ナタリー PowerPush - 私立恵比寿中学
“ツッコミ不在”の新体制がもたらすバタフライ効果
この春、メジャーデビュー後の約2年間を9人で駆け抜けてきた私立恵比寿中学が大きな転機を迎えた。瑞季、杏野なつ、鈴木裕乃の“転校”と、小林歌穂、中山莉子の“転入”。彼女たちはグループとしての活動を止めることなく、新たな形ですぐに動き出した。
新体制で初となるニューシングル「バタフライエフェクト」は、変化を受け入れて突き進む8人の姿勢を表現したかのような楽曲に仕上がっている。今回の特集ではメンバー8人全員に集まってもらい、激動の約半年間を振り返るとともに、生まれ変わったエビ中の現在を語ってもらった。また後半には、カップリングに収録されたアナログレコーディング&モノラルサウンドの異色作「幸せの貼り紙はいつも背中に」の編曲を鈴木慶一とともに手がけた曽我部恵一へのインタビューも掲載している。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 佐藤類
エビ中の大きな転機
──今回の“転校”(参照:エビ中から瑞季、杏野、鈴木が“転校”4月に日本武道館で)と“転入”(参照:エビ中に新入生!スタダ3B小林歌穂と中山莉子が“転入”)はエビ中の歴史の中でも大きな出来事だったと思うし、ある意味ピンチでもあったと思うのですが、皆さん自身にとってはこの激動の数カ月はいかがでしたか?
真山りか 1からのスタートだしピンチと言えばピンチだったのかもしれないですけど、私はこれをチャンスととらえています。転校した3人は心が大人だから、いい意味でも悪い意味でもストップをかけてくれてたんですね。これまでエビ中って少しおとなしめなグループだったなって今となっては思うんですけど、いい意味でストップが効かないグループになってきて(笑)。これってもっと前に出ていくためには必要な変化だったんじゃないかなって。
──不安も多かったと思いますし、安本さんはメンタル的にも揺れてましたよね。
安本彩花 はい(笑)。明るく振る舞っていても実際は不安だらけで、毎晩泣いてました。でも3人は自分に自信をくれることをいっぱい残してくれたから。不安が8……は多いか。不安が6.5から7ぐらいで、自信が3から3.5ぐらい。
星名美怜 彩ちゃん細かい!(笑)
──3人が転校という決断を下したときに、一緒にいた6人は気持ちが揺れてしまうことはなかったですか?
廣田あいか それはなかったです(全員うなずく)。
星名 3人が転校することが決まったとき、初めて6人でちゃんと話し合ったんですよ。たくさん泣いたし言い合ったから、改めてエビ中を見つめ直すことができて。新メンバーを迎える上で、みんな気持ちはぐっちゃぐちゃだったけど、前に進むための決断を下してくれたスタッフさんの気持ちを、自分たちの中でちゃんと解釈しないといけないなって。
カホリコがもたらしたエビ中の変化
──年明けすぐに2人の転入が発表されて、3月には3人の転校を前に、現メンバー8人による初ライブが実験的に行われました(参照:エビ中大阪公演、転入生かほりこ初ステージで新曲お披露目)。いったいどうなることかと思っていたのですが、これが想像を上回る面白さで。エビ中はもともと、キレ味抜群のパフォーマンスを見せる集団ではないと思うんですけど……。
真山 まあ、そうですね(笑)。
──でも新メンバー2人を見ていると昔の皆さんの姿とダブるし、対比によって皆さんがいかに単純な洗練ではない、エビ中として独自の技術を重ねてきたかがよくわかって。ほかのアイドルグループには応用できない、つぶしの効かない技術というか(笑)。「エビ中らしさ」とはなんなのかを考えさせられるステージでした。
星名 入ってきた2人も個性的だから(笑)、個性的なメンバーが集まったグループだというのは変わりないなと思いました。
──小林さんは野性的に初ステージを楽しんでいるように見えたし、中山さんは1曲目から体力の限界!って顔でしたけど(笑)、結局そのままの状態で2時間走り抜けて。よくわからないですけど「“エビ中の天才”が2人入ってきたな」という印象でした。
中山莉子 あの日はずっと緊張してたんですよ(笑)。
小林歌穂 あはははは(笑)。
──柏木さんは2人の加入により“エビ中の末っ子”ではなくなってしまいましたが、心境の変化はありますか?
柏木ひなた 2人は私より大人だと思うんですよ。だから自分の中では末っ子感がなくなった感じは全然ないです。
──松野さんはこの一連の変化をどう感じてましたか?
星名 莉奈、燃えてたよね。
松野莉奈 そう? メンバーが変わってもエビ中はエビ中だから、変わることってあんまりないなと思っていて。気持ちの変化は……人に「変わったね」って言われることはあっても自分ではわからないです。ファンの方からも「ちょっとお姉さんっぽくなったね」って言われるけど、自分ではそうなのかなあ?って。
──転校メンバー最後のステージとなった日本武道館公演(参照:エビ中初の武道館で合同出発式、前を向いてそれぞれの道へ)では、廣田さんがすごく凛としていて、今後グループの精神的支柱にもなりうるのかなと感じましたが、本人としてはいかがでしょうか。
廣田 真山が言ってたように、今はいい意味でストッパーが外れたところがあって、私の中でも一皮むけた感じはあります。武道館のときは最初に「私は絶対泣かない」って決めていて、みんなの泣いてる姿を見て私もウルウルきましたけど、ここで私も泣いたら前に進めないと思って我慢しました。
- ニューシングル「バタフライエフェクト」 / 2014年6月4日発売 / DefSTAR RECORDS
- 初回生産限定アニメ盤 [CD+DVD] / 1800円 / DFCL-2064~5
- 初回生産限定ヨーデル盤 [CD] / 1200円 / DFCL-2066
- 通常盤 [CD] / 1200円 / DFCL-2067
初回生産限定アニメ盤 CD収録曲
- バタフライエフェクト
- アンコールの恋
- バタフライエフェクト(アニメサイズver.)
- バタフライエフェクト(Less Vocal)
- アンコールの恋(Less Vocal)
- バタフライエフェクト(アニメサイズver.)(Less Vocal)
初回生産限定アニメ盤 DVD収録内容
- バタフライエフェクト MUSIC VIDEO
- アニメノンクレジット OPENING 映像
初回生産限定ヨーデル盤 CD収録曲
- バタフライエフェクト
- 幸せの貼り紙はいつも背中に
- バタフライエフェクト(Less Vocal)
- アンコールの恋(Less Vocal)
- 幸せの貼り紙はいつも背中に(Less Vocal)
通常盤 CD収録曲
- バタフライエフェクト
- アンコールの恋
- ラブリースマイリーベイビー
- バタフライエフェクト(Less Vocal)
- アンコールの恋(Less Vocal)
- ラブリースマイリーベイビー(Less Vocal)
私立恵比寿中学(シリツエビスチュウガク)
スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年夏に結成し、2010年2月14日には初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表した。2011年4月には事務所の先輩であるももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の中野サンプラザ公演にゲスト出演し、前山田健一プロデュース曲「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」などを披露。同年10月には東京・Shibuya O-EAST(現TSUTAYA O-EAST)で初のワンマンライブを行い大成功に収めた。2012年5月にはDefSTAR RECORDSよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たし、2013年7月には初のオリジナルフルアルバム「中人(ちゅうにん)」をリリース。2014年4月に行われた東京・日本武道館公演「私立恵比寿中学合同出発式~今、君がここにいる~」を最後に瑞季、杏野なつ、鈴木裕乃の3名が“転校”(脱退)した。同年6月にメジャー通算6枚目のシングル「バタフライエフェクト」をリリース。現在は真山りか、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、松野莉奈、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子の8人で活動している。