ナタリー PowerPush - 私立恵比寿中学

メンバー&職員が語るこれまでとこれから

私立恵比寿中学 職員インタビュー
サブカル校長(藤井ユーイチ)/ かりそめ先生(石崎裕士)/ 国語の先生(近藤キネオ)

オレたちは出たがりじゃない!

インタビュー風景

──エビ中にとって欠かせないのが「職員」と呼ばれる運営陣の存在です。顔出しでのUstream放送を定期的に行い、2月22日には新宿ロフトプラスワンで職員のみによるイベント「第6回エビ中職員会議特別版~今は亡きコマ劇場からサブ・ファントム!~」まで開催されました。これほど前に出る運営陣って、かなり珍しいですよね(笑)。

近藤キネオ 校長、最初に言っておくことあるんでしょ?「オレたちは出たがりじゃない!」。これ、太字でお願いします!

──わかりました(笑)。ではまずはそれぞれの肩書きと簡単なプロフィールを聞かせてください。

藤井ユーイチ スターダストプロモーション芸能3部でマネージャー兼営業をやっています。エビ中では校長とかサブカル校長と言われてますが、まあ担当マネージャーですね。入社したのは2007年1月。エビ中での役割はプロデューサーというより現場監督です。適材適所、そういう能力のある人を当てはめて、回しています。

石崎裕士 スターダスト音楽出版でA&Rをやっています。音楽面に関しての、事務所側の人間ですね。エビ中のTwitterを担当したときに「スタッフ(仮)」と書いていたことから、かりそめ先生と呼ばれています。2008年ぐらいにももクロに関わったのがスターダストでの仕事の始まりです。エビ中には2011年3月末から、シングルで言えば「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」から関わっています。

近藤 映画を作ったり文章を書いたりしています。カラオケの隣の部屋で気持ち悪いくらい調子に乗って歌っていたのが校長です。そっから飲み友達になって、校長に招待されて、何回かももクロやエビ中を観に行ってたんです。2011年の春ぐらいからエビ中に関わり始めました。ステージの台本や構成、演出を考える立場で、国語の先生と呼ばれています。

違和感を感じさせることを大事に

──エビ中はオリジナリティのある楽曲が魅力です。曲はどのように作られているのでしょうか?

石崎 「春だから花粉症」「夏だから肝試しと音頭」「秋だから運動会」とか、テーマが先に決まりますね。会議の中での雑談から出てくるアイデアを拾い上げていくイメージです。

藤井 ほかのアイドルがやってることをやらない、というのが基本にあります。「春だから桜、卒業」という王道はあえて選ばない。特に学園コンセプトのグループなんてごまんとあるので、その中で違和感を感じさせることを大事にしています。だからこそ、たまに直球の曲があると響くこともあると思うので。レパートリーの80%は変化球ですけどね。とは言いつつも、曲はそんな変なものを選んでるつもりはなくて、歌詞や振り付けでは遊ぶけど、歌やダンスそのものはちゃんとやろうとしています。

石崎 僕は学生時代にDJをやってて、テクノやドラムンベースが好きで、元々アイドルポップスにはあまり興味がなかった人間だったんです。だからこそ、エビ中ではこだわらずに面白い曲が作れてるんだと思います。アイドルポップスの作り手で言えば、エビ中の音楽主任である前山田健一さんはやっぱりズバ抜けてると思います。

近藤 ほんとはアイドルってやっちゃいけないこととか、制約は多いはずなんですけどね(笑)。

石崎 確かに(笑)。だからスターダストのアイドル曲が特に好きですね。ほかのアイドルの曲は全く面白いとは思わないし。あ、それと、エビ中の曲のアイデアは、みんなイベントをやって思いつくことが多いですね。

藤井 盛り上がる曲が欲しいとか、王道っぽいのが欲しいとか。セットリストを見て足りないところを補っていく。

近藤 理事長(校長の上司)も常に現場にいるんです。どのスタッフも机上の論理で考えないで、きちんと現場を見てその空気を感じてから、展開を考えようとしてるんですよね。

僕は「永遠に中学生」が一番好き(サブカル校長)

──エビ中はももクロの妹分的存在です。意識はしますか?

藤井 同じ部署、同じスタッフチームで生まれたグループなので、ももクロの活動はずっと見て勉強してきました。そのDNAは僕だけでなくエビ中メンバーにも受け継がれているはずです。

石崎 音楽主任が前山田さんですからね。DNAは確かにあると思います。でも意識して避けようとは全く思わないですね。

近藤 僕の任されてる仕事に関しては、ものすごく意識しています。僕が最初に提案したいのは「いかにももクロと違うことができるか、エビ中ならではのことをやるか」ということだと思っているので。

インタビュー風景

藤井 ももクロは、例えば「がんばって汗を流してその先にある何かを手に入れる」ようなものだと思うんです。でもエビ中はそういうグループじゃない。ストリートライブから始めた過去はなく、ももクロの前座としてステージに出たり、下積みは皆無に近い。だからそこで訴えかけるのは無理だし、彼女たちがそれをやっても真実味も出ない。エビ中というのは「前後の文脈は抜きにした、純粋な現場の楽しさ」が本質なんだと思います。具体的には、中学生的なモラトリアムやノスタルジックなイメージ。そこをうまく見せていけたらいいなと思ってます。

──その特徴は「永遠に中学生」という曲に象徴されてますね。

藤井 僕はこの曲がエビ中の曲の中で一番好きなんですよね。普段エビ中の曲は全く聴かないけど、この曲だけはiPodに入れてもいいって思うぐらい。メンバーにはそんなに響いていないっぽいけど(笑)。でも、それは僕が大人になっちゃってるからだと思うんですよね。

たまたまこうなっただけ

──そういうエビ中の魅力って、意図して作られたものじゃないですよね?

藤井 本人たちが元々持ってるものだったんでしょうね。アイドルグループって、メンバー全員がある程度は歌やダンスができないといけないものでしょ? でも、このグループはそれを放棄したんですよ。例えばその方向だと、Fairiesさんには絶対勝てない。みんなかわいくて、歌もダンスもすごいし。うちはできなくても、その成長過程を見せられればいいかなって。……って、それを売りにしているグループもたくさんいますけど。できないことを個性と見てほしい、というのはちょっとポジティブ過ぎる考え方かもしれないですが。

──例えば瑞季さんのような「ダンス部長」と、鈴木裕乃さんや松野莉奈さんみたいなおっとりしたタイプの子がいてっていう、彼女たちが同じグループにいるのが面白いんですよね。

藤井 その面白さって言うのが一般にどこまで受けるかはわからないですけど。別にあらかじめ何かに特化しているメンバーを集めたわけではなくて、たまたまこうなっただけ。行き当たりばったりなんです。

石崎 “許されている”感じというか、心地いいユルさというか。それが今まで見てきたアイドルとは決定的に違うなって思う部分ですね。

近藤 まさに行き当たりばったりで、あらゆる意味でガチガチに決めないで動かしている。そうしなきゃいけないという人が、運営側に誰もいない。とにかくできあがってきたものは、コントロールできなくても取り込む、という部分が「学芸会」という言葉に象徴されてると思います。それを面白がって、メンバーとともに転がしていくのが楽しいんですよね。

DVD「私立恵比寿中学 1stワンマンLIVE DVD」 / 2012年2月15日発売 / 3990円(税込) / Stardust Digital / XQJL-2001

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メジャーデビューシングル「仮契約のシンデレラ」 / 2012年5月5日発売 / DefSTAR Records

初回生産限定エー盤 / 1200円(税込) / DFCL-1885 / Amazon.co.jp

収録曲
  1. 仮契約のシンデレラ
  2. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
  3. 揚げろ!エビフライ
  4. 仮契約のシンデレラ (Less Vocal)
  5. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX (Less Vocal)
  6. 揚げろ!エビフライ (Less Vocal)

※トレーディングカード9種のうち1種ランダム封入

初回生産限定ビー盤 / 1200円(税込) / DFCL-1886 / Amazon.co.jp

収録曲
  1. 仮契約のシンデレラ
  2. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
  3. 歌え!踊れ!エビーダダ!
  4. 仮契約のシンデレラ (Less Vocal)
  5. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX (Less Vocal)
  6. 歌え!踊れ!エビーダダ! (Less Vocal)

※トレーディングカード9種のうち1種ランダム封入

サブカル盤(通常盤) / 1200円(税込) / DFCL-1887 / Amazon.co.jp

収録曲
  1. 仮契約のシンデレラ
  2. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
  3. 結果オーライ
  4. 仮契約のシンデレラ (Less Vocal)
  5. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX (Less Vocal)
  6. 結果オーライ (Less Vocal)

※初回プレス仕様あり

私立恵比寿中学(しりつえびすちゅうがく)

アーティスト写真

スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年8月4日の結成以降、数人の転校(脱退)と転入(加入)を繰り返し、現在は瑞季、真山りか、杏野なつ、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、鈴木裕乃、松野莉奈、柏木ひなたの9名が所属している。2010年2月14日に初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表。2011年4月には事務所の先輩であるももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の中野サンプラザ公演にゲスト出演し、前山田健一プロデュース曲「チャイム!」「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」を披露した。2011年10月5日には6枚目のシングル「もっと走れっ!!」をリリース。同月8日には東京・Shibuya O-EASTにて初のワンマンライブを行い、大成功に収めた。「King of 学芸会」の異名を持つ個性あふれるパフォーマンスで人気を集め、2012年5月5日にはDefSTAR Recordsよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たす。