近のトレンドですよね。では、アルバムの制作も着々と進んで。
コシバKEN 制作は終わりました。あとは最後のマスタリングを残すのみです。
──その先行曲として「こっちこい」をまず配信と。
コシバKEN ツアーに向けてっていう部分で、手ぶらでぶつかっていくよりはいいなと思って。
センコウ これ聴いてからツアー来てもらえたら楽しいじゃないですか。実際、この曲は一発目にやったときから反応よかったですね。
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ライブを観たマキシマム ザ ホルモンが「自分らせこいわー!」って
- ET-KING「こっちこい」
- 2017年11月22日配信開始
- 収録曲
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- こっちこい
[作詞:ET-KING / 作曲:NAOKI-T、ET-KING]
- こっちこい
ツアー情報
- 全国ツアー「えびす巡業~出稼ぎ篇~」
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- 2017年12月14日(木) 宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2017年12月15日(金)神奈川県 CLUB CITTA'
- 2017年12月22日(金)愛知県 Zepp Nagoya
- 2017年12月24日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2017年12月25日(月)福岡県 ももちパレス 大ホール
- 2017年12月26日(火)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第2ホール
- 2017年12月28日(木)大阪府 Zepp Namba(SOLD OUT)
(※大阪公演はOSAKA ROOTSを迎えてのバンド編成で実施)
- ET-KING(イーティーキング)
- 1999年に大阪で結成。5MC+1DJ+1総合司会という異色のメンバー構成で、大阪は通天閣のすぐ近く大国町を拠点に共同生活をしながら活動をスタートさせた。ストレートな言葉と力強いメッセージを武器に、レゲエ、ヒップホップ、テクノ、ロック、歌謡曲、ときには演歌までも取り入れたオリジナルなサウンドを展開。また、はっぴを身にまとい「お祭り」をテーマに繰り広げられるエネルギッシュなライブは、笑いあり涙ありで、聴覚だけでなく視覚でも観客を楽しませる。2007年にシングル「愛しい人へ」とアルバム「LOVE&SOUL」のヒットでブレイク。結成15周年を目前に控えた2014年に全国ツアー「ET-KING 結成15周年記念全国ツアー ~おまえとおったらおもろいわ!~」を開催し、ツアーファイナルを持って“充電期間”と称した活動休止期間に入ることを発表した。同年9月にメンバーのTENNが死去。2015年7月にメンバー6人で活動を再開し、2016年2月に活動再開後初のアルバム「Ideologie」を発売した。2017年8月にリーダー・いときんが肺腺がんの治療に専念するためライブ活動を一時休止することをアナウンス。11月に新曲「こっちこい」を配信リリースした。