ステージではカリスマ、下りると大阪のおばちゃん

──きっとほかのメディアでも壺坂さん1人かメンバー全員の取材でしょうし、こういう機会は滅多にないんで、今回は壺坂さんの「欠席裁判」から始めましょうか（笑）。

後藤葉子（B）・空岡由梨弥（Dr）・荒井要（G, Key）　（笑）。

──まず、ecosystemというバンドは壺坂さんが中心になって、メンバーを集めていったわけですね。

荒井　そうですね。メグ（壺坂）は元々別のバンドをやっていたんですけれど、自分がメインで歌える新しいバンドを組もうとメンバーを募集して。それで集まったのがこのメンバーです。最初はガールズバンドを目指していたみたいなんですけど。

空岡　私と後藤は高校からずっと一緒で、軽音楽部で一緒にバンドをやったりしてたんです。で、メグと共通の知り合いの紹介で入りました。

──じゃあ、それぞれ壺坂さんの第一印象は？

空岡　初めて会ったその日に曲も聴かせてもらって。「カッコよかったら入ってや」って感じやったんですよ。で、私と後藤は正座しながら曲を聴いてた（笑）。1曲終わるごとに「どう？」って。怖かったなあ？

後藤　見た目とか発する言葉はめっちゃ陽気なんですけど。威圧感というか存在感がすごくあって。ビビってました（笑）。

──最初にバンドをやり始めた頃はどういう方向性でした？

空岡　最初は洋楽っぽい曲を作ってたんです。歌詞も英語だったし、メジャーを目指している感じじゃなかったんですけど、そこからポップに変わっていって、今みたいになった感じです。

荒井　僕がバンドに加入したのは最後で、初めはサポートだったんですけれど、その頃にはメジャーに行きたいという意識はありましたね。

──ecosystemをやるにあたってのルーツになった音楽はどんな感じでした？

荒井　そういう話、メグとしたことがあったんですよ。「きっかけになった音楽は？」って訊いたら、恵はマイブラ（MY BLOODY VALENTINE）って言ったんです。で、僕にとってもマイブラはカリスマなバンドやったから、「あ、そうなん？」みたいになって。そこから、「これ聴く？」みたいなやり取りを結構やってきましたね。僕もecosystemに参加する前は、プログレとか音響系とか、ポストロック全般とか、アンダーグラウンドなほうばっかり聴いてたし、演奏してたので。

──壺坂さんの人柄はどんな感じです？

荒井　ステージに立っているときと、作業しているところと、プライベートと、結構違うんですよね。まずステージに立っているときはフロントマンとしての自覚も背負ってるし、パフォーマンスも表現したいように表現している。大げさに言うと、ステージの上ではカリスマ、ステージの下では“大阪のおばちゃん”ですね（笑）。めちゃめちゃ気さくだし、誰とでも最初からどんどん仲良くなれるタイプ。初対面の壁はすぐに飛び越えますね。

空岡　そうそう。「会う人全員知り合いなんちゃう？」って思うことは多いです。

「月夜のnet」は変態の曲

──今回のシングルのタイトル曲「月夜のnet」はどういうふうにできていったんでしょう？

荒井　これの元々の原曲はちょっと違う形で。シングルとして出すということになって、バージョンを変えた感じになってるんですよ。最初は“静”と“動”で見せるような曲だったんですけど、あとから「バレないように バレたい爪痕を」というサビの部分を作って。これで曲が伝わりやすくなったと思います。

（ここで壺坂恵が登場）

壺坂恵（Vo, G）　ホンマすいません!! なんの話してました？

──今、ちょうど「月夜のnet」という曲が元々あったバージョンからかなり変わったという話を聞いてたところです。じゃあ早速ですけれど、壺坂さんとしては、曲をどう変えた感じなんでしょう？

壺坂　そんなに抜本的に変えたという感じじゃないですね。テンポも歌詞も変えてないし、ただサビをつけたという。前のやつも気に入ってたけど、シングルにするという話を聞いて、「こういう変な曲でもシングルにしていいんや」ってビックリしたんですよ。で、私の曲はサビがないのが多かったんで、後からつけた感じです。で、この曲に元々持っていた気持ちをさらに付け足したというか。

──この曲に元々持っていた気持ちという部分を詳しく訊きたいんですけれども。

壺坂　訊きますか、そこ？（笑）

──ええ（笑）。「君としたい」っていう、この曲のキーになる歌詞が生まれたのはどういうところから？

壺坂　私、結構照れ屋なんですよ。だから、中間部分の言葉が恥ずかしいというか、隠すのが恥ずかしいという性格が出てると思います。あんまり恋愛体質ではないんですけど、ときどき「言ったらいいやん！」って大きな波が来るんです。そういうときのもどかしい感じを率直に歌った曲。だから、変態の曲ですね（笑）。