瑛人|棺桶に持っていくアルバムできました

ワンマンライブをやっても2人しか来ないんじゃないか?

──アルバムを作り始めた時点では不安もあったと思うんですが、無事作り終えた今はどんな心境ですか?

うまくできたかはわからないですけど、今まで俺が過ごしてきた中で生まれた感情は全部詰め込めたと思うし、スッキリしました。

──タイトル通り今は「すっからかん」?

マジで「すっからかん」すよ! 今は曲も作ってないですし。まずはこのアルバムをしっかり届けて、1月1日からまた曲を作り始めようと思っています。

──周りのスタッフからの評価はどうですか?

「よくやったね。瑛人、3年分ぐらい働いてるよ」って言ってくれてます。「今は大変かもしれないけど、これからもっと全然落ち着くから」って(笑)。

──確かに。今の盛り上がりが落ち着いたら、じっくりアーティスト活動に専念できるかもしれないですね。

いやー。でも、1つウケる話があるんですよ。応募してくれた人の中から抽選で当たった人たちがみんなで僕と会話できるって企画があって、どれくらいの人が応募してくれたんだろう?と思ってレーベルの人と話してみたら「瑛人ごめん。応募してくれた人、数人しかいない」って(笑)。これが俺の現状ですよ。下積みがなくて、友達と一緒にやってきただけで、曲だけが先走ってる。そういうことなんですよね。「ワンマンライブをやっても2人とかしか来ないんじゃないか?」って思いました(笑)。

──ハハハ(笑)。

最初からこんなにテレビに出ちゃうとファンになりづらくなる部分もあるかもしれないし。俺もテレビに出てる人より、それこそ韻シストさんとかのほうが好きだった。だからみんなに「全然だよ、助けて」って伝える感じで、これから自分の足で全国回ってイチから作っていきたいです。

──本当に前例のないスピードでここまで来たから、今は本人も世間もいろいろ追い付いていないと思うけど、これから活動が続けば全然違ってくると思いますよ。少なくとも僕の周りの人たちは、メディア露出が増えることでだんだんと人となりが見えてきて、どんどん好きになってますから。

もっと悪い印象でしたか?

──いや、Twitterとかを見て感じていた印象通りでしたね。「僕はバカ」と歌ってますけど、本当にイイ感じのバカ感があるというか(笑)。

よかった。それ使ってください(笑)。想像してたイイ感じのバカ(笑)。

瑛人

まだ全然「香水」歌える

──前回お話を聞いたときよりも理路整然としてるように感じたんですけど、そろそろ取材慣れしてきました?

マジすか! 慣れたかもしれない。あと、こないだの取材の日はガチな二日酔いで! すみませんでした!

──ハハハ(笑)。

呂律回ってなかったですよね? 何回も聞き返したり、ゆっくりしゃべったり。楽しかったから、いろいろ話せましたけど。今回は理屈っぽくなってます?

──少なくとも脳と口がしっかりつながってる感じはしました(笑)。前回はちょっとフワフワしてたから。

ハハハ(笑)。でも、ずっと取材を受けてると定型文ってできちゃうんですよね。

──それはアーティストみんなが抱える悩みかもしれないですね。同じような質問されるから同じようなことを返しちゃう。でも、そうやって何回も話すことで自分が心の奥底で考えていることが見えてくる。

そうそうそう、見つかる見つかる! でも昨日と今日で気分が違ったらそのまま話すし、真逆のことを言ってる場合もあるかもしれない(笑)。取材は楽しいです。

──「曲だけが先走っている」って話がありましたけど、今は取材を受けるたびに毎回必ず「香水」のことを聞かれますよね? ヒット曲を持つ人の宿命ですけど、そうやって「香水」の話を何度もしているうちに「香水」のことを嫌いになったり、歌いたくなくなるときが来るかもと思うんですよね。

いや、俺はまだ全然「香水」歌える。そういうときが来たら言いますね。インタビューでは毎回「香水」の好き度を聞いてください(笑)。

たくさん友達を作りたい

──アルバムを完成させたことで、新たな目標はできましたか?

今回アレンジのみで参加してくれた関口シンゴさんとか韻シストさんと、一緒に曲を作ってみたいなと思いましたね。あと、こないだ「氣志團万博」に出させてもらったじゃないですか(参照:「氣志團万博」配信版でももクロ、BiSH、瑛人、HYDE、EXIT、渋谷すばるら豪華15組競演)。やっぱりああいう感じで仲間っていうか、信頼してる人たちを呼んで、お客さんを楽しませるのはいいなって。俺も横浜のGrassRootsで「Jersey Eight」ってイベントを開いて、HOTDOGSとか松本千夏に出てもらってたんですけど、そんときすっげえ楽しかったのを思い出しましたね。「俺がやりたいのはコレだよ!」みたいな。これからの10年間でメジャーとかインディーズとか関係なく、たくさん友達を作って、横浜の赤レンガで「Jersey Eight」を開きたい。お客さんもたくさん呼んで、そのお客さんとも友達になれるようなブロックパーティを開く。それが夢ですね。でもまずは、1月31日に初めてのワンマンライブをやるので、多くの人に来てもらいたいです。

──「せっかくメジャーの音楽シーンに飛び込んだんだから、この人と一緒のステージに立ちたい」とか、そういうことは考えていますか?

憧れの人はいますけど、俺がそういう方と一緒にやるのはまだ早いと思います。今やっても痛い目に遭いそうだし(笑)。まだそういうことは想像してないです。

──瑛人さんは誰かお手本にしているアーティストとか、強く影響を受けた人っているんですか? 自分の軸になっている作品みたいなものはあります?

これ!っていうものはないかもしれないですね。平井大さんや清水翔太さんは好きですけど。普段は好きな音楽のプレイリストを作って、ただ聴いてるって感じ。じゅんちゃん(小野寺淳之介。「香水」をはじめとする瑛人の楽曲でギターを担当し、テレビ出演時などもともにステージに立っている)はジョン・メイヤーが好きってずっと言ってるんですけど、俺はあんまり1人の人に没頭するようなことがなくて。

──なるほど。瑛人さんの曲と言えばなんとなくアコースティックなイメージがあるけど、今回のアルバムではサウンド的にバリエーションを見せているし、これからどういう方向に進んでいくかもわからないですよね。

ゴリゴリなラップもしたいですし(笑)。本業の人からしたらナメてると思われちゃうかもしれないけど、とにかく楽しいことをやりつつ、自分の伝えたいメッセージがちゃんと伝わればいいなって思いますね。

──まだ色が付いてない状態の瑛人さんに、これからどういう色が付いていくのか楽しみですね。

何色だろう。

──自分では何色だと思います?

紫じゃないですかね?

──ハハハ(笑)、なぜ紫?

いや、わかんない(笑)。何色なんだろうな、俺は。

ライブ情報

瑛人1stアルバム「すっからかん」発売記念ライブ~トゥゲザーすっからかん~

2021年1月31日(日) 東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE OPEN 16:00 / START 17:00

瑛人