ナタリー PowerPush - EGOIST

「ギルティクラウン」が生んだユニット 満を持して1stアルバムリリース

アニメ「ギルティクラウン」から登場したアーティスト、EGOISTはsupercellのryoがコンポーザーを担当し、2000人のオーディションから選ばれた17歳のchellyがボーカルを務めるユニット。アニメは今年3月に終わっているがその人気はとどまるところを知らず、9月19日には初のフルアルバムが発売された。しかもこの中身がすごい。ryoのトラックはハードなエレクトロニカからアコースティックなバラードまで、アニメを抜きにした玄人志向の音楽ユニットではと思わせるほどの完成度。そして歌姫chellyの歌唱力はズバ抜けている。彼らはいかにしてこの超ハイクオリティな作品を作り上げたのか。当の2人に語り尽くしてもらった。

取材・文 / さやわか

chellyがEGOISTのボーカルになった経緯

──EGOISTは元々アニメ「ギルティクラウン」内に登場するユニットですよね。ボーカルがchellyさんに決まったのはどういう理由だったのでしょうか?

ryo オーディションでchellyちゃんにエンディングテーマの「Departures ~あなたにおくるアイの歌~」を歌ってもらったんですよね。アルバムでは最後の曲になっていますが。それが単体として成立した、いいデモになっちゃったんですよ。幸いにもいのり役の声優、茅野愛衣さんの声のイメージにも合っていたんです。

──オーディションでのchellyさんはどんな感じだったんですか?

ryo この1年間、chellyちゃんを見てきた中で言うと、そこまであんまりアクティブに行動しそうな感じな人に見えないんですよね。だから、よく応募してきてくれたなーって思いますね(笑)。

chelly (笑)。私は元々supercellさんが好きだったんです。そしたら友達が「こんなオーディションがあるよ」って教えてくれて、ちょっと受けてみようと思ったんですよ。

──歌は元々好きだったんですよね? だけど今ryoさんがおっしゃったように、あんまり表に出していかないタイプなんですか?

chelly そんなことはないと思うんですけどね(笑)。

ryo いやあ、でもオーディションを受けるっていうのはハードル高くないですか(笑)。就職面接以上ですよ。

──オーディションで歌ってみた感じはどうでしたか?

chelly 自分で行くって決めた割には、結構緊張してました。実力の70パーセントぐらいしか出せなかったです(笑)。

──なるほど。しかし結果的に合格して。

chelly そうですね。合格通知の電話の前で、泣き崩れてしまいました。

類い希なる才能を発揮していくchelly

──「Departures ~あなたにおくるアイの歌~」は1stシングルとして発売されたバラード曲ですけど、その後アニメ第2期のオープニング曲「The Everlasting Guilty Crown」が発売されますね。こちらは曲調が一気にアッパーになっています。

ryo 最初はアルバムを作る予定がなかったので、2枚のシングルで両極端な曲にしようと思ったんです。バラードでこれだけいい歌になるんだったら、アッパーだとどうなるんだろうっていう、その興味から作っていきました。

──chellyさんはシングル2曲、歌っていて難しさは感じなかったですか?

chelly 難しさというよりは、レコーディングの場に慣れることに必死だったという感じです。せっかく私をボーカルに選んでいただいたなら、普段歌ってるぐらいの実力が出せるようにと思って。

──なるほど。レコーディングでのchellyさんは、ryoさんから見てどうでしたか?

ryo いや正直、この1年間は自分のほうがわがままばっかり言ってましたよ。「ちょっとここのメロディを変えたいんだけど」とか直前に言ったりして。でもすぐその場で歌ってくれて、しかもそれがすごくいいんですよ。そうなると「じゃあ、こっちも聴かせてほしい」みたいに際限なく歌ってもらったりして、ちょっといい加減にしろよみたいな感じでした(笑)。確かに最初はchellyちゃんがレコーディングに慣れようとしてたと思うんですけど、途中からはこっちがchellyちゃんの瞬発力の高さに慣れるので必死でしたね。今のchellyちゃんは余裕をもって本来の実力を出しているというか、自分のペースを守った中で能力を出している感じがあって、それがすごいです。

──予定になかったアルバムを作ることになったのは、やっぱりシングルで手応えがあったからなんでしょうか。

ryo やはりchellyちゃんが、シングル2曲程度で終わる人ではないからというのがありましたね。「この人は絶対、将来もっと大きくなる」と、1枚目のシングルを作っている時点で確信みたいなものが自分の中にありました。だから、やらせてもらえるんだったらアルバム、もしくはその次も、っていう気持ちだったんです。

──chellyさんはアルバムの制作が決まったとき、どう思われました?

chelly 多分2枚目のシングルのレコーディングが終わったときに、その話をいただいたんです。いや、もうビックリでした。2枚目で終わるのをちょっと寂しく思っていたので、「そうなんだ!」っていう感じで。

2ndシングル「♪(おんぷ)の国のアリス」 / 2012年9月12日発売 / PONY CANYON

CD収録曲
  1. 原罪の灯
  2. The Everlasting Guilty Crown
  3. Extra terrestrial Biological Entities
  4. 雨、キミを連れて
  5. Lovely Icecream Princess Sweetie
  6. 手遅れ
  7. LoveStruck
  8. Ce que j'aime ~inori no kyuuzitu~
  9. 想いを巡らす100の事象
  10. この世界で見つけたもの
  11. Planetes
  12. Departures ~あなたにおくるアイの歌~
初回限定盤DVD収録内容
  • Departures ~あなたにおくるアイの歌~ ミュージックビデオ
  • The Everlasting Guilty Crown ミュージックビデオ(TV Edit ver.)
  • Planetes ミュージックビデオ
  • 『ギルティクラウン ロストクリスマス』 Movie(Planetes Ver.)
EGOIST(えごいすと)

アニメ「ギルティクラウン」に登場する架空のアーティストを実体化した音楽ユニット。ryo(supercell)がプロデュースを手がけ、ボーカルは2000人を超える応募者から選ばれた17歳、chellyが務めている。2011年11月、シングル「Departures ~あなたにおくるアイの歌~」でメジャーデビュー。2012年9月19日に初のオリジナルフルアルバム「Extra terrestrial Biological Entities」をリリースした。