DURDN特集|Spotify注目の気鋭ユニットが目指す、ワールドワイドな視点を持ったメインストリームの音楽 (4/4)

DURDNの武器とは

──「Early Noise」に選出されたことで、何か状況は変わりましたか?

SHINTA 「Early Noise」に選ばれたというだけで一目を置かれる印象は確かにありますね。あと、Spotifyでは日本よりも海外リスナーの再生数だけが伸びているような気も少ししていて。国内の数字ももっと伸ばしていかなければ……と、襟を正す思いです。

SHINTA

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──実はDURDNには、日本の倍以上に海外リスナーがいるそうですね。Spotifyの統計を見ると、主な内訳はアメリカ、台湾、フィリピン、インドネシア、タイ、インドなど。こういった状況を皆さんはどう見ていますか?

SHINTA 例えばバズっている「Vacation」とかは、海外の人たちが日本に抱いているイメージと期せずしてうまく合致したのかなと思っています。「My Plan」もいわゆる海外の人たちから見た「ちょっと“いなたい”シティポップ」みたいな。日本の80'sや90'sの音楽が好きな人のニーズとか、「日本の曲っぽいよね?」というイメージに合った曲だったのかなと。

yacco 海外の人たちのコメントを読むと「Vacation」には「ベースがカッコいい」とか、トラックに対する反応が多かったんです。そういう意味でSHINTAが作るトラックのクオリティも海外で評価される理由の1つなのかなと思います。

──さっきおっしゃっていた「DURDNでの活動が実績になれば、コンペも通りやすくなる」ということについてはどうでしょう。状況が変わってきていると思いますか?

SHINTA そんな気がしますね。まだ公表できない案件も含めてオファーが増えているんですよ。tee teaという名前はまだあまり浸透していないけど、DURDNを始めたことで楽曲のクオリティも上がったと思うし、声をかけていただく機会はかなり多くなりました。あと、誰かに合わせて曲を書くのが意外と好きなんだなと自分で気付きました。DURDNではまだやったことのない領域にもチャレンジできるのが単純に楽しいです。

yacco それに最近は「自分たちの新しい面を打ち出したいんです」とか「新しいことに挑戦したいので」みたいな理由で、私たちに楽曲提供のお話を持ってきてくださることが増えてきていて。私たちはDURDNでもtee teaでも、わりと普通の曲を書いているつもりでいるんですけど(笑)、きっとほかの人からは“異色の楽曲”というふうに見えているんだなと思って。それって自分たちの武器になるんじゃないかと思いますし、声をかけていただいてすごくうれしいです。

yacco

yacco

それぞれの持ち味が共存した「apart」

──4月5日には配信シングル「apart」がリリースされます。この曲はどのようにして作っていったんですか?

SHINTA アニメの世界観に寄り添った「My Plan」のあとに出すシングルなので、ここでまたDURDNらしさというか、エモーショナルな楽曲を作ろうと思って。音数をグッと減らした分、1つひとつの音に説得力を持たせるために、ミックスはかなりがんばりました(笑)。全体的に重心を低くして、ヒップホップのグルーヴを感じさせるようなトラックを心がけました。

──曲を書くにあたって、何かインスパイアされた音楽などありましたか?

SHINTA 実はこの曲、小袋成彬さんからの影響がけっこうあるんです。これは僕にしかわからないところですけど、彼のライブを観たときに感じた思いが詰まっています(笑)。小袋さんは日本の音楽を“外”から眺めながら、そこに挑戦しているような曲の書き方をしていると思うんですよ。例えるなら「海外のクリエーターが作ったJ-POP」みたいな。しかも音楽への愛をすごく感じる。そういう部分に勝手にシンパシーを覚えつつ、書いてみたのがこの「apart」なんです。

yacco SHINTAからデモが届いたときは、スタイリッシュでクールだし、まさに「こういう曲が書きたかった!」と思いました。歌詞については、一緒に住んでいる祖父母からインスパイアされたところがあります。私たちはけっこう田舎のほうに住んでいるんですけど、その地域では物々交換が今も成り立っていたり、うちで採れたニンジンを近所に持っていって、代わりにネギをもらって帰ってくるみたいな生活を送っていて(笑)。それってDURDNの関係性にも似てるな、とふと思ったんです。まったく違うタイプの人同士が、自分の持ち味を生かしながら共存している。そういう関係性の尊さを歌詞に込めたつもりです。

Baku

Baku

──Bakuさんは、どんなところに気を付けてこの曲を歌いましたか?

Baku 「My Plan」は自分自身の音域を広げるようなチャレンジングな楽曲だったのに対して、今回は肩の力を抜いて、リズムに乗りながら楽しく歌えました。これまでのDURDNの曲だと「捨てたらいい」「City Drive」あたりに通じると思います。

メインストリームのポップミュージックを目指して

──結成から2年近く経った今、やりたい音楽性は変化してきていますか?

yacco 「ポップスをやりたい」という気持ちは以前よりも強くなってきた気がしますね。

SHINTA しかも日本のメインストリームと言うわけではなく、夢は大きく、ワールドワイドな視点を持ったメインストリームのポップミュージックがやりたいと思っています。始めた当初はシティポップやR&Bのような、日本人が思うおしゃれなポップスを目標としていたんですけど、今は意識が変わってきていて。

DURDN。「Spotify Early Noise Night #15」より。(Photo by Shoko Ishizaki[THINGS.] / Taichi Ishihara)

DURDN。「Spotify Early Noise Night #15」より。(Photo by Shoko Ishizaki[THINGS.] / Taichi Ishihara)

──では最後に、今後の展望について聞かせてください。

Baku とりあえず知名度を上げたいですね。ライブもいっぱいやりたいし、まだまだこれからだと思いますので、もっとたくさんの人に知られたいです。

yacco 私は当面の目標で言うと1500人キャパの箱をワンマンでいっぱいにしたい。

SHINTA 僕も2人と同じでもっともっと活躍していきたいと思っています。そのほかで言うと都内に自分たちのスタジオを持って、いつでも創作できる環境を作れたらいいですね。

DURDN

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プロフィール

DURDN(ダーダン)

韓国をルーツとするシンガーソングライターのBaku、プロデュースデュオ・tee teaとしてIZ*ONEへ楽曲提供の経験もあるトラックメイカーのSHINTA、トップライナーのyaccoによるプロジェクト。グループ名は映画「ファイト・クラブ」でブラッド・ピットが演じる主人公タイラー・ダーデンが由来となっている。2021年1月発表のシングル「Conflict」で本格的に活動を開始。その後、12カ月連続リリース企画を展開し、中でも4月発表の「忘れたいね」は多数のラジオ局でオンエアされた。2022年1月にはEP「306」を発表し、リリースを記念して東京・Wall&Wallで初の有観客ライブを行った。2023年にテレビアニメ「Buddy Daddies」のエンディングテーマとして「My Plan」を提供。3月15日には本楽曲を収録したシングルCDをリリースした。最新曲は4月5日リリースの「apart」。

2023年4月7日更新