音楽ナタリー Power Push - Drop's
中野ミホ×番場秀一(MV監督)対談 「みちくさコーヒーブルース」特別編
歌詞の風景、映像の風景
──MVが作られるシングル曲やアルバムのリードトラックは、いわゆるプロモーションビデオ、バンドの今を代表する曲が選ばれるものだと思うんですけど、Drop'sはMVを作る曲のセレクトも渋いですよね。アルバムからの新作MVも「『ハイウェイ・クラブ』なんだ!」と驚きました。
番場 そう思いますよねえ(笑)。
──なぜこのディープな楽曲をリードトラックに?
中野 いろいろ迷ったんですけど、これでいいとレコード会社の人が言ってくれたので(笑)。自分でも普通はこれを選ばないなとは思うんですけど、今までのアルバムリード曲とは少し違う感じにしたくて。
番場 ちょうど昨日が撮影だったんですよ。なんと言うか、“幻”みたいな感じになればいいなあと。
──起伏が激しいドラマチックな曲なので、ある意味映像は作りやすいのかなとも思いますが。
中野 けっこうイメージを限定するような歌詞だから……こういうのってどうなんですか? 自分の中に具体的な風景があって、そのまま書いたような歌詞なので、逆に作りにくいのかなって。
番場 これはどこのイメージ?
中野 去年、広島で豪雨があったとき、ちょうどツアーで広島に行っていて。豪雨の中、車で高速道路を走っている風景をイメージして書いたんです。
番場 「歌詞がこういう内容だからこういう映像にしよう」と直接的に映像に出すことはほとんどないですけど、全体的なイメージには少なからず影響がありますよ。
──歌詞を書いた本人にとっては、自分が思い描いていたのと異なる風景が映像で浮かび上がったとき、どんな気持ちになるんでしょう。
番場 そこは謎ですよね。歌詞を書いている人は自分が描いている風景があるはずだから、できあがった映像を観て「アレッ?」と思わないのかなあ。
中野 そこが面白いし、自分の想像を超えたいい風景を番場さんは毎回作ってくれるんですよ。番場さんの頭の中ってどうなってるんだろう?っていつも思います。
演奏がアップデートされて表現できる幅が広がった
──Drop'sはコンスタントに作品を発表し続けていて、どんどん自分たちのやるべき音楽が明確になってきているのかなという印象を受けました。曲作りで煮詰まることはあまりないのかなと。
中野 「コール・ミー」(2014年5月発売のシングル)からほかのメンバーも曲を作ってくるようになって、今回のアルバムはメンバーみんなでそれぞれアイデアを持ってきてくれて、そこからできた曲もあります。
──メンバー全員で「今のDrop'sの音楽はこれ」という意識が共有できているということでしょうか。
中野 特に話し合ったりはしないんですけど、なんとなく「これはカッコいい」という共通認識があるような感じがしますね。新しい要素を取り入れてもうまくやれているし、楽しく前に進めているなと思います。
──3曲目の「moderato」から中盤の「三月のブルー」あたりにDrop'sの新しい流れを感じました。
中野 「moderato」は鍵盤のバシ(石橋わか乃 / Key)の曲ですね。「三月のブルー」はキャロル・キングのイメージがあって、音色はウエケンさん(上田健司。KENZI & THE TRIPS、the pillowsでの活動を経て、現在はサウンドプロデューサー、スタジオミュージシャンとして活動している。カムイレコード代表)と話し合いながら決めていきました。演奏はみんなそれぞれいい感じにアップデートされているので、表現できる幅が広がってきているのがうまく曲作りに反映できているんだと思います。
思い出の「ちくわパン」
──監督はMVを手がけるアーティストについて、その人となりを深く探ることはしないんですか?
番場 やんないですね、あんまり。
中野 番場さんも普段どんな人なのかわからないですよね。生活感があまりないから……。
番場 そんなことないよ(笑)、全然。
中野 この前「休みの日は何をしてますか」って質問したんですけど、「ヤケクソで映画観てる」って答えが返ってきました(笑)。
番場 今は忙しくて全然観てないんですけど、そんときはたまたまヒマでノイローゼになりそうだったから(笑)。ヤケクソで何本も観てましたね。
──中野さんのように喫茶店巡りをして、ゆっくりした時間を過ごすようなことはしないんですか。
番場 うーん、ゆっくりしてるとやっぱ「ヒマだな」ってなっちゃうんですよね。
中野 私も最近はやることがないことが怖くなってきて、つい焦ったりするんですけど、喫茶店で1人で本を読んだりしているときはそれに没頭していますね。
番場 そういえば初対面のとき、北海道でのロケハンでちくわパンがあるパン屋さんを教えてくれたよね。
中野 「太陽」(2013年7月発売のタワーレコード限定シングル。2013年9月発売の1stフルアルバム「DAWN SIGNALS」に収録された)のときですね。ロケハンのときに監督が「ちくわパンが食べたい」って。偶然だけどそのお店の名前も「どんぐり」ですね。
(フルサイズはアルバム「WINDOW」付属のDVDに収録)
- 3rdフルアルバム「WINDOW」2015年7月22日発売 / STANDING THERE, ROCKS / KING RECORDS
- 「WINDOW」
- CD+DVD盤 / 3200円 / KIZC-321~2 / Amazon.co.jp
- アナログ盤 / 4500円 / NAS-2021 / KING e-SHOP
CD / アナログ収録曲
- NANANA FLAG
- ローリン・バンドワゴン
- moderato
- ホテル・カウントダウン
- ハイウェイ・クラブ
- 三月のブルー
- ビート
- さらば青春
- 天使の雲
- 未来
- ベリーグッドモーニング
CD+DVD盤 DVD収録内容
- さらば青春 Music Video
- 未来 Music Video
- ハイウェイ・クラブ Music Video
- 天使の雲 Live
- 未来 Live
- ためいき Live
Drop's ONEMAN TOUR 2015「View from WINDOW」
- 2015年9月20日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2015年9月22日(火・祝)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2015年9月26日(土)北海道 BESSIE HALL
料金:3000円(全公演共通・ドリンク代別)
※学割あり(当日学生証の提示で500円キャッシュバック)
Drop's(ドロップス)
北海道・札幌在住の女性5人組ブルースロックンロールバンド。2009年に同じ高校に入学した5人で結成し、高校2年生の夏休みに初めて作ったオリジナル楽曲「泥んこベイビー」で挑んだ高校生バンドコンテストでグランプリを獲得し注目を集めた。高校3年生となった2011年7月に初のCD作品となるミニアルバム「Drop's」をリリースし、同年12月には同じく札幌出身のロックバンド・爆弾ジョニーとのスプリットシングル「SPLIT」を発表。2012年7月には北海道の音楽フェス「JOIN ALIVE」への出演を果たし、同年8月には東名阪ツアーを行う。2013年3月に2ndミニアルバム「LOOKING FOR」を発表したのち、7月にタワーレコード店舗限定シングル「太陽」でキングレコード内のロックレーベル「STANDING THERE, ROCKS」よりメジャーデビューを果たした。コンスタントにライブとリリースを重ね、2015年7月に通算3枚目となるフルアルバム「WINDOW」をリリース。9月には名古屋、東京、札幌の3都市を回るツアー「Drop's ONEMAN TOUR 2015『View from WINDOW』」を行う。
スタイリスト / 黒瀬結衣
ヘアメイク / 稲田梨名
USEDワンピース 4800円 / ゴッホ
イヤリング 3000円 / only yunyun
シューズ 28000円 / MUZINA ともにboco凹
<問い合わせ先>
ゴッホ goghshop@gmail.com
boco凹 03-6276-5040