été|普通じゃない音楽を鳴らす3人

étéの曲は“足し算の音楽”

──今作「Burden」は、バンドにとって初の全国流通盤であり、レーベル所属後にリリースする第1弾の音源でもあります。節目のタイミングで発表する音源をどういうものにしようと考えて制作をスタートさせたんでしょうか?

オキタユウキ(G, Vo)

オキタ 8月にレーベルに所属することになった段階で「12月に音源を出そう」ってことがすぐ決まって。制作のわりと早い段階で「Burden」という作品のタイトルを先に決めました。だから今作のために書き下ろした「DAWN」や「デッドエンド」という曲は、アルバムタイトルを意識しながら作った曲ですね。

──「Burden」は「重荷」という意味の英語ですよね。なぜこのタイトルに?

オキタ もともと「Burden」という曲が持ち曲の中にあって、その歌詞の内容が「自分はこう思ってるけど、君はどうなの?」というものなんです。最近の僕が書く歌詞の傾向がそれに近いのと、初めてétéのことを知ってもらう人たちにバンドの姿勢を見せたかったという意味で「Burden」という言葉を選びました。

ヤマダ ミニアルバムのタイトルが決まって、今作のリード曲である「DAWN」が完成したときにすごく手応えを感じたんです。「これはいいミニアルバムになるぞ」って。

小室響(Dr)

小室 「DAWN」はétéがこれまでやってきたいろんな音楽の要素を全部詰め込んだ曲だよね。オキタの語りから始まって、その後の展開が複雑だし、変拍子も入ってる。

オキタ étéの曲は“足し算の音楽”なので、とにかくやりたいことを1曲の中に詰め込むんです。ミニアルバムの2曲目「ドルシネア」なんかも面白い曲に仕上がったと思います。ポエトリーリーディング的な部分とラップ的な部分、それにポストロックの要素を意識して作ってみたんですけど、こんなに詰め込んでも形になるものなんだなって。

──étéは3ピースバンドですが、「眠れる街の中で」「Burden」ではピアノのメロディが入っているのが印象的でした。オキタさんの「étéの曲は“足し算の音楽”」という言葉を聞いてその理由が分かった気がしました。

ヤマダ 特に「Burden」はピアノのメロディが主旋律になってますからね。

オキタ 3人で音源を作るうえで、楽器の数はあまり気にしていないですね。そもそも3ピースバンドって音源ではリードギターが入っていることが多いから、どうせ音を重ねるなら、重ねられるだけやっちゃおうと思って。特にétéではやりたいことが多いから、縛りのような概念は極力ないように曲を作っています。

自信を持ってギターを置ける

──音を重ねることに躊躇がないだけではなくて、音を引くことにも躊躇がないですよね。7曲目「close.」には、ギターの音が入っていないですし。

オキタユウキ(G, Vo)

オキタ ライブでも同じスタンスなんですけど、3ピースでありながら僕は自信を持ってギターを置く選択ができるんです。

──オキタさんがギターを持たなくてもétéの音楽は成立するわけですね。

オキタ 後ろの2人を信頼していますし、ライブのような場所ではハンドマイクで歌うほうが映えると思うし。

小室 うん。オキタはギターを持たなくても絵になる。

ヤマダ étéはオキタが紡いだ歌詞が、オキタの声で歌われることに重きを置いているバンドだから、そこにギターがあるかないかはあまり関係ないんです。オキタが前に立って、僕ら2人が後ろで支えればそれでétéの音楽は成立しますから。

オキタ 「ドルネシア」って曲は、音源ではギターが入っていますけど、ライブではギターを持たないで披露することが多いんです。ラップの要素が強い曲ではオケでギターを流してハンドマイクで歌ったほうがわかりやすいし、言葉がより観ている人に伝わる気がするんです。

誰もが見向きもしていない方向を向いて

──初の全国流通盤をリリースして、étéというバンドの将来にどういうビジョンを持っていますか?

オキタ 自分たちのやっている音楽をメインストリームにしてやろうとか、そういうつもりはあまりないんです。僕らがやってるような音楽をやってるバンドは周りにいないし、誰もが見向きもしていない方向を向いて音楽を続けていくことで、どういうことが起こるのか、それを確かめたいんですよね。

──今作のリリース記念イベントでは大阪や愛知でもライブをしますね(参照:ete、初の全国流通盤「Burden」携え東名阪でフリーライブ)。

ヤマダ 関西でワンマンをやるのは今回が初めてなんです。どんな人たちが観に来てくれるのか楽しみですね。

小室 étéを初めて観に来る人がほとんどだよね。

オキタ étéのことを知って、étéのことが気になった人は一度ライブを観に来てほしいです。僕らが伝えたいこと、表現したいことは、ライブが一番伝わると思うから。

été
ete「Burden」
2018年12月5日発売 / コドモメンタルINC.
ete「Burden」

[CD] 1500円
CMI-0043

Amazon.co.jp

収録曲
  1. DAWN
  2. ドルシネア
  3. 眠れる街の中で
  4. デッドエンド
  5. 眠れる街の中で
  6. Burden
  7. It
  8. close.
été(エテ)
été
オキタユウキ(G, Vo)、ヤマダナオト(B)、小室響(Dr)からなる3ピースバンド。ポストロック、ハードコアといったジャンルのサウンドを軸に、ポエトリーリーディングを取り入れた独特な音楽性で注目を集める。2018年8月に実施されたオーディション「404 AUDITION」でグランプリを獲得し、コドモメンタルINC.の所属に。同年12月、初の全国流通盤となる新作ミニアルバム「Burden」をリリースした。