音楽ナタリー Power Push - DREAMS COME TRUE「私だけのドリカム」特集
中村正人(DREAMS COME TRUE)×水樹奈々
夢あふれるステージにかける思い
ドリカムの3Dフライトに心を撃ち抜かれて
──あとドリカムと水樹さんの共通点と言えば、ライブでの空中フライングですよね。特に2011年の「ドリカムワンダーランド」で吉田さんが見せた3Dフライトは圧巻でした。
水樹 めちゃくちゃすごかったですよね! 私は吉田さんがギュイーンって360°飛んでいるお姿を見て、「うわあ、やりたい!」って思っちゃったんです(笑)。
中村 すいません(笑)。
水樹 同じく、うちのプロデューサーもあの演出を見て心を撃ち抜かれてしまい、2014年に「LIVE FLIGHT」というテーマでツアーを行った際に飛ばせていただきました(笑)。
──でも空中を飛びながら歌うというのはかなり難しいものなんじゃないですか?
水樹 そうなんですよ。そのときに向井さん(ドリカムのステージ演出も手がける向井紀久夫氏)に初めて演出に入っていただいたんですけど、「吉田さんも相当トレーニングを積まれてやっていました」「かなり体幹が必要なんです」っておっしゃってて。それを聞いてライブの4カ月前からトレーニングを始めました。
中村 素晴らしい! 偉い!
水樹 でもあれは通常の2Dフライトと違って、リングがちょっと下のほうに付いているので、重心がどうしても上に来ちゃうんです。かなり力を入れて身体を支えていないと頭が下にグルンと回っちゃうので、普通に立っている状況を作るだけでも腹筋と背筋がとても必要で。身体を支えているだけでも大変なのに、そんな中で動きながら歌うっていう(笑)。しかも地面に足が付いてないと踏ん張れないから、高音を出すのが難しくなるんです。楽しかったですけど、すごい体験でした。
中村 あと難しいのはモニタとマイクの関係ですよね。マイキングがうまい人ほど、いつもの環境と違うのがやりにくいっていう。
水樹 ヘッドセットマイクになっちゃうので。ヘッドセットは声が拡散するので、ハンドマイクのときの1.5倍ぐらいの声量で歌わなければいけないんです。いろんな方向に飛ぶからハウリングも起こしやすいし。しかも空中を飛んでいるので風の抵抗もあって。
中村 寒くてのどが冷えちゃうんですよね。過酷だと思いますよ。
水樹 いろんな闘いがあるんです、実は(笑)。
──そんなに大変なのに、それでも飛びたいんですか?
水樹 飛びたいです(笑)。どうしてもやりたくなっちゃいます。
──そもそもドリカムが3Dフライトをやろうと思ったきっかけはなんだったんですか?
中村 もともとは、あるヨーロッパのアーティストがすごく小さな規模でやってたんです。それを向井が見つけてきてくれて。でも小さな会場ならいいんですけど、東京ドームでやるとなると、難しさがグッと増すんです。ワイヤーを張るためのアンカー(杭)が欲しい位置になくて、僕らが自前で打ったりして。
水樹 すごい!
中村 代々木第一体育館の天井にアンカー打ったのも僕らです。その後はみんなうちのアンカー使ってますから(笑)。でも水樹さんもそうだと思うけど、新しいことにチャレンジするっていうのがやっぱり大事なんですよね。
水樹 いつも無理を言って、スタッフの皆さんに頭フル回転で実現してもらっています(笑)。
中村 でもそれが結局日本のエンタテインメントのクオリティを上げていくんですよ。誰かが無理してやったことが次のアーティストに引き継がれていく。やっぱり我々のような立場の人間が、いろんな無理難題を引き受けていかなきゃって思いますよね。
続けていくことで大きな文化が残っていく
──それでは最後に、お二人がお互いに期待することをそれぞれ伺えればと思います。
左から中村正人、水樹奈々。
水樹 「えっ!? こんなこともできるんだ!!」っていう、ドリカムさんならではのステージをこれからも期待しています。発想がいつもすごくて、観るたびに刺激をいただいて感動していて。すごく遠い背中ですけど、私も追いかけていきます!!
中村 僕から水樹さんに伝えたいのは、最初の話に戻るんだけど、水樹奈々というエリアがこれからどれだけ広がっていくのか、それを見せてほしいっていうことですね。世界に通用するJ-POPカルチャーは、欧米の真似じゃなくて、“どこまでも日本であり続ける”ことで実現するものだと思う。それが水樹さんの仕事だと僕は思っているんです。
水樹 ありがとうございます。
中村 だからおばあちゃんになるまで水樹奈々でいてほしい。うちの吉田もおばあちゃんになるまで吉田美和でいると思うので。キャリアを続けていくことで、あとに続く人に大きな文化が残っていくんです。気負う必要はないんだけど、そういうことを誰かが楽しそうにやっていかないと、エンタテインメント業界全体が縮小してしまうと思うんですよね。
水樹 確かに、今はなかなか音楽を聴いてもらえない時代になってきているので……。私は好きな音楽は絶対CDで欲しいって思うタイプなんですけど、今は形ではなく動画サイトを観て満足する方も多いと伺いますし。だからそういう方々にも、CDを欲しいと思ってもらえる音楽を作らなきゃなって。
中村 今はCDショップに行ってもドリカムのコーナーなんてすごく小さいしね。
水樹 そんなわけないじゃないですか!(笑)
中村 いや、ほんとなの。CDってもの自体が厳しくなってるからね。ベストアルバムを買ってもらえるのもあと1年くらいかもしれない。でも我々は少しでも売れる限り、死ぬまでベストアルバムを出し続けますけどね(笑)。
──でも、もう表ベストも裏ベストも出してしまいましたけど。
中村 一応、俺の中では次のベストアルバムのタイトルは考えてあるんですよ。去年が「私のドリカム」で、今年が「私だけのドリカム」。だから次は「私の知らないドリカム」にしようと思ってて。
水樹 えっ! どんな曲が入るんですか?
中村 誰も知らない曲。それが果たしてベストアルバムなのかっていう問題はあるんですけど(笑)。
水樹 あははは(笑)。
中村 お互いがんばって続けていきましょうね。
水樹 はい! 今日はどうもありがとうございました。
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- DREAMS COME TRUE ライブDVD / Blu-ray「史上最強の移動遊園地 DREAMSCOME TRUE WONDERLAND 2015 ワンダーランド王国と3つの団」2016年7月7日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- Blu-ray [Blu-ray Disc 2枚組+フォトブック] 7884円 / UMXK-1040~1
- DVD [DVD2枚組+フォトブック] 6804円 / UMBK-1240~1
MBS Presents 私だけのドリカム THE LIVE in 万博公園
2016年7月10日(日)
大阪府 万博記念公園 東の広場
OPEN 11:00 / START 13:00 / END 19:00(予定)
- 出演者
- DREAMS COME TRUE / 華原朋美 / Little Glee Monster / 水樹奈々 / NICO Touches the Walls / WINNER
スペシャルメドレー:K / 近藤夏子 / MACO / Ms.OOJA
総合司会:河田直也(MBSアナウンサー)
ちちんぷいぷいドリカムファン代表スペシャルサポーター:廣田遥 / くっすん
うれしたのし大好き 2016 ~真夏のドリカムフェス~
2016年7月16日(土)
東京都 明治神宮外苑野外特設ステージ
OPEN 13:00 / START 14:30 / END 20:00(予定)
- 出演者
- DREAMS COME TRUE / 陣内孝則 / [Alexandros] / Suchmos / でんぱ組.inc / レキシ / 渡辺直美 / and more
DREAMS COME TRUE(ドリームズカムトゥルー)
吉田美和(Vo)と中村正人(B, Arrangement, Programming)による2人組バンド。1989年にメジャーデビューし、1992年発売の5thアルバム「The Swinging Star」は当時の日本記録となる300万枚以上のセールスを記録する。その後もシングル、アルバムともにミリオンヒットを連発し、ソウル / R&Bを基軸にしたサウンドが老若男女問わず幅広い層から支持されている。2014年にはデビュー25周年を迎え、同年8月に通算17枚目のオリジナルアルバム「ATTACK25」をリリース。なお1991年より4年に1度のペースで「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」と題したイベントを実施しており、2015年11月より7回目となるドリカムワンダーランドを開催。また同年7月7日には“ファンが聴きたい曲”全50曲を収録したコンプリートベストアルバム「DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム」をリリースした。2016年7月7日に“裏ベスト”「DREAMS COME TRUE THE ウラBEST! 私だけのドリカム」を発表したあと、10日には大阪・万博記念公園 東の広場にてライブイベント「MBS Presents 私だけのドリカム THE LIVE in 万博公園」を開催する。
水樹奈々(ミズキナナ)
愛媛県出身の声優アーティスト。1997年に声優としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「ハートキャッチプリキュア!」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2000年にはシングル「想い」で歌手デビュー。2009年6月にリリースされたアルバム「ULTIMATE DIAMOND」で、声優アーティストとして初のオリコン週間ランキング1位を獲得した。同年12月には「NHK紅白歌合戦」に初出場。2011年12月には声優アーティスト初の東京ドームコンサートを2日間にわたって開催し、大成功に収める。また2013年には台湾にて初の海外公演を行うなど、活動の場をさらに広げた。2014年にはライブの功績が評価され、平成25年度(第64回)芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2016年4月に再び東京ドームで単独コンサートを2日間にわたって開催した。7月には34枚目のシングル「STARTING NOW!」を発表。9月には兵庫・阪神甲子園球場での単独公演「NANA MIZUKI LIVE PARK 2016」を控えている。
衣装協力(中村正人)
MACKINTOSH PHILOSOPHY / Fobs classic
2016年7月14日更新