音楽ナタリー PowerPush - 私とドリカム2-ドリカムワンダーランド2015 開催記念 BEST COVERS-
中村正人(DREAMS COME TRUE)×大森靖子
ポップス職人の見る景色
イントロは重要じゃなくなってきてる
大森 中村さんは曲を作るときに気を付けてることとかありますか?
中村 俺たちの時代はラジオで流れる曲=ヒット曲だったんですよ。だからイントロを徹底的に研究したの。イントロがすべて。
大森 なるほど。
中村 イントロでつかまないとサビまで聴いてもらえないからね。でも今は45秒ミュージックじゃない?
大森 そうですね。
中村 だからAメロBメロCメロすべてがウケないとダメ。イントロはそれほど重要じゃなくなってきてる。
大森 ドリカムの曲でも?
中村 うん、昔ほどイントロ重視ではないし、だから逆に自由になってますね。昔はイントロを8小節以内に収めようとか、あえて3小節で切ってガツンとAメロ入れちゃおうとか、そういうの狙ってたけど今は逆にゆるくなったんで、音楽家として好き勝手やってるというか。
大森 へー、面白い。確かにアウトロが7分ぐらいあってもバレないですもんね。
中村 アウトロなんて誰も気にしてない(笑)。僕はいつもそうなんですけど、本編終わったとこから「はい、ここからは俺の時間だよ」って。「未来予想図II」もそうだし「LOVE LOVE LOVE」もそう。本編よりアウトロのほうが力入ってるくらいだからね(笑)。
ヒットするのが前提
大森 制作のスピードは時代にあわせて変わりましたか? 消費のスピードは圧倒的に速くなってますよね。
中村 うん、やっぱり制作のスピードも速くなってますよね。まあドリカムは99%依頼がきっかけで作り始めるんで、自分がこれをやりたいっていうのはほとんどないんですよね。吉田にはいっぱいあるみたいなんですけど。
大森 はい。
中村 ただやっぱりドリカムですからね。やりたいものを作るといっても、ポップスという制限があるんで、そこはなかなか難しい。
大森 そこを掘りたくはならないんですか?
中村 そこ掘るのは俺の仕事じゃないよね。そっちはやる気出ない。
大森 あははは(笑)。
中村 ヒットしない曲を作るのは面倒くさいんですよ(笑)。
大森 ヒットを前提にやるのが好き?
中村 そうそう。やっぱりウケるのが前提。誰も聴かないのに難しいことやってたって面白くないじゃない。いや、もちろん死んだあとに評価されるっていう、ゴッホみたいな人がいてもいいと思うけどさ。俺はイヤだね。生きてる間にお金を稼いで、音楽を作る人たちの手助けがしたい。
大森 偉いなあ(笑)。
中村 偉くないよ。先輩たちにもらったものを次に渡していかなきゃって気持ちだけ。昔はヒット曲で稼いだお金が、まったく売れないレコード、例えば民族音楽なんかをリリースする原資になってたんです。でも今はもう誰もやってくれない。だから我々がお金を稼いでそういう環境を作らないと。なかなか難しいですけどね。
- V.A.「私とドリカム2-ドリカムワンダーランド2015 開催記念 BEST COVERS-」2015年4月1日発売 / 3146円 / EPICレコードジャパン / ESCL-4394
- 「私とドリカム2-ドリカムワンダーランド2015 開催記念 BEST COVERS-」
収録曲
- 何度でも / May J.
- うれしはずかし朝帰り / 西内まりや
- 未来予想図 II / 三浦大知
- 晴れたらいいね / LiSA
- The signs of LOVE / JUNHO(From 2PM)
- 眼鏡越しの空 / 片平里菜
- うれしい!たのしい!大好き! / クリス・ハート
- 決戦は金曜日 / NICO Touches the Walls
- サンキュ. / 大森靖子
- 朝がまた来る / Little Glee Monster
- やさしいキスをして / 川畑要
- 雪のクリスマス / JUJU
- a little waltz / MONGOL800
- LOVE LOVE LOVE / 徳永英明
DREAMS COME TRUE(ドリームズカムトゥルー)
吉田美和(Vo)と中村正人(B, Arrangement, Programming)による2人組バンド。1989年にメジャーデビューし、1992年発売の5thアルバム「The Swinging Star」は当時の日本記録となる300万枚以上のセールスを記録する。その後もシングル、アルバムともにミリオンヒットを連発し、ソウル / R&Bを基軸にしたサウンドが老若男女問わず幅広い層から支持されている。2014年にはデビュー25周年を迎え、同年8月に通算17枚目のオリジナルアルバム「ATTACK25」をリリース。なお1991年より4年に1回のペースで「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」と題したイベントを実施しており、今冬7回目となるドリカムワンダーランドを開催。7月7日には“ファンが聴きたい曲”全50曲を収録したコンプリートベストアルバム「DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム」をリリースする。
大森靖子(オオモリセイコ)
愛媛生まれのシンガーソングライター。弾き語りスタイルでの激情的な歌が耳の早い音楽ファンの間で話題を集め、2013年3月に1stフルアルバム「魔法が使えないなら死にたい」発表後、5月に東京・渋谷CLUB QUATTROでワンマンライブを実施。レーベルや事務所に所属しないままチケットをソールドアウトさせ大成功に収める。その後同年12月に2ndフルアルバム「絶対少女」をリリース。このツアーでもファイナルの東京・LIQUIDROOM公演のチケットは売り切れ。2014年9月にエイベックスからメジャーデビューし、12月にメジャー1stアルバム「洗脳」をリリース。現在、「♥爆裂!ナナちゃんとイくラブラブ洗脳ツアー♥」と題した全国ツアーを実施しており、追加公演の広島・広島CLUB QUATTRO、沖縄・沖縄Output以外の公演はすべてソールドアウトしている。