ナタリー PowerPush - Droog

大分発・18歳が放つ本能のパンクロック

「大分にすごいバンドがいるらしいよ、全員10代で……」。この半年くらいでそんな会話を何度交わしただろうか。今年2月に初の音源「Droog」をリリースし、「PUNKSPRING 2010」「SUMMER SONIC 2010」などの大型フェスに出演。瞬く間にロックシーンの話題をさらった4ピースバンドがDroog(ドルーグ)だ。

オリジナルパンクの本質をほとんど本能的につかみ取った凶暴にしてしなやかなバンドサウンド、危うくもグラマラスなルックス、そして破壊的なシャウトと美しいメロディが1つになったボーカル。このほどリリースされた2ndミニアルバム「Violence」によって、その存在はさらに強くクローズアップされることになるだろう。カタヤマヒロキ(Vo)、荒金祐太朗(G)にバンドの成り立ちについて訊いた。

取材・文/森朋之

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初めてギターを手にしたのは小学6年生のとき

──早くも巷ですごい話題になってますが、騒がれている実感はありますか?

カタヤマヒロキ(Vo) ライブの反応だったり、少しお客さんが増えたり、僕らのことを知ってるお客さんがいたりっていう。

荒金祐太朗(G) ライブですよね、やっぱり。そういう実感があるのは。

──初めてバンドをやったのは小学校のときだったとか?

カタヤマ 初めてギターを手にしたのは小学6年生のときですね。好きなバンドがいて、とかじゃなくて、ただ楽器を触って遊んでただけですけど。とにかく一番安いギターを街の楽器屋で買って。

──そのバンドがDroogにつながってるんですか?

カタヤマ いや、そのときからやってるのは僕とベース(多田拓斗)だけです。

荒金 僕はいませんでした。

カタヤマ そのころコイツはピアノをやってたんで。

──クラシックピアノ?

荒金 そうですね(笑)。幼稚園から中2くらいまでやってたんですよ。最初は親にやらされてる感じだったんですけど、小学5年くらいになって、ちょっと弾けるようになると面白くなってきて。

──ちなみに好きな作曲家は?

荒金 作曲家ですか? うーん、ショパンとかドビュッシーとか。

──なるほど。ピアノからロックバンドっていう振り幅が面白いですね。

カタヤマ 母ちゃんビックリよな?

荒金 (笑)。

中学の数学の先生がSEX PISTOLSのCDを貸してくれた

──荒金さんがバンドに入ったのは、どういうきっかけだったんですか?

荒金 中学のときに、ヒロキたちのバンドの練習を見に行ってたんですよ。そしたらいろいろ気になるんですよね。「そこ違うやん。音ズレちょるやん!」って。で、口出ししてるうちに、そのときのギターから「やってみれば」って言われて。

──2人は普段から仲が良かったんですか?

荒金 そうですね。小学校のときから友達だったんですけど、中1で席が隣になってからすごく仲良くなって。週末になると一緒にブックオフに行ってました。

カタヤマ 別府に1軒だけあるんですよ、ブックオフが。そこでCD買って。

──そこが音楽の入口?

カタヤマ あの、このバンドを始めたのはSEX PISTOLSを聴いたことがきっかけなんですけど、ピストルズを教えてくれたのが学校の先生なんですよ。数学の先生が「これ聴いてみろ」ってCDを貸してくれて。情報源はその人ですね。

──どうでした? ピストルズは。

カタヤマ ビックリしました。ものすごくビックリした。今まで聴こえてきた音楽とはぜんぜん違いました、歌い方も全部。なんだこれ?って感じですね。

荒金 映像を観たときも衝撃でしたね。YouTubeで「GOD SAVE THE QUEEN」のPVを観たんですけど、そのときがいちばんすごかった。「ウワッ!」って。

──2人が中1っていうと5年くらい前。もうYouTubeを使ってたんですね。

カタヤマ こいつだけパソコン持ってたんですよ。

荒金 自分のじゃなくて、家にあるヤツですけど。

カタヤマ そこからいろんなバンドを聴くようになって。

荒金 (YouTubeで)ピストルズを観ると、自動的にTHE CLASHも出てくるし。

──RAMONESとかも?

カタヤマ はい、RAMONESも聴きました。あと、さっきの先生が「これが日本のパンクや」って、THE STALINやINUを教えてくれて。それもすごかった。歌詞にまずビックリした。

──どの曲が好きでした?

カタヤマ 「天プラ」とか。

──「天プラ天プラ」って連呼するっていう。

カタヤマ 「オマエだ空っぽ!」ですね。

荒金 それは「虫」っていうアルバムだったんですけど、ブックオフにもTHE STALINのCDがあったんですよ! 洋楽のところに入ってたけど。

──(笑)THE STALINにしてもINUにしても歌詞が際立ってますよね。ちょっと文学的というか。

カタヤマ そうですね。日本のパンクって怖いイメージだったんですよ、ハードコアとか。でもTHE STALINやINUはただ暴力的なだけじゃないんですよね。そこにはかなり影響受けてると思います。

2ndミニアルバム「Violence」 / 2010年10月6日発売 / 1575円(税込) / redrec / RCSP-0022

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CD収録曲
  1. 奇跡の果て
  2. からかわないで
  3. お気に入りのレコード
  4. 両手にノルマ
  5. 哀れな心臓
Droog(どるーぐ)

カタヤマヒロキ(Vo)、荒金祐太朗(G)、多田拓斗(B)、右田智弘(Dr)による4人組ロックバンド。メンバー全員大分県別府市出身。小学校6年生のときに原型となるバンドを結成し、2007年よりバンド名をDroogに変更。大分県内のライブハウスを中心に活動を始め、2010年2月にリリースした1stミニアルバム「Droog」は地元タワーレコード大分店で週間総合チャート1位を記録する。その夏「PUNKSPRING」「ROCKS TOKYO」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」「AOMORI ROCK FESTIVAL」「ロッケンロー★サミット」といった大型ロックフェスに次々と出演。2010年10月に2ndミニアルバム「Violence」をリリースした。