ナタリー PowerPush - Droog
大分発・18歳が放つ本能のパンクロック
僕らの街のレンタルビデオ屋には「爆裂都市」はなかった
荒金 その先生、自分の教室に学級文庫みたいなものを作ってたんです。そこにちょっと変わった本とかマンガとか置いてあって。
──例えば?
カタヤマ つげ義春とか。それも面白かったですね。すごいと思ったし「ONE PIECE」を捨てたくなりました(笑)。
──わかる気がする(笑)。映像はどうですか? THE STALIN、INUと来ると当然「爆裂都市」とか?
カタヤマ 僕らの街にはなかったんですよ。レンタルビデオ屋をいろいろ探してみたんだけど見つからなかった。何にもないド田舎ですから。
──じゃあ中学のときってつまんなかった?
カタヤマ 今考えると面白かったんですけど、そのときはつまんないって思ってましたね。いっつもサボってました。遅刻もしてたし。
荒金 僕はマジメに登校してました。
カタヤマ 不登校生徒に登録されてましたね、僕は。登校日数が足りなくて。
荒金 でも学校に来たときは一緒に音楽とかの話をしてましたね。その先生を交えて。
──遊ぶところもなさそうだしねえ。
カタヤマ そうですね。だからライブハウスに行ったり。(遠藤)ミチロウさんの弾き語りと、日本脳炎っていうバンドが一緒にやるのを観に行ったりしてました。
──ミチロウさんの弾き語り、強烈ですよね。
カタヤマ あっちのほうが好きです、僕は。あとはザ・クロマニヨンズやThe Birthdayとか。あんまり来ないですけどね、大分には。
自分らがカッコいいと思っちょることをやるだけ
──観たいバンドがなかなか大分に来ないから自分たちでバンドをやるしかない、っていう状況ですよね。ライブもやってました?
カタヤマ 中3からやってました。僕らの街よりさらに田舎にあるライブハウスで。最初はカバーばっかりでしたけど。
──オリジナル曲は?
荒金 「作ろう」ってなってから、1曲目ができるまでだいぶ時間がかかってるんですよ。どれが正解かわからなかったというか。でも、1曲できてからは「なんでもいいんだな」って思ったんですよね。カッコいいと思うことをやればいいっていう。
カタヤマ 30秒くらいの曲なんですよ、ただ叫んで終わるだけ。
──でも曲ができたときはうれしかったんじゃないですか?
カタヤマ そうですね。俺らの曲、っていう。
──ライブの反応はどうでした?
カタヤマ いや全然。お客さんの反応が感じられるようになったのは、ホントについ最近なんで。「なんだコイツら?」っていう目で見られたことはあったけど。あと、たまに一世代上くらいの人から「カッコいい」とか言われることがあるくらいで。
荒金 自分らがカッコいいと思っちょることをやる、そのことに意味があると思ってたので。
──カッコいいことをやってる、という自信はあった?
カタヤマ はい。カッコいいことができてる、っていうのは常にあります。ただ、その頃は不安をかき消すために「今が楽しければいい」って、ムリにでも思ってました。
荒金 「次のライブは?」とか「次の曲どうする?」って、目先のことをやり続けるっていうか。
カタヤマ つい最近までそんな感じでした。
Droog(どるーぐ)
カタヤマヒロキ(Vo)、荒金祐太朗(G)、多田拓斗(B)、右田智弘(Dr)による4人組ロックバンド。メンバー全員大分県別府市出身。小学校6年生のときに原型となるバンドを結成し、2007年よりバンド名をDroogに変更。大分県内のライブハウスを中心に活動を始め、2010年2月にリリースした1stミニアルバム「Droog」は地元タワーレコード大分店で週間総合チャート1位を記録する。その夏「PUNKSPRING」「ROCKS TOKYO」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」「AOMORI ROCK FESTIVAL」「ロッケンロー★サミット」といった大型ロックフェスに次々と出演。2010年10月に2ndミニアルバム「Violence」をリリースした。