衣・食・住・エージェント
──ここまで長い期間ファンに会えないというのは初めてだと思いますが、改めてエージェントは皆さんにとってどういう存在だと感じましたか?
MAYU 生活するうえで切っても切り離せない存在ですね。ふとした瞬間にエージェントの顔が浮かんでくるんですよ(笑)。この人たちに恥ずかしくないように生きたいし……やっぱり直接会いたいな。
MAHO 思っていた以上に近い存在でした。Twitterで「話したいことあるのに会えない」とつぶやいてくれているのを見ると、私たちもそう思うし。これまでだったら特典会とかでお話できてたのに急にそれもなくなって。みんなに楽しんでもらえるようなライブをすることで私たちは幸福感を得ていたし、やっぱりエージェントはすごく大事な存在だなって思いました。
MiKiNA そう。心にぽっかり穴が開いてる感じ。衣・食・住・エージェント、みたいな。
MiDORiKO (笑)。
MiKiNA 「あなたたちは酸素です!」って。だから酸欠気味ですよ。
MAYU ああ、早く酸素供給されたい。
ライブのできない日々をどう過ごしたか?
──EMPiREの活動の主軸であるライブができない日々が続いています。そんな中だからこそ、ほかのことに費やせる時間ができたと思いますが、どのような心境で自粛期間を過ごしていましたか?
MAYU 4月頃は「ライブができないね」という雰囲気に飲まれて、とても落ち込んでましたね。でもだんだんと「自分たちのやるべきことは結局変わらないんだ」という思いが強くなっていきました。私たちはライブをすることでお客さんを楽しませられる。だけどそのライブができないのであれば、ほかの方法でエージェントを楽しませたいと思えるようになったので。エージェントと会う機会が減り、ライブができない中でずっとEMPiREを好きでいてくれる確証もないので、楽しんでもらえる機会を作りたいなって。それぞれTwitterに加えて、ファンクラブ(無料ファンクラブ「EMPiRE DROiD」、現在は新規入会を受け付けていない有料ファンクラブ「EMPiRE CORE」)の会員向けブログ「帝国通信」をメンバー日替わりで更新したり、公式LINEで毎週近況を動画で発信したり、今まで以上に発信する機会を増やすようにしました。
MiKiNA 私は自粛期間をインプットの時間にしていました。それまではありがたいことにライブやイベントが毎日のように続いてたので、振り返ってみれば目の前のことに精一杯だったんだなと感じました。ほかのジャンルの音楽を掘り下げる時間が増えたので、新しいものをどんどん見たり聴いたりして、今まで見なかったほかのアイドルのライブや曲もチェックしたし、DJイベントの配信を観たりして。新しい世界に手を伸ばして、自分の世界を広げるようにしてました。
YU-Ki グループとしてはまず、YouTubeに上がっているEMPiREの過去映像を決まった時間に観て、Twitterで当時を振り返る企画「#EMPiREヒストリー」をやりました。ライブ映像を観ながら当時の思いやエピソードをツイートしていくことで、新規の方にも「EMPiREってこういうグループなんだよ」と知ってもらおうと思って。
MAYU YouTubeに上がっている過去のMVとかライブ映像を、毎日メンバー日替わりで古い順から振り返っていって。自分たちの当時の心境などこれまで語ってこなかったこともお話ししたので、昔から好きでいてくれてる人は懐かしさに浸ることができたと思います。
──「#EMPiREヒストリー」のハッシュタグをさかのぼれば、これからEMPiREを知る人でも時系列で活動を知ることができると。
YU-Ki 最近知ってもらった方からすると、「こういうときもあったんだ」という発見があったみたいです。メンバーチェンジもありましたし、これまで語ってこなかった曲やメンバーに対する思いも知ってもらえたのはよかったなって。私個人としては、私もMiKiNAちゃんと同じでインプットする期間でした。作詞の参考になるように、「スタンド・バイ・ミー」みたいなこれまで観る機会のなかった昔の名作映画とか、ここ数年で話題になった映画とかをいろいろ観て。いろんな感情とかが入り交じるシーンや気に入ったセリフをメモして、ボキャブラリーを増やすようにしてました。
MAHO 「#EMPiREヒストリー」を通じて、私は意外と過去の自分たちの映像をじっくり見返してこなかったことに気付きました。自粛前までは毎週ライブをしていたから、直前の1公演をチェックして反省しての繰り返しだったんですけど、これからはライブができるようになったとしても前みたいにいきなり毎週できるとは限らないですよね。無観客ライブだって、やらせていただける機会があったとしても頻繁にはできないだろうから、“1回のライブ”がこれまで以上にすごく重要になってくるなって。1回ごとに進化した姿を見せないと、これから好きになってくれる人だって増えないでしょうから。
──振り返りの中で具体的にはどんな発見が?
MAHO 自分のパフォーマンスがずっとテンション高くて一生懸命すぎて、観ているほうが疲れちゃうんじゃないかなって(笑)。そういう自分の姿を落ち着いて振り返ったら、「この曲のときはこうじゃないほうがいいんじゃないかな」みたいに思えるようになりました。
NOW 私は「SUPER COOL EP」の制作にあたって、振り付けの幅を広げたいなと思っていました。創造力を鍛えるために、Nintendo Switchで「ジャストダンス2020」という外国の楽曲の振り付けを踊れるダンスゲームをやり始めて。体の使い方やリズムの取り方が外国の方と日本人とで違うし、新しい発見があったので、振り付けするにあたっての楽しみが増えました。
MiDORiKO 私は全部が突然なくなっちゃったみたいな感じになって、怖くてしばらく全然動けなかったです。でも動けない状態も怖くなって、「やっぱり何かしないと」と思うようになっていきました。こういう状況がこの先も続くなら、何かためになることを覚えようと思って、動画編集の勉強をしていました。
ダンス難易度がさらに上がっても「楽しい」
──振り付けについて先ほどNOWさんから話がありましたけど、目に見えて感じる変化はありましたか?
NOW 「Have it my way」(2019年12月発表のアルバム「the GREAT JOURNEY ALBUM」収録曲)の振りがこれまでで一番難しかったんです。でも今回、新曲の「This is EMPiRE SOUNDS」がそれを超えてきて。でも、みんな「Have it my way」を覚えるときはすごく苦戦したのに、「This is EMPiRE SOUNDS」はもっと難しいにもかかわらずみんな吸収が早かった。練習のたびにそれぞれが自分でちゃんと体の見せ方をうまく……えーと……。
MiDORiKO んふふふ(笑)。
MAHO 自分の見せ方を研究してきてるってことだよね。
NOW そう! 自分の見せ方をちゃんと動画を見て研究してました。それぞれの意識が変わったなって。
MAHO シンプルに「楽しい!」って気持ちになりました。今までは難しい振りがあると「うう……」ってなってたので(笑)。「This is EMPiRE SOUNDS」をはじめ、ダンスは難しいけど、みんな楽しんでイキイキして踊ってるなあっていう印象でした。練習のときから。
MAYU ダンス経験者のNOWに負けて当然なんて思っちゃいけないと思ったんですよ。10年ぐらいやってるよね?
NOW うん。
MAYU NOW自身の努力もあるし、それだけダンスの経験があれば私よりうまくて当然ではあると思うけど、自分から経験値を言い訳にしちゃダメだなって。考える時間ができたこともあって、ダンスができない自分に対して悔しさが湧き上がってきて。私はダンスを覚えるのが遅いですけど、それがすごく悔しかったから、めっちゃ練習しました。
NOW MAYUちゃんのダンス、本当にすごくて。その日全然できなかった振りがあっても翌日には絶対完璧になってるんです。めちゃくちゃ焦りました。ちょっと油断してた部分が実は今まであったんですけど。
MiKiNA 油断してたのか(笑)。
NOW 手を抜くって意味じゃないよ? 負けてられないし、悔しいって思いました。みんな本当にがんばってるなって練習しながら感じました。
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“SUPER COOL”なEMPiRE第3章