NTTドコモと吉本興業グループの合弁会社・NTTドコモ・スタジオ&ライブによる、“世界に羽ばたくガールズグループ”を創出するプロジェクトが始動。グループメンバー選定にあたって“シェアハウスでのリアルなガールズライフ”の模様を映し出すコンテンツの制作も決定し、参加者を募集している(参照:ドコモ×吉本興業の新ガールズグループ創出プロジェクト始動)。
“シェアハウスでのリアルなガールズライフ”をコンテンツとして送り出す狙いは? 候補者に求める素質は? 参加するトレーナーは? この特集では、いまだベールに包まれているプロジェクトの詳細を明らかにするべく、本企画を統括する山田知弘プロデューサー、そして2019年にサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」に練習生として参加したOWVのメンバー・浦野秀太にインタビュー。公開型オーディションの“経験者”である浦野とともに、本企画の“運営”である山田プロデューサーにさまざまな質問を投げかけた。
取材・文 / 岸野恵加撮影 / 藤記美帆
脱落しない、非サバイバル型オーディション
──まずは山田さんに、今回のオーディションがどういった思いからスタートしたのかをお伺いできますか?
山田知弘 NTTドコモ・スタジオ&ライブは「エンタメ業界に新しい風を吹かせたい」という思いで昨年立ち上げられた、NTTドコモと吉本興業グループの合弁会社です。設立当初からアーティスト開発を行う計画はありまして、それに具体的に乗り出したのが、今回のオーディションということになります。
浦野秀太(OWV) デビューするグループは、どんなアーティストになることをイメージしているんですか?
山田 楽曲によって表情がどんどん変わっていくような、表現力の幅が広いアーティストにしたいと思っています。メンバーはそれぞれ“クール”“セクシー”などのキーワードを持っていて、セクシーな楽曲をやるときは“セクシー”担当の子がセンターに立つ。そうした形式の、1つのジャンルに固執しない“カメレオン型”なダンス&ボーカルグループを想定しています。
浦野 へえ、面白いですね! 結成当初からカラーやテイストが決まっているグループも多いじゃないですか。でもファンの方って、好きなメンバーのいろんな顔を見たいものだと思うんですよ。例えばキュートなコンセプトのグループだと、その子のクールな部分など違う一面はなかなか見づらかったりする。なので、個人的にはすごくいいなと思いました。
──OWVはダークで迫力のある楽曲を軸としつつ、さまざまなジャンルの楽曲をやられているイメージがあります。アーティスト側としても、いろんな面を見せたいという思いはあるものなんですか?
浦野 いろんなジャンルの音楽に挑戦したいという思いは常にありますね。OWVは攻撃的なダンス曲が多い中に、たまにバラードやポップスがあるという感じですが、まだやっていない、やってみたいジャンルもたくさんあります。今回生まれるグループは、いろんな顔を見せられるグループになりそうですね。
──近年はオーディション番組が数多く放送されていて、視聴者の熱い支持を受けたままデビュー後も高い人気を集めるグループがいる一方、結成時が注目度のピークになってしまうケースもあると思います。そうした状況の中、このオーディションを行う意義をどう捉えていますか?
山田 浦野くんが参加したオーディション番組も含め、サバイバル型オーディションが定着してからけっこう年月が経ちましたよね。今回は新しいものにトライしたいという思いがあり、参加者が次々に脱落していくサバイバル型ではなく、スローペースな進行をイメージしています。10数人くらいの参加者に3カ月間共同生活を送っていただいて、自分の実力を磨いてもらいます。その中から7、8人がデビューするくらいの倍率感ですね。
浦野 だから“ガールズライフ”というネーミングなんですね。僕も「PRODUCE 101 JAPAN」(以下「日プ」)で共同生活を経験しましたけど……。
山田 合宿期間が期間限定で設けられているというよりは、シェアハウスで暮らしてもらい、生活している姿にもぐっとフォーカスするイメージです。土日はオフにしようと考えていますし、プログラムを終えたあとの夜は自由に過ごしてもらってOK。デビューがゴールではなく、葛藤しながら自分磨きをする姿が視聴者の憧れの対象になるような番組になればいいな、と思い描いています。
浦野 なるほど。それだと「日プ」とはけっこう違いますね。「日プ」でも共同生活の部屋にカメラはありましたが、放送ではあまり使われていなくて。カメラの前ではあんまり力が出せないけど、実はすごく面白いキャラクターだったり、カメラが回っていないところでめちゃくちゃ努力していたりする人もいるんですよね。そして僕もまさに、いざカメラを目の前にすると力を出せないタイプで。当時から今みたいな性格だったんですけど、カメラが回るとカッコつけちゃって、オーディション期間中には本田(康祐 / OWV)から「もっと素を出したほうがいいよ」とよく言われていました。
山田 「審査しますよ」と構えられると、緊張してしまうタイプ?
浦野 緊張しちゃいますね。だからずっとカメラを回してもらっていたほうが、僕は自分のキャラや魅力をより出せていたかなって。もし僕が参加者だったらこのシステムはすごくありがたいし、慣れない環境でなかなか力を出せない人には刺さるんじゃないですかね。
デビューメンバーはどう決まる?
──審査はどのように行うんですか?
山田 ジャッジする代表プロデューサーが誰か1人いるわけではなく、視聴者投票なども行わず、審査の過程はあまり細かく見せない予定です。なぜかと言うと、参加者には誰かの目を意識してアピールするのではなく、自分と戦ってほしいんです。アーティストである前に1人の人間ですから。もちろんプロのトレーナーによる技術面での評価もあり、実際に参加者と密に接するスタッフなどの意見を聞きつつ、全体で合議してデビューメンバーを決めたいと思っています。
浦野 すごくいいですね。「日プ」は参加人数が多いので、フォーカスされないまま脱落した人を何人も見てきました。それと、順位が明確に出るので、僕は「あの順位の人を抜かさなければ」と焦ってしまっていましたね。自分自身と向き合って成長できるなら、デビュー後も楽しみなグループになりそうです。
──既存のオーディションとはだいぶ異なる内容になりそうですね。
山田 本当はオーディションという言葉も適切なのかどうなのか……とも思います。便宜的に使っていますが、今後いつか、この“ガールズライフ”というコンテンツが1つのジャンルになったらいいなと。
──これまでのオーディション企画では、最初から歌やダンスのスキルが突出している参加者が人気を集める傾向がある一方で、未経験でも努力して大きな成長を見せた人がデビューをつかむケースもありましたよね。今回は実力の高さはどこまで重視されるのでしょうか? スター性や人間力に優れていれば、経験が浅くとも合格できる可能性はあるのでしょうか。
山田 短い期間でどれくらいの伸びしろを見せてくれるかは、注目したいと思っています。それぞれスタート地点がバラバラなので、もし最初に全然踊れなかった方がグンと成長を見せてくれたら、「デビュー後も、より成長してくれそう」と期待感が高まりますよね。そういう方が合格する可能性も大いにあると思います。僕たちが用意できるのは環境だけ。応募してくれる方々のキャラクターによってグループの特徴が決まると思うので、すごく楽しみです。
──いただいた資料には「日本での活動を経て欧米進出を目指す」という記載もありましたが、デビューグループの音楽ジャンルとしては、欧米を意識したものになるのでしょうか?
山田 そうですね。でもJ-POPのよさを届けたい、MADE IN JAPANを海外に届けていきたいという思いもあるので、うまくミックスさせていくことが大事かなと。基本的には洋楽を意識してアメリカや欧米に響く構成を意識しますが、どこかにJ-POPらしさを忘れずに取り入れたいと思っています。
──ちなみに、作詞作曲などクリエイティブな才能を持っている方の応募も歓迎ですか?
山田 もちろん! あとはやっぱり、英語などの言語に長けている方も強みになると思います。
浦野 語学力は大事ですよね。僕は2歳から英語を習っていて、海外旅行に行ったときには親に「現地の方と自分でしゃべってきなさい」と促されたりして(笑)、自分なりにがんばっていた時期もあったんです。でも英語ってやっぱり、続けないと習得が難しくて……根気が必要ですよね。
山田 楽器経験のある方も魅力的だと思います。浦野さんはピアノが得意ですよね。楽器をやっている方は、自分の中にちゃんとビートを持っている気がします。浦野さんは本当に耳がいいんですが、それはピアノの経験が生きていると思うんです。ピッチも一発で合わせますし。
浦野 なんだか照れますが(笑)。ピアノの経験や、幼少期にクラシックに触れていたことは、今すごく役に立っていると思います!
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