バーチャル空間にいても熱気が伝わってくる
──せっかくの機会なので、お互いに気になることがあれば聞いてみてはどうでしょう?
環 私はi☆Risさんのライブ映像を観て「煽りとかこういうふうにやってるんだ」と自分のライブの参考にさせていただくことがあるんです。去年の11月に行われた「i☆Ris 7th Anniversary Live ~七福万来」のDVDもライブの前に観させていただいて「すごい! こうなりたい!」と思ってました。でも、私はどうしてもライブ前は緊張してしまって……そうならない方法ってありますか?
友希 私はいろいろと準備してからステージに立つタイプなので、ライブ直前までずっと体をほぐしたり、声出しをしたりしていますね。直前までスマホを触っていて、すぐにバッと切り替えてステージに向かえる子もいますけど、私はそうではなくて。成功させたいからこそ力が入ってしまうものだし、緊張しないと出せない力がありますからね。緊張しないとゾーンに入れないというか。
奈央 なるほど……! 私は、ライブが終わったあとの体のケアについても聞きたいです。
友希 実は私、これまでずっと活動を続けてきて、ここ1、2年でやっと体のケアを気にするようになったんです(笑)。今はマッサージに行ったり、ツアー中は温泉に行って温冷交代浴をしたりしていて。そうすると、めっちゃ体がほぐれるんですよ。
──ツアー先ならではの楽しみもあって、一石二鳥ですね。
友希 はい(笑)。もし行く機会があればオススメです。えのぐさんのライブも「何曲続けるの!?」と思うぐらいずっと動いていますし。
──ライブのときはそれぞれどんなことを意識しているんですか?
友希 私の場合はファンの方との臨場感というか、皆さんが盛り上がってる姿を見て「私たちも負けてられないな」という感覚になりますね。えのぐのみんなは、どんなふうにお客さんの熱気を感じながらバーチャル空間からパフォーマンスしてるんですか?
環 私たちも同じ感じですね。バーチャル空間にいても、目の前にいるお客さんの熱気が伝わってくるんです。
友希 へえ、すごい! 本当に最先端だなと思います。私、自分が声を担当しているキャラクターがバーチャルな姿でステージに立っているのを観たことがあるんですけど、そのときも感動してしまって。えのぐさんはバーチャルならではの魅力もありますし、ライブを観るとみんなが本当にそこにいるんですよね。
──それぞれの個性がパフォーマンスを通してしっかりと伝わってきますよね。
友希 そうそう、本当に。みんなのそれぞれの動きに個性がありますよね
活動していてうれしい瞬間
ハル あと私は、友希さんがアイドル活動をやってきた中で一番うれしかったことも聞いてみたいです。
友希 i☆Risは初期の頃、秋葉原で定期公演をやっていたんですけど、そのとき観に来てくれていたお客さんは7人ぐらいでした。そこから「プリパラ」(i☆Risメンバーがメインキャラクターの声優とオープニングテーマを担当したテレビアニメ)をきっかけに、いろんな方がi☆Risを知ってくれて。フェスで「i☆Ris知ってる!」とファン以外の方も盛り上がってくれて、「あれっ、今までにない声援だ!」と感動したことがありました。自分たちを知ってもらえることの喜びを感じたというか、私たちはそれまでずっとアウェイな立場だったんですよ。例えば「Animelo Summer Live」も最初に出させていただいたとき、私たちのライブはお客さんからしたらトイレタイムだったと思いますし、楽しかったけど結果を何も残せなかったことが悔しくて。だからこそ、「何かを投げたときに返してくれる人たちがいる」ということが、本当にうれしかった瞬間がありました。
──えのぐの皆さんはどうでしょう?
環 私たちも去年「TOKYO IDOL FESTIVAL」に出させていただいときに同じような体験をしました。「TIF」はリアルのアイドルが好きな方が来るイベントなので、バーチャルアイドルのえのぐのことを知ってくれてる人はほぼいないだろうし、きっとアウェイなライブになるんだろうなと思っていたんです。実際、ライブが始まったときは「ん? 誰だ?」という雰囲気だったんですけど、タオルを回す曲ですでにえのぐを知ってくださっている方が楽しんでくれていたら、だんだんとそれが周りの方にも広がっていって、最終的にすごく盛り上がりました。あのときはめちゃくちゃうれしかったですね。
友希 やっぱり知らない人が知ってくれる瞬間って、すごくうれしいんですよね。そういうときは絶対にいいライブができるし。えのぐさんのその瞬間、立ち会いたかったなあ。観たかった!(笑)
えのぐ あははは!(笑)
奈央 あとは、去年「えのぐに逢いに恋!!」(日本各地で開催されたバーチャル握手会)をきっかけにえのぐを好きになってくれた人が増えていって。そういう人たちが今も応援してくれていることがすごくうれしいです。握手会で前から応援してくれている人たちや、初めて知ってくれた人たちと話せたのは楽しかったですね。
友希 今のご時世、握手会を開催するのはなかなか難しいですけど、えのぐの場合はそれもオンラインでできちゃいますよね! すごいなあ。握手会の画面越しにファンの方に声をかけたら、「えっ、見えてるの?」って驚く人も多いでしょ?
奈央 「その服似合ってるね!」と言うと、「見えてるんですか?!」って驚かれます(笑)。
1stアルバムと共に次のステージへ
──今後またコラボレーションする機会があるとしたら、何をしてみたいですか?
環 まずは一緒にライブをしてみたいです!
友希 してみたい!
奈央 楽曲でも一緒に歌わせていただきたいです!
友希 それも楽しそう! i☆Risのメンバーもバーチャル化して、次元が混ざり合うようなものにできたらすごく面白そうですね。私も一緒に「Dreamin' World」を歌いたいです。アニソンフェスではアーティスト同士のコラボがよくありますし、いつか一緒に何かできたらいいな。
──最後に「Dreamin' World」が皆さんにとってどんな楽曲になったのか、改めて聞かせてください。
友希 これまでの自分では作れなかった新しいタイプの曲ができたと思いますし、自分が想像していた以上に素晴らしいものになったのは、えのぐさんが歌ってくれたからこそでした。私には出せなかった色が出て、感謝の気持ちでいっぱいです。ライブでどんなふうになるのか、本当に楽しみにしています。
環 私たちにとってもこれまでのえのぐにない曲になりましたし、それと同時に歌詞に込められたメッセージはえのぐのことをすごくよくわかってくださっているもので、本当に素敵な曲だなと感じています。
──「Dreamin' World」の歌詞には、アルバム全体をまとめるような雰囲気も感じますね。
環 そうなんです! 「えのぐってこんな感じなんだ」ということが歌詞から伝わってくる曲になっていて、私たちの歌にもえのぐらしさが表れていると思います。
奈央 8月に開催したワンマンライブのタイトルが「えのぐワンマンLIVE2020 -次章-」だったんですけど、友希さんがそこに引っかけて「ようこそ!次のステージ まだまだ行けるよ未来 待ってて」という歌詞を書いてくださったのかなと勝手に思っていて(参照:えのぐ、全曲生バンドワンマンを成功させ次章へ「絶対に世界一のVRアイドルになります!」)。この曲と一緒に次のステージに行けることがうれしいです。
──これまでの歩みを踏まえたうえで、新しい場所に向かっていくイメージですね。
友希 歌詞を書いていたときも、“スタート”じゃなくて“次のステージ”を意識していて、「これからいろんな活躍を見せてくれるえのぐさんを私もすごく楽しみにしてるね!」という気持ちも込めました。
ハル 新しいステージに向けて背中を押してくれるような曲で、ハルの頭の中ではアニメのエンディングみたいに「えのぐ To be continued…」と続いていくイメージなんです。この曲が架け橋になってまた新しい曲ができていくのかなとすごくワクワクしています。
あんず アルバムの中で新しいステージに進むえのぐを見せられることがすごくうれしいですね。
環 アルバムには、えのぐの最初の曲から最新の曲までこれまで活動してきた2年半の軌跡が詰まっています。えのぐをすでに知ってくれている人にはいろんな思い出を振り返りながら聴いてもらいたいし、まだ知らない人にもきっと刺さる曲があると思うので、ぜひたくさんの人に聴いてもらいたいですね。