串田アキラ司令官のもと、街の平和を守るくノ一戦隊

──「一件落着ゴ用心」は、「秋葉原発のネオジャパニーズ戦隊ヒーローソング」と銘打たれた、和風アレンジの効いた四つ打ちダンスロックです。前作「予め失われた僕らのバラッド」でロックオペラを歌われた際も驚かされましたが（参照：イヤホンズ「予め失われた僕らのバラッド」特集 イヤホンズ×エンドウ.（GEEKS））、今回も「そう来たか」という印象を受けました。

高野麻里佳　私たち自身、そう来るとは思っていませんでした（笑）。よくよく考えれば、イヤホンズの楽曲として“戦隊モノ”もあっていいはずなのに、新曲の案出しするときとかはその発想がなくて。

長久友紀　出てこなかったね。しかも、客演に串田アキラさん！ 最初は「秋葉原の戦隊ヒーロー」っていうテーマよりも、串田さんとコラボさせていただけることにびっくりしました。

──過去に大槻ケンヂさん（配信限定シングル「現象のブレイド」）、ROLLYさん（4thシングル「予め失われた僕らのバラッド」のカップリング曲「Yummy Yummy Party」）と共演されて、今回は串田アキラさん。どんな方でした？

高橋李依　お会いした際にまとっていらっしゃったオーラがすごく穏やかだったので、歌われている歌とのギャップにびっくりしました。お会いする前は、もっとライオンみたいな方だと思っていたんですよ。

高野　「ほんとにほんとにライオンだー」だから？

──串田さんは「富士サファリパーク」のCMソングも歌ってらっしゃいましたからね（笑）。

高野　りえりー（高橋）が言ったように穏やかな方でいらっしゃったんですけど、やっぱりあの声とお話しぶりには、もう気圧されちゃうくらいの迫力があって。

高橋　迫力と言っても、威圧感みたいなものじゃないんだよね。温かい迫力で……。

長久　包み込まれるような、ね。「一件落着ゴ用心」は、そんな串田司令官のもと、街の平和を守るくノ一戦隊っていう設定です。

高野　「チャーリーズ・エンジェル」みたいなね。

高橋　うんうん。

あえてベタを踏んでいくアニメとシンクロした曲

──この曲は「AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-」（以下「アキバニ」）のオープニングテーマでもあります。イヤホンズは2015年放送のアニメ「それが声優！」から生まれたユニットですが、今回初めての別のアニメとタイアップしたことになりますね。

高野　今回のタイアップは、私たちはもちろん、もともとのファンの方にとってもうれしいことだと思うんです。やっぱり「それが声優！」の放送が終わってしまうとイヤホンズに触れるきっかけも減ってしまうんですけど、またテレビで放送されることで皆さん手が出しやすくなったり、ファンの方々も人にオススメしやすくなったりするんじゃないかなって。

長久　「アキバニ」は、監督の（博史）池畠さんをはじめ制作スタッフさんも「それが声優！」とほぼ同じで、メインキャストとオープニングテーマもイヤホンズということで、「それが声優！」を重ねてご覧になる方もいると思うんです。でも、そのうえで、イヤホンズとして2年近く活動してきた成果を見せたいというか。声優としてもユニットとしても、「それが声優！」のときとは違った表現を楽しんでいただきたいです。

高橋　この作品はゲームが原作にありますが、アニメ版は完全オリジナルストーリーで。池畠監督の中にある「アニメはこういう方向性でやります」というビジョンが明確に伝わってくるので、楽曲からも世界観を示したいなと。

──その「方向性」って、言語化できますか？

高橋　1つは、どベタをしっかり踏んでいくところですかね。例えばオープニング映像なんかは、ド定番のバトルシーンがあったり、本編の演出やストーリー展開も、あえてベタなラインを狙っていてクスッとさせられるというか。

──女の子が衣服を剥ぎ取られるシーンで必然性なく大股開きしていたりとか、昭和感ありますね。

高野　そうそう。お色気シーンのはずなのに、ぜんぜんエッチに見えない（笑）。

高橋　「一件落着ゴ用心」の歌詞にも「人情」とか「時代劇バトル」とか、ちょっと懐かしくて熱い日本語が散りばめられていたりして、そういう部分はアニメ版としてのアキバニとシンクロしてるなと歌っていて感じました。