dTV「Roots」特集 Awesome City Clubインタビュー|メンバーも初めて知る、それぞれの人生のキーパーソン

通算4枚目のオリジナルアルバム「Get Set」をリリースしたばかりのAwesome City Clubが、3月18日(金)より配信されるdTVのオリジナルライブ番組「Roots」第3回に出演する。3人はバンドにとってゆかりの地である渋谷を舞台に、アコースティック編成でのライブパフォーマンスを披露。またトークパートではバンド結成のきっかけとなった音楽スタジオ・STUDIO FAMILIA 渋谷店で、自身のルーツについてたっぷりと語り尽くしている。音楽ナタリーでは、3人の“人生の転機”となったキーパーソンなどルーツをさらに深掘りしたほか、番組の見どころをざっくばらんに語り合ってもらった。

取材・文 / 黒田隆憲

渋谷の夜景をバックに演奏

──本日はdTVのオリジナルライブ番組「Roots」の収録、お疲れ様でした!

一同 ありがとうございます!

──出演してみていかがでしたか?

atagi ライブができることがまずうれしかったですね。僕らのゆかりの地でもある渋谷を舞台に演奏ができるという話を最初の打ち合わせのときから伺っていて、そのことにすごくワクワクしていました。

PORIN 来年でAwesome City Clubは結成10周年を迎えるんですけど、このタイミングで自分たちのルーツを振り返り、それを深掘りできて皆さんに知ってもらえる機会にもなるなと。

モリシー ライブの景色もすごくよかったんですよ。

PORIN もう、絶景でした! 渋谷スクランブルスクエアの上層階にセットを組んでいただき、夜景をバックに演奏して。

atagi セットもめっちゃよかったよね。

PORIN そうそう。ちょっとボタニカルっぽい要素と夜景のネオンがすごくマッチしていて、おしゃれな感じでした。編成も、今回はバンドセットではなくてチェロ、ベース、鍵盤と私たち3人というアコースティックセットだったんですけど、このアンサンブルだからこそ出せるリッチなサウンドになってうれしかったです。

モリシー 曲によってはベースが抜けたり、「夜汽車は走る」を3人だけで演奏したりね。

PORIN 特に「ceremony」と「タイムスペース」は、この編成ならではのアレンジにして。ちょっとセッションっぽい感じになって楽しかった。

atagi 「Life still goes on」とかリリースしたばかりの曲もやれて、ほどよい緊張感も出せたんじゃないかなと。すごく新鮮な気持ちで臨めましたね。

Awesome City Club

Awesome City Club

配信でいかにライブのエッセンスを伝えるか

──今回のように、配信というスタイルでライブを届けることの意味や意義についてはどう思いますか?

PORIN サウンドはもちろん、視覚的にもこだわれるのが配信ライブのいいところだと思っていて。「映像作品」と呼べるクオリティのものもたくさん出てきていますよね。今回の私たちのライブ映像も、そう感じてもらえたらうれしいですし、配信ライブをやる意義もそこにあるのかなと思います。

atagi もちろん生の演奏を観てもらうのがライブの最大の魅力ではあるけど、それがなかなかできなくなってしまった昨今、配信という手段でいかにライブのエッセンスを伝えることができるか、この2年くらいの間にたくさんのミュージシャンが考えたと思うんです。そうやって少しずつ醸成されている新たなコンテンツの可能性に、思いを馳せつつ楽しんでもらえたらうれしいですね。

モリシー 今後、5Gなどが本格的に導入されたらさらに進化していくのでしょうね。すごく未来のある分野だし、いちユーザーとしても楽しみにしています。

それぞれの音楽的ルーツ

──トークパートでインタビュアーを務めたのは、Awesome City Clubをデビュー時からずっと追ってきたライターの金子厚武さんだったんですよね。

PORIN そうなんです!

モリシー もう、金子さんとも長い付き合いになりましたね(笑)。

atagi 「このインタビュアーさんじゃなきゃ嫌だ」とか、そういうこだわりはないのですが、やっぱり長い付き合いだからこそ自分たちのことをわかってくれている金子さんには、つい深いことまで話しちゃうところはきっとあると思います。

PORIN 金子さんご本人もバンドをされていた方なので、ミュージシャンとしての感覚みたいな、私たちと近い部分があるんじゃないかなと思います。

──番組の中でも3人の音楽的ルーツについてはお話しされたかと思うのですが、改めてお聞かせいただけますか?

atagi 僕のルーツの中で、Awesome City Clubの音楽性に影響を与えているものを挙げるとすれば、やっぱりブラックミュージックですね。そして、ブラックミュージックに行き着くまでの過程で聴いたRed Hot Chili PeppersやInfectious Groovesなど、ファンクサウンドが入ったいわゆるミクスチャーバンド。さまざまなジャンルを取り込みながら、それをモダンにブレンドしている感覚が新鮮だったのだと思います。過去の音楽を、今の耳でも聴けるようにアップデートしている方法論は、僕らが今やっていることにも通じるんじゃないかなと。

atagi

atagi

PORIN 私は幼少期と思春期はJ-POPをずっと聴いていましたね。松任谷由実さんや宇多田ヒカルさん、バンドだとチャットモンチー、BUMP OF CHICKEN。音楽はもちろんですけど、歌番組での宇多田ヒカルさんはトークもめっちゃ面白くて。すごく身近な存在として感じていましたね。

モリシー 僕はB'zの楽曲を聴いてギターを始めました。そこから小さなライブハウスのホストバンドでブルースを演奏するようになり、その後に加入したバンドではKasabianやPrimal Scream、Happy MondaysなどUKロックに影響を受けたオリジナル曲をやっていたんです。当時は大学4年生だったんですけど、そのバンドをやるまではKasabianの「カ」の字も知らなくて、洋楽と言えばせいぜいThe BeatlesとOasisを聴いていたくらいだったので、そこからいろいろ深掘りしていったという意味でも重要な時期だったのかなと思います。