家族ってめっちゃいいな
──アニメーション版の「ダンボ」とはまた印象が異なると思いますが、比較してみていかがでしょう?
小春 実写になると、いろいろな出来事がリアルに受け取れますね。最初のほうでジャンボが鞭でバーン!って叩かれるシーンも、アニメーションより生身の痛みを感じました。これが実写のエネルギーなのかなと。各キャラクターにも感情移入できましたし。私はもともと「ヌーヴォー・シルク」という動物を使わないサーカスが好きなんです。動物が登場するサーカスだと、ダンボみたいに“お母さんと離れ離れになってる動物”みたいな背景があるんじゃないかと考えちゃって。今この時代に動物を扱うサーカスの話ってけっこう難しいと思うんですけど、実写で観ることによってすごくリアルに感じるし、結末もよかったし、家族ってめっちゃいいなと思いました。
もも 私もダンボ親子やホルト一家から無償の愛を感じました。親とか家族の愛ってほんとに無条件で。だからやっぱりヴァンデヴァーが自分を捨てたお父さんのことを思っているのかと思うと……。
小春 出た、裏テーマ(笑)。
もも あと、ドリームランドの電気が再起動しないシーンもさあ……!
小春 あれこそ人だよね。ああいうふうに取り乱して、彼も人間なんだなってすごく思った。
もも 自分の力で手に入れてきたものなのに、こんなにもろいんだって。そこにワーッとなって、もう観ていられなかった……。それに比べてメディチ・サーカスの人たちは強いですよね。
小春 彼らは仲間さえいれば何度でもやり直せるからね。
もも クライマックスでも、このメンバーがいれば強いんだっていう自信がみんなに満ちていたし。
小春 このメンバーで離れなければどこでもやっていける絆があるんでしょうね。我々もいつどこでクビになるかわかりませんけど、ももと小春でさえいればチャラン・ポ・ランタンはやれると思うので。同じ気持ちになりますよね。
もも 小春ちゃんがいて私がいたらチャラン・ポ・ランタンは絶対大丈夫というのが自分たちの自信だったりしますから。
あれはダンボの曲だったんだ!
──主人公のダンボはいかがでしたか?
もも かわいかった!
小春 実写映画の動物って、ちょっと怖くなりがちじゃないですか。しかも象って絶対怖くなるでしょ。
もも リアルになることでグロテスクにならないかなっていう心配はありましたね。でも終始かわいかった。
小春 そうだね。
もも かわいいだけじゃなく男らしく成長するというか、ベイビーじゃない強い表情にハッとしましたね。
──私はジャンボが出てきた瞬間の足音や鳴き声など音の迫力が素晴らしいと思いました。音楽面で気になったところはありましたか?
小春 最初のほうで流れてたあの曲が印象的で……。
──「Casey Junior」ですね。サーカスを乗せた汽車がやって来るシーンの。
もも あれが「ダンボ」の曲だって初めて知った。
小春 そうそう。あの曲はもちろん知っていたんですけど、「ダンボ」の曲だってわかってなかった。あの曲が流れてめちゃくちゃうれしかったです!
もも 音楽はやっぱり「このときはこれ」というのが欲しかったりしますからね。
小春 映画を観終わったあと、印象に残るのは音楽なんじゃないかなと思うんです。忘れてるくらい昔に聴いた曲を、「あれはダンボの曲だったんだ!」って感動するみたいに。音楽って昔の記憶と一緒に思い出されることが多々あって、この映画を観た子供たちもいずれ大人になって「Casey Junior」を聴いたら「ダンボ」を思い出すんだろうなと思うと音楽っていいですよね。
──ティム・バートンらしさを感じた部分はありましたか?
小春 ティム・バートンの作品って、全体で観るとポップなのに一時停止するとすごい暗いみたいな瞬間がいっぱいあると思うんですよ。暗い部分もちゃんと見せるというか。ほかの監督がディズニーアニメーションを実写化したらこんな感じに撮らないんじゃないかな。個人的には色合いが毎回好きです。
もも 始まってすぐサーカスの汽車が出てきた時点でもう「いいね、いいね!」ってなったよね。
小春 冒頭に出てくるサーカステントとか、自分たちのワンマンでこういうの作ったらいくらぐらいするんだろうって、前半はそればかり考えながら観ちゃった(笑)。ああいうの好きなんですよ。
もも 私も「さすがディズニーとティム・バートンですわ」って思いながら観てました(笑)。細かいところまで本当にすごいなって。何回観ても面白いんでしょうね。小春ちゃんは映画を観終わってすぐ「やっぱサーカスいいわ。やりてえわ」とか言ってたし(笑)。
小春 サーカスやろうと思った。ホントに。「グレイテスト・ショーマン」もそうですけど、サーカスというもの自体が自分にしかできないものを笑ってもらったり喜んでもらったりする場所だと思うので、“そのままで、きっと輝ける”というのはいいテーマですよね。チャラン・ポ・ランタンのお客さんはみんな観たほうがいいぞ。
- 「ダンボ」
- 2019年3月29日(金)全国公開
- ストーリー
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アメリカ各地で興行の旅を続ける落ちぶれたサーカス団で生まれた象のダンボ。ダンボは、サーカスの新たな看板スターとしてショーに出るが、大きすぎる耳のせいで観客の笑い者にされてしまう。ある日、サーカスの元看板スターだったホルトの子供たちが、ダンボと遊んでいると、大きな耳でダンボが飛べることを発見する。その“空飛ぶ子象”の噂を聞き付けた大興行師のヴァンデヴァーは、サーカス団をだましてダンボを手に入れようとたくらみ、愛する母と引き離してしまう。ダンボの姿に勇気付けられたサーカス団の仲間たちは、母象の救出に挑む。大空を舞うダンボが、世界中に“勇気”を運ぶファンタジーアドベンチャー。
- スタッフ
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監督:ティム・バートン
脚本:アーレン・クルーガー
音楽:ダニー・エルフマン
音楽監修:マイク・ハイアム
- キャスト
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ホルト:コリン・ファレル
ヴァンデヴァー:マイケル・キートン
メディチ:ダニー・デヴィート
コレット:エヴァ・グリーン
- 日本語吹替版キャスト
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ホルト:西島秀俊
ヴァンデヴァー:井上和彦
メディチ:浦山迅
コレット:沢城みゆき
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- チャラン・ポ・ランタン
- もも(Vo)と小春(Accordion)が2009年に結成した姉妹ユニット。バルカン音楽やシャンソンなどをベースにした無国籍なサウンドと、サーカス風の独特な世界観で国内外で活躍する。2010年8月に「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン」名義のアルバム「ただ、それだけ。」をリリース。2012年9月にはチャラン・ポ・ランタン名義の1stアルバム「つがいの歯車」を発表した。2014年7月にシングル「忘れかけてた物語」でエイベックスからメジャーデビューを果たし、同年12月にはメジャー1stアルバム「テアトル・テアトル」を発売。2018年11月にインディーズ期の楽曲を集めた“ほぼベストアルバム”「過去レクション」をリリースしたのち、翌12月に東京・NHKホールで結成10年目を記念したライブ「大拍乱会」を行った。2019年3月に最新アルバム「ドロン・ド・ロンド」をリリース。4月よりライブツアー「チャラン・ポ・ランタン 2019ツアー『脱走』」で全国各地を回り、6月には大阪、7月には東京でツアー追加公演「チャラン・ポ・ランタン 2019ツアー追加公演『脱走の果て』」を行う。