音楽ナタリー Power Push - 新レーベル「EDP」P*Light×Ryu☆×かめりあ×kors k座談会

新レーベルで日本のダンスミュージックを世界に

Ryu☆が新レーベル「EXITTUNES Dance Production」(略称:EDP)を設立。7月6日に、このレーベルよりコンピレーションアルバム「EDP presents ravemania 2016 summer」と、かめりあのニューアルバム「MEGANTO METEOR」が同時リリースされた。

音楽ナタリーでは新レーベルの設立を記念して、レーベル所属アーティストであるRyu☆、kors k、P*Light、かめりあによる座談会を企画。設立に至る経緯をRyu☆に聞いたほか、各メンバーがどのような思いのもと新レーベルに集ったのかなどをじっくりと語り合ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 上山陽介

実力だけじゃなくセルフプロデュース力も

──まずはRyu☆さんにEDPを設立した経緯を聞かせていただけますか?

左からkors k、Ryu☆、かめりあ、P*Light。

Ryu☆ 日本のダンスミュージックのシーンにはとてもクオリティの高いトラックを作る人がどんどん出てきているんですけど、それが海外にうまく伝わっていないと個人的に感じていて。国内はもちろん、海外のリスナーに日本のダンスミュージックを広く伝えることを目的にレーベルを立ち上げることにしました。

──所属アーティストはどういう基準で選んだのですか?

Ryu☆ まず最初にkors kに声をかけたんです。彼は僕と作家デビューのタイミングが一緒で、戦友兼親友兼ライバルみたいな存在ですから。kors kはレーベルのメンバーというより、僕と一緒にプロデュースをするレーベルの軸になってほしいと思ったんです。

kors k ありがとうございます。

Ryu☆ たぶん僕が1人でデビューしていたらここまで音楽を続けられなかったと思うんです。これまでもkors kとコラボとかを一緒にやる機会は多かったんだけど、今後は共にレーベルを支えていく関係になれたらいいなと。

kors k 僕もRyu☆さんから刺激をもらい続けて曲を書いてきましたから、お互いに高め合ってここまで来たと思っています。だから今回こういうお話をいただいて光栄でしたね。

──Ryu☆さんとkors kさんというレーベルの軸が決まってから、そのほかのメンバーはどうやって選んでいったのでしょうか?

Ryu☆

Ryu☆ 考えていたのは自分らより下の世代、若手を入れたいなっていうのがあって。今日来てもらってるP*Lightとかめりあは、僕らの少し下の世代でズバ抜けた実力を持ったアーティストですから、「ぜひ一緒にやりませんか?」と声をかけさせてもらったんです。それともっと下の世代のアーティストとして、BlackYくん。彼も相当存在感のあるトラックメーカーです。

──実力のあるアーティストに声をかけていったと。

Ryu☆ もちろんそうなんですけど、裏では実力があるだけじゃなくて、ユーザーの心をちゃんと考えられるアーティストかどうかっていうのも考えていました。一直線に自分のやりたいことだけをやっている方ではなくて、音楽ゲームやダンスミュージックのシーンが盛り上がることを望んでいて、かつ自分の立ち位置を把握しつつ、やりたいことと求められていることの両方を体現できるアーティスト。要はセルフプロデュース力の強い人ですね。今日ここに集まってもらったメンバーは、それがしっかり実行できているアーティストだと思っています。

戦略的に海外にアプローチする好機

──P*Lightさんやかめりあさんは、Ryu☆さんから新レーベルの話を聞いてどう思いましたか?

P*Light 僕はP*Lightとして同人でCDを出してるんですけど、今活動しているフィールドからもう一歩先に抜けることがなかなか難しいと感じていたんです。基本的に同人のフィールドってレーベルのような大きい力を借りずにCDを売るわけですから、どうしても限界がある。例えば海外に自分の音楽を届ける方法として「YouTubeやSoundCloudで曲を公開しておけばいいだろ」って考えてる人が多いんですけど、実際はそれだけじゃダメで。そういう意味でレーベルに所属して戦略的に海外に自分の音楽をアピールする機会は自分にとって貴重ですし、レーベルのために何か協力できることがあればやりたいなっていう気持ちも強かったですね。

かめりあ

かめりあ Ryu☆さんやkors kさんのような大先輩の方々が所属する新レーベルに声をかけてもらって、最初はまず驚きました。その後、自分はどうやってこのレーベルに貢献していけるかなっていうのをじっくり考えてみたんです。僕がやりたいことはこの先もずっと音楽を作り続けることで、それはレーベルから求められることと、きっと一緒なんですよね。だからレーベルに所属することで、もともとやりたかったことが思いっきりできるようになるかもしれないなって考えて「ぜひ一緒にやらせてください」と返事をしました。

──皆さんにとって願ってもない機会だったんですね。

kors k 若手の2人だけじゃなくて、僕にとってもレーベルの新設はすごく魅力的な話だなと思いました。最初にRyu☆さんに話を聞いて、僕はすぐに「イイじゃん!」って同意したんです。おそらくここにいるみんなもそうだと思うんですけど、アーティストって「もう一段上にいきたい」っていう思いを強く持っている方が多いんです。僕自身、どうやったら今の状況をブレイクスルーできるのかを考えてる時期だったので、EDPと共に自分自身がもっと上に行けるかもしれないなって思いましたね。

EDP presents ravemania / MEGANTO METEOR Release Party
2016年8月21日(日)東京都 CIRCUS Tokyo
<出演者>
Ryu☆ / kors k / かめりあ / HyperJuice / DJ WILDPARTY / and more
Ryu☆(リュウ)

男性トラックメーカー。2000年、KONAMIの音楽ゲーム「beatmania IIDX 3rd style」の公募に送った楽曲が同ゲームに採用され、以来「beatmania」シリーズの主力クリエイターとして活躍。2009年にRyu☆名義の1stアルバム「starmine」を発表して以来、ゲームのサントラを多数手がけている。またその一方でトラックメーカーStarving Trancerとプロデューサーユニット、Another Infinityを結成。「beatmania」シリーズに楽曲を提供するほか、女性ボーカリストDaisy×Daisyの歌うテレビアニメ「FAIRY TAIL」のオープニングテーマ「永久のキズナ」を制作し、Another Infinity feat. Mayumi Morinaga名義でアニメ「ゆゆ式」エンディングテーマ「Affection」を発表している。2016年2月、ベストアルバムとして「Ryu☆BEST -STARLiGHT-」「Ryu☆BEST -MOONLiGHT-」の2作品を同時リリース。また同年4月には自身が主宰する新レーベル・EDPを新設した。

kors k(コースケ)

音楽プロデューサー、アーティスト、DJ。10代の頃からシンセサイザーで楽曲制作を始め、2000年にKONAMIの音楽ゲーム「beatmania IIDX 4th Style」に提供した「Clione」でデビュー。「beatmania」シリーズの主力トラックメーカーとして楽曲を提供し続けながら、アニメ関連の楽曲やJ-POPのリミックスなどを手がけ、トータルで400曲以上におよぶ楽曲群を世に送り出している。teranoidやEagle、StripE、Ryu☆とのユニット・The 4thといった名義でも活動。現在はDJとしてクラブやイベントのステージでも活躍しており、国内のみならずアメリカやアジア各国でもライブを重ねている。2014年6月に、アルバム「Let's Do It Now!!」をリリース。2015年3月に前作のリミックス音源と新曲を収めた「Let's Do It Again!!」を発表した。

P*Light(ピライト)

2007年より音楽制作を開始。トラックメーカー、DJ、リミキサーなど活動は多岐にわたり、KONAMIの音楽ゲーム「BEMANI」シリーズに多数の楽曲提供を行っている。beatnation RHYZE、HARDCORE TANO*Cといったレーベルのメンバーとしての活動のほか、自身のレーベル・pichnopopより精力的に音源を発表している。

かめりあ

音楽プロデューサー、トラックメーカー。2013年に行われたKONAMIの公募企画「KONAMI Arcade Championship 2013」のオリジナル楽曲コンテストで、最優秀賞を獲得。2014年に設立された音楽レーベル・beatnation RHYZEの一員となり、音楽ゲーム「BEMANI」シリーズに数々の楽曲を提供する。2016年4月にはkradnessとのユニット・Quarks名義でのミニアルバム「Dualive」を発表。また同年7月にはRyu☆が主宰する新レーベル・EDPよりニューアルバム「MEGANTO METEOR」をリリースした。