音楽ナタリー Power Push - イヤホンズ×Aice5

「それが声優!」から生まれた姉妹ユニット対談

清竜人プロデュース、Aice5の新曲「Be with you」

──ではここからは、Aice5とイヤホンズ、それぞれアーティストとしてのお話を。Aice5は復活にあわせてちゃんと新曲も用意して、しかも清竜人さんの書き下ろしということで、これも大きな話題になりました(参照:伝説の声優ユニットAice5、復活第1弾シングルは清竜人書き下ろし)。清さんはここ数年で堀江さんのソロ楽曲を多く手がけていますが、今回も堀江さんからのリクエストで?

堀江 今回は私からお願いしたわけじゃないんですよ。私のライブにみんなも来てくれていて、浅野さんがすごく清さんの曲を気に入ってくれて。

浅野 うん、好き。

堀江 パワーがあるし、インパクトは強いんだけど聴きやすい。なかなか普通の人じゃ作れない曲を作られる方なので、Aice5の曲も清さんがいいんじゃない?って浅野さんが提案したので、清さんにお願いしてみたらOKのお返事をいただきました。

──清さんの曲の中では比較的ストレートに耳に飛び込んでくる楽曲で、かつ歌詞は5人の歴史をしっかり踏まえた内容になっていますよね。どういう発注をしたらこの「Be with you」ができあがるんですか?

堀江 特に発注はしてないんですよね。歌詞もさすが清さん。私たちとずっと一緒にいたのかなっていう。

一同 ハハハハハ(笑)。

──ホントに皆さんの空白の時間を埋めるような物語になっていますよね。よほど具体的なプロットを渡して作ってもらったんだと思っていたのですが。

堀江 きっとスタッフさんからそれなりの説明はあったと思うんですけど、清さん自身も私たちのことを研究してくださったと思うんですよ。なぜかと言うと、歌い分けも清さんが考えてくださっているんです。

浅野 そうそうそう。ちゃんと色分けされていて。歌詞が5色になっていて「なんだこれは!?」って。愛を感じました。

──ここまで堂々とした第2章の幕開けができあがると、この復活はただのお祭りではないという感じがします。

たかはし どうでしょうね。でもお祭りだと思いますよ。結成から10年というおめでたさもあるし、イヤホンズとのイベントも決まったりとか、盛り上げるという意味で、私はとても大きな大きなお祭りだと思います。

ユニットならではの関係性

──そしてイヤホンズは「それが声優!」と連動する形で初めての音楽活動がスタートしたわけですが、ユニットとしての活動はいかがですか?

高橋 私たちはデビューして3カ月ぐらいなので、まだまだ何もわからなくて。あ、でも最近やっとユニットとしての空気感がわかるようになってきました(笑)。

浅野 確かに、今まで1人でしゃべろうとしていたものを3人でしゃべるようになってます(笑)。

高野 3人とも最初はお互いがどういうキャラクターなのか、どういう人なのかを理解し合えていなかったので、この3カ月で本当にちょっとずつですけど、それぞれのバランスが見えてきて。お互いどういじったらしゃべりやすいかなとか、長久さんはボケなのかツッコミなのかとか(笑)。高橋さんはずっとリーダーとして回し役をやってくれてたんですけど、しっかり者な半面かわいくておっちょこちょいなところもあるんだよ、というのをトークでどうすればうまく引き出せるかとか考えるようになりました。インストアライブでお客さんを前にやらせてもらったりしているうちに、ユニットとしてちょっとずつ成長できている気がします。

──ボケとツッコミの関係性とか、そういうのって自然にできあがっていくものですか?

神田 私たちの場合はもともと仲良しだった5人が集まったから、始まりから違うとは思うんですけど……それぞれのなんとなくの役割は決まっていても、自分自身をよりよく押し出すポイントみたいなものは自分自身で多少考えたり……したのかなあ?

堀江 あははは(笑)。したのかなあ?

浅野 あと私たちは初めてのユニットではなかったりもしたからね。作品で一緒になってラジオでしゃべったりする機会もあったしね。同じぐらいのキャリアの子たちで組んだユニットって、やっぱりすごくドラマがあって。同じステージで同じ内容についてトークしなくちゃいけなかったりするから、それぞれがそれにどういうアプローチをするのかを見て「この子はこういうふうに話すんだ」とか「私と全然違う感じ方をしてるんだ」とか発見があるんですよ。歌を歌うときも、写真を撮るときも、同じことをやっているのにそれぞれ違うんだなあって。

堀江 もともとキャラクターがかぶるところがないから、そういう意味ではすごくやりやすい。あと、みんなちょっとずつセンターを嫌がるっていう(笑)。

長久  アハハハハハ!(笑) そうだったんですか!?

堀江 「私がセンターなの」みたいなもめごとは1回もなくて、どっちかと言うと「センターやりなよー」みたいな(笑)。みんながみんな空気を読むユニット(笑)。

浅野 それってユニットごとに違うし、人数によっても違うと思う。Aice5は5人ですけど、3人には3人のバランスがあると思うんですよね。

神田 どんなステージングしてるのかまだ知らないから、観てみたい。

堀江 あ、観たい観たーい。

神田 やりづらいよね(笑)。

高橋 私たちはライブDVDを観て、もう一方的に偵察し始めてます(笑)。

イヤホンズは本格的なアーティストを目指す

──確かに人数もタイプも違うので、一概に当てはまらないとは思うんですけど、Aice5の皆さんからイヤホンズに「ユニットをやる上でこれは大事」というアドバイスはありますか?

浅野 表現が難しいけど……ユニットは外から観たときに「仲がよさそう」かどうかがキモだと思うんです。歌がうまくても、ダンスがうまくても、やっぱり仲が悪そうだと台無しで。別にベタベタする必要はないんですよ。仲間としての友情や絆がちゃんと見えると、ドラマが生まれるんです。実際は仲良しだったとしても、仲が悪そうに見えたら感情移入できないというか「もうソロになればいいのに」って思う(笑)。3人にもそれは伝えました。「尊重し合ってるとは思うんだけど、もう少し仲良く見えるようにしたほうがいいよ」って。

高橋 気を遣いすぎてて、ステージでの見え方まで考えられてなかったから、どこかギクシャクして見えたんだと思うんです。浅野さんにはほかにも視線のことなど、細かいアドバイスをいただきました。

浅野 そう。重ためのLINEを(笑)。

神田 ……私たちにも教えてもらっていいかな(笑)。

堀江 そうだよー!

高橋 わからないことや悩んでることがあるとき、近くにユニットの先輩がいるのはすごく心強いです。

高野 いなかったら私たち、本当に右も左もわからない状態なので、どこに行っちゃうのか……。

長久  ギスギスした状態が長く続いたかもしれない(笑)。

浅野 仲悪かったの?(笑)

左から長久友紀、高野麻里佳、高橋李依。

左から長久友紀、高野麻里佳、高橋李依。

長久  いえ(笑)、お互い踏み込むことができなかったんです。浅野さんもそうですし、スタッフの皆さんもすごく私たちのことを考えてくれているんです。「イヤホンズは本格的なアーティストを目指していこう」と最初に筋道を立ててくれて、初めてのインストアイベントのあとも、ガチの反省会を開いていただいて。これからの方向性とか、「ここを直していきましょう」とか、いろんなアドバイスをいただきました。「『それが声優!』から出てきたユニット」というだけではとどまらない……本格派、というのを意識して考えてくださっているので、私たちは必死でがんばらないと。

──自分が本格派アーティストを目指す未来を予想していましたか?

高野 とんでもないです! 本格派かあ……。

長久  そう言われました。……アレ? 言われたよね!? 言われました!

高橋 “本格派”はなかったかもしれない。アーティスト?

長久  アレッ? すみません盛りました!(笑) アニメの放送は9月までなのに、11月にライブをすることが決まっているのって本当に幸せなことだなあって思うんですね。それってアーティスト……本格派アーティストを目指してなかったら(笑)、こんな機会はなかったんじゃないかなって。これから先はアニメに頼りきりになるんじゃなく、私たちの力で人が呼べるものを作り上げる努力が必要になってくると思うので、そこはひとつ覚悟の気持ちがありました。

Aice5 ニューシングル「Be with you」 / 2015年9月30日発売 / 1296円 / EVIL LINE RECORDS / KICM-1629
「Be with you」
収録曲
  1. Be with you
    [作詞・作曲・編曲:清竜人]
  2. あなたのお口にAice5クリーム!
    [作詞:エンドウ.(GEEKS)、Aice5 / 作・編曲:エンドウ.(GEEKS)]
  3. Partyしようよ!
    [作詞:あさのますみ / 作・編曲:大川茂伸]
  4. Be with you(off vocal ver.)
  5. あなたのお口にAice5クリーム!(off vocal ver.)
  6. Partyしようよ!(off vocal ver.)
イヤホンズ ニューシングル「光の先へ」 / 2015年9月30日発売 / 1296円 / EVIL LINE RECORDS / KICM-1628
「光の先へ」
収録曲
  1. 光の先へ
    [作詞:下地悠 / 作・編曲:大久保薫]
  2. ヒーローじゃなくていい
    [作詞:あさのますみ / 作・編曲:大隅知宇]
  3. Love Power
    [作詞:有森聡美 / 作・編曲:橋本由香利]
  4. 光の先へ(off vocal ver.)
  5. ヒーローじゃなくていい(off vocal ver.)
  6. Love Power(off vocal ver.)
イヤホンズ 単独1stライブ

2015年10月11日(日)東京都 原宿アストロホール
※チケット完売

イヤホンズ vs Aice5

2015年11月22日(日)東京都 NHKホール

<出演者>
イヤホンズ / Aice5
料金:7560円
一般発売:2015年11月7日(土)

Aice5(アイス)
Aice⁵

堀江由衣、神田朱未、浅野真澄、木村まどか、たかはし智秋からなる声優ユニット。堀江の発案から、以前から親交の深い間柄であった5人により結成された。2005年10月の活動開始以来、6枚のシングルと1枚のオリジナルアルバムを発表するも、2007年9月の神奈川・横浜アリーナ公演「Aice5 Final Party LAST Aice5」をもって解散。以降はそれぞれの活動を続けていたが、2015年7月、浅野が原作を手がけるテレビアニメ「それが声優!」への出演決定を機に再結成を果たした。同年9月にはおよそ8年ぶりのニューシングル「Be with you」をリリース。11月には東京・NHKホールにて、「それが声優!」から誕生した新人声優ユニット・イヤホンズとの合同ライブ「イヤホンズ vs Aice5」を行う。

イヤホンズ
イヤホンズ

2015年夏放送のテレビアニメ「それが声優!」で主演を務める声優の高野麻里佳、高橋李依、長久友紀の3人からなるユニット。「それが声優!」作中で新人声優3人が結成するユニット「イヤホンズ」が現実でも活動を開始したというコンセプトのもと、同年6月にシングル「耳の中へ」でデビュー。翌7月にはアニメのオープニングテーマである「それが声優!」を2ndシングルとして発表した。9月には3rdシングル「光の先へ」をリリース。10月には東京・原宿アストロホールで初のワンマンライブ、11月には約8年ぶりに復活を果たした声優ユニット・Aice5との合同ライブ「イヤホンズ vs Aice5」を東京・NHKホールにて開催する。