映秀。初の対バンツアーに向けたソロインタビュー&ゲストTENDRE、NakamuraEmi、崎山蒼志との対談3本 (2/4)

映秀。×TENDRE

TENDRE

TENDRE

TENDREのライブは「カッケー!」

──映秀。さんとTENDREさんの交流が始まったのはいつ頃ですか?

映秀。 初めてお会いしたのは、TENDREさんのSTUDIO COASTのライブ(「GOOD BY COAST BY TENDRE」)ですね。

TENDRE 2021年だね。TENDREでサックスを吹いてくれている小西遼が紹介してくれて、楽屋で会ったのが最初です。

映秀。 そのときのライブ、めちゃくちゃよかったんですよ。ダンサーを交えたステージもそうだし、とにかく歌声がすごくて。音源を聴くと歌を楽器的に使っている印象もあるし、サウンドに惹かれることも多いんだけど、ライブだと歌がドン!と入ってくるんですよ。最近はハイトーンのボーカリストが多いけど、TENDREさんはロー(低音)がしっかり響くし、言葉がまっすぐに飛び込んでくる感じがあって。「カッケー!」と思いました。

TENDRE ありがとうございます(笑)。サウンドとボーカルの塩梅はいろいろ試しているんだけど、曲を作るときは、映像的なイメージから始めることが多くて。例えば、背後に広くて明るい世界があるとしたら、自分はどういう表情をして歌ってるんだろう?とか。

映秀。 歌は映像を表現するための手段ということですか?

TENDRE いや、ストーリーテラーと言ったほうが近いかな。思い描いている状況を説明するように歌うこともあるし、全体を俯瞰しながら語るような感覚もあるので。ビートが地面もしくは舞台だとしたら、メロディや楽器の音で色彩を加えていくというか。油絵を描いている感覚に近いんですよ。完成形が1つではないのが、音楽のいいところだと思ってるので。

映秀。 ライブを観たときも色彩を感じました。ライティングや見せ方もそうだけど、楽曲自体から景色が見えてくるというか。全体で1つの映像を表現しているんだなと。あと、同世代のクルーと一緒にやっているのもカッコいい。

TENDRE 自分の音楽に関わってくれているミュージシャンにもそれぞれの人生や生活があって。楽曲制作やライブを通して、何かいい価値観を見つけてもらえるようにがんばろうと思ってるんですよね。僕が求めているのものと携わってくれる人たちが欲しているものは違う部分もあるし、噛み合うところもある。それを受け入れつつ、その場でしか作れないものを提示できたらいいなと。映秀。のバンドも、同世代なんだよね?

映秀。 はい。今回の対バンツアーのメンバーは、ほとんどが同じ年で。ピアノの榎本響は1つ下です。

左から映秀。、TENDRE。

左から映秀。、TENDRE。

ステージで際立つ映秀。の存在感

──TENDREさんは映秀。さんの音楽性やライブに対して、どんな印象を持ってますか?

TENDRE 象眠舎のライブで客演している映秀。を観たのが最初なんですよ。何人かゲストボーカルが参加して、それぞれの楽曲を小西がアレンジしました。ビッグバンドのような編成で披露してたんだけど、映秀。の存在感は際立っていて。ステージに収まりきらないほどの躍動感や衝動を感じたし、自分自身の葛藤すらも込めながら表現しているのも鮮烈でした。

映秀。 ありがとうございます!

TENDRE (笑)。ステージを縦横無尽に動き回るんだけど、観客1人ひとりの目を見ながら自分の言葉を伝えようとする様子も印象に残ってますね。僕のスタンスとは違うんだけど、どこか似てるところもあるし、いつも刺激をもらってます。仲間であり、いい友達でもありますね。

映秀。 うれしいです。象眠舎のライブで、TENDREさんの代打をやらせてもらったこともあるんですよ。「Mirror(feat. TENDRE)」という曲を実際に歌ってみて、難しさがわかりました。シンプルな楽曲で、音域が高いわけではないから、「この通りに歌えば大丈夫だろうな」と思ってたんだけど、歌詞を伝えるのがすごく難しくて。スッと情景が浮かぶようなTENDREさんの歌い方のすごさを改めて実感したし、引き算の美学みたいなものを感じましたね。あと、コーラスワークもカッコよくて。レベルの高いことをサラッとやってるんですよ。

TENDRE いぶし銀です(笑)。こういう話もよくしてるんですよ、映秀。とは。

映秀。 音楽の話ばっかりですね。

TENDRE 楽屋で一番長くしゃべるのは映秀。なんで。「最近、どんなの聴いてるの?」とか、そのときに自分が好きなものとか、「この人、面白いですよ」って海外のミュージシャンを教えてもらったり。

映秀。 「音楽とどう向き合っているか?」みたいな話もしますね。

TENDRE 意外とストイックだよね(笑)。

映秀。 僕が「誰のために音楽をやってるんだろう?」と悩んでいた時期があって。「どこに核を置けばいいかわからないんです」と相談したら、TENDREさんが「俺は友達がアガる曲を作りたいと思ってるよ」と言ってくれて、「それだ!」と。ぼんやりした“みんな”ではなくて、友達がアガる曲というのはすごくいいなと思ったし、実際、曲作りにも影響してますね。

TENDRE 無邪気に音楽を共有していた時期に培ったことは、大人になってもずっと残っていて。あの頃の「楽しかった」「面白かった」という気持ちって大事なコアになってるんですよ。大衆に向けた曲を作るときも、その感覚を思い出すことがありますね。

映秀。 そうなんですね! またいい話を聞いた(笑)。

TENDRE (笑)。映秀。もよくしゃべるんですよ。いい意味で遠慮なく、どんどん聞きたいことを聞いてくるし、すごくいいなと思いますね。

映秀。 TENDREさんもなんでも答えてくれて。お会いする前はもっとクールな方かなと思ってんだけど、そうじゃなくて、色でいうと暖色みたいな(笑)。もちろん曲も大好きだし、聞きたいことがたくさんあるからどんどん話しかけちゃうんですよね。

TENDRE お互いの音楽的な価値観を共有できてるのもいいよね。そのうえで対バンツアーに参加できるのもうれしいです。

左から映秀。、TENDRE。

左から映秀。、TENDRE。

セッションのつもりでやりたい

──TENDREさんが出演するのは、ツアーの初日。1月28日のZepp Sapporo公演ですが、どんなライブにしたいですか?

映秀。 そうですね……ジンギスカンが楽しみです。

TENDRE ライブの話だよ(笑)。

映秀。 (笑)。対バンツアー自体がそうなんですけど、ゲストの方に“弟子入り”するみたいな感覚があるんですよ。参加してくれる皆さんは僕よりもキャリアが長い。崎山くんも中学生から活動しているし、先輩みたいな感じもあって。できるだけ吸収したいと思ってます。

TENDRE 映秀。としてのライブを観るのは初めてなので、彼がどんな形相で歌うのか楽しみですね(笑)。もちろん自分もTENDREらしいやり方で盛り上げたいし、会場に来てくれた人たちと一緒に音楽に浸る時間も作りたいなと。「映秀。の音楽と混じることでこういう感じになるのか」とか「この対バンを観れてよかった」と思ってほしいんですよね。対バンですけど、気持ちとしてはセッションのつもりでやりたいですね。

──最後にお互いの好きな曲を教えてもらえますか?

TENDRE 「喝采」かな。ライブで歌っているときのパワーがすごくて、映秀。の火山みたいなエネルギーが放出されるんですよ。誰が観ても、「なんだこれ!」というインパクトがあると思う。

映秀。 「喝采」を歌うと体が勝手に動いて、次の日、ムチウチみたいになりますね(笑)。僕は「DOCUMENT」ですね。特にサビの決めのフレーズがめちゃくちゃカッコよくて。ライブで聴いたとき、泣きました。

TENDRE え、そうなの?

映秀。 はい(笑)。洗練された爆音だったし、圧巻でした。

プロフィール

TENDRE(テンダー)

ベース、ギター、鍵盤、サックスなどを演奏するマルチプレイヤー・河原太朗のソロプロジェクト。2017年12月にTENDRE名義でのデビューEP「Red Focus」を、2018年10月には1stアルバム「NOT IN ALMIGHTY」をリリースした。2021年4月にシングル「PIECE」にてEMI Recordsよりメジャーデビューを果たし、同年9月にメジャー1stアルバム「IMAGINE」を発表。最新作は2022年9月リリースの2ndアルバム「PRISMATICS」。

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