音楽ナタリー PowerPush - DREAMS COME TRUE
祝・デビュー25周年「ATTACK25」特集
中村正人×ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)対談
ストーンズには詳しくない
──お2人の共通項として、黒人音楽の存在はすごく大きいと思うんですが、そのあたりいかがですか?
中村 ハマくんはやっぱり黒いベース弾くよね。最近黒いベース弾く人って少ないんですよ。
ハマ ありがとうございます。でも研究してるというよりは、好きで聴いてるだけなんですけどね。最近僕、アレサ・フランクリンのバックがみんな白人だったっていうのを今さら知ってビックリしたくらいで。
中村 エド・グリーンとかね。あ、それじゃ70年代のウィル・リーはぜひ聴いてください。特にThe Brecker Brothersもののウィル・リーは最高なんで。
ハマ 絶対聴きます。
中村 あとアート・ファーマーの、全然有名じゃないんだけど「Crawl Space」っていうアルバム。ウィル・リーとスティーヴ・ガッドとアート・ファーマーがやってるんだけど、三つ巴で。もう本っ当にヤバい。黒人じゃない人が弾くソウルベースのお手本が1小節ごとに出てくるの。いわゆるロック的なフィルじゃないんだよ。ほら、亀田(誠治)くんとかはロック的なフィルを弾くでしょ?
ハマ そうですね。
中村 そっちじゃないほうのベースの教科書だと思う。ハマくんはウィリー・ウィークスとか、ジェームス・ジェマーソンっぽいテイストがあるんだよね。
ハマ OKAMOTO'Sは僕以外の3人がいわゆる白人のロックにすごく詳しいので、僕まで一緒になっちゃうとたぶんバンドが面白くなくなるっていう意識もあって。僕はあとから加入したんですよ、バンドに。だから実はThe Rolling Stonesはそんなに詳しくなくて。
中村 わかる。僕もストーンズはまったく通ってないんですよ。この前東京ドームで観て、やっと感動した。
ハマ 僕も行きました。でも逆に僕は全然感動しなくて。
中村 あははは(笑)。
ハマ ストーンズのファンにしてみたら「そういうことじゃねえんだよ」って言われるのもよくわかるんですけど。やっぱりブラックミュージックは楽器を演奏する人は特に楽しめるのかなっていう感じはしますね。特にドラムとベースをやる人にとっては、面白さが簡単に見いだせるし、かといって簡単に会得できるものではないので。
中村 だからかな、ハマくんはフレーズ作るのもすごく上手だよね。5フレットあたりをうまくうろうろするっていうか。
ハマ はい(笑)。
中村 もともとソウルミュージックのベースって低い音じゃないんですよ。だからEを弾くときも開放弦のEなんてめったに使ってなくて、ポンポンポンポンいってる。なぜかというと、当時のラジオが低音を再生しなかったからなんですよね。だけどそこからグルーヴが生まれる。
ハマ なるほど。
中村 あとドラムも16では絶対叩かない時代だったんで。4か8の間をベースがストンストンと埋めていくっていう。ハマくんはその基本形のフレーズ作りが素晴らしくうまいんだよね。
ハマ めちゃくちゃうれしいです(笑)。
貪欲なバンドが成功する
──最後に、今の日本の音楽シーンについて、お2人が感じていることがあれば聞かせてください。
ハマ そうですね。僕らが楽器始めた頃ってギリギリMDなどもある時代で、YouTubeもまだこんなに広まる前だったんですけど、今はもうYouTubeでアルバム1枚聴けたりするじゃないですか。何かあるたびに「CDが売れない」って言われるし。確かに、数字で見るとえげつないなと僕も思いますけど。
中村 あのさ、今のバンドマンって大金持ちになるチャンスがすごく少ないと思うのね。ミリオンヒットがこんだけ生まれにくい状況で、みんなどういう気持ちでやってるんだろうと思って。僕の世代は、やっぱり女にモテたくてお金持ちになりたくて、いいクルマに乗りたかったからミュージシャンになったわけ。でも若い人に聞くと、そういう動機はあんまりなくて、ライブやるのもまあZeppクラスでいいや、あと物販で売り上げ出ればOKですとか言うでしょ。大人はそれ聞くと心折れるんだよね。
ハマ あー、確かにおっしゃることはわかります。でも僕らはたぶん全然違うと思う。
中村 あはは(笑)。そういう話が聞きたい。
ハマ だってもう好きなだけ楽器買いたいですし。
中村 でしょ? そうだよね。
ハマ レコード欲しいし。
中村 そうだよね。
ハマ スタジオ建てられたらそれが一番楽しいし。
中村 うんうん、ああ、よかった。そういう人がいて(笑)。
ハマ でもホントそう思いますよ。知名度も上げたいし、ライブのキャパシティも大きくしたい。細かい話ですけど、今考えてる面白いことがたくさんあるのに、たいてい予算的に無理って言われてしまう。その悔しさってもう知名度を上げることでしか克服できないと思ってるので。で、最終的にはもちろん音楽を聴いてほしい。だから全然貪欲です、僕らは。
中村 素晴らしい! やっぱり今ブレイクするバンドって、みんな実はすごく貪欲だから。セカオワ(SEKAI NO OWARI)もそうだし、ワンオク(ONE OK ROCK)とかウーバー(UVERworld)とかも、それぞれ世界は違うけどそう。「俺たちがやってることが最高」っていうとてつもない自信があるんだよね。
ハマ そういう貪欲さや、ステージ衣装を着てカッコつける姿勢が本当に減ってきてますよね。別に世代も歳も関係ないんですけど、やっぱ僕らは部屋着でステージ立ってますみたいなバンドを観ると「えっ」と思うから。そういう頑固者の集まりなんです。
中村 最高! OKAMOTO'Sはもうそのままでいてほしい。
ハマ あはは(笑)。がんばります!
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- 中村正人×百田夏菜子(ももいろクローバーZ)対談
- 中村正人×ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)対談
- 中村正人×亀田誠治対談
- 著名人アンケート「私の好きなドリカム」
- 中村正人インタビュー
- ニューアルバム「ATTACK25」 2014年8月20日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 4104円 / UMCK-9725
- 通常盤 [CD] / 3240円 / UMCK-1525
CD収録曲
- THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC
- ONE LAST DANCE, STILL IN A TRANCE
- あなたにサラダ以外も
- I WAS BORN READY!!
- MONKEY GIRL - 懺鉄拳 - (懺鉄拳の懺は懺悔の懺)
- 軌跡と奇跡
- FALL FALLS
- MORE LIKE LAUGHABLE
- さぁ鐘を鳴らせ
- 愛して笑ってうれしくて涙して
- 想像を超える明日へ - Album Version -
- MADE OF GOLD ―featuring DABADA―
- この街で
- MY TIME TO SHINE
- 愛がたどりつく場所
- AGAIN - Album Version -
初回限定盤DVD収録内容
撮り下ろし&レア映像満載の豪華85分。25周年を記念したスーパーでスペシャルな架空テレビ番組「THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC」。なんと!あの日本テレビ系列の人気音楽番組「LIVE MONSTER」の制作チームが全面協力!アタックマン、チャンスウーマンの2人が登場し、さまざまなレアコンテンツを紹介!
DREAMS COME TRUE(ドリームズカムトゥルー)
吉田美和(Vo)と中村正人(B, Arrangement , Programming)による2人組バンド。1989年にメジャーデビューし、1992年発売の5thアルバム「The Swinging Star」は当時の日本記録となる300万枚以上のセールスを記録する。その後もシングル、アルバムともにミリオンヒットを連発し、ソウル / R&Bを基軸にしたサウンドが老若男女問わず幅広い層から支持されている。2014年にはデビュー25周年を迎え、同年8月13日に通算17枚目のオリジナルアルバム「ATTACK25」をリリース。8月23日からは全国13都市32公演におよぶ全国アリーナツアーをスタートさせる。なお1991年より4年に1回のペースで「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」と題したイベントを実施しており、エンタテインメント性を追求した内容で多くのファンを魅了し続けている。
ハマ・オカモト
1991年生まれ、東京都出身。ロックバンドOKAMOTO’Sのベーシスト。2013年、日本人ベーシストとして初の米国フェンダー社とエンドースメント契約を締結する。高校在学中よりズットズレテルズのメンバーとして活躍し、2009年よりOKAMOTO'Sに加入。これまでシングル5作品、アルバム6作品を発表。米国・豪州ツアーやベトナム、香港、韓国、台湾などのアジア公演も積極的に行っている。2014年はCDデビュー5周年を掲げ8月27日にRIP SLYME、奥田民生らを迎えてコラボレーションアルバム「VXV」をリリースし、秋にはアニバーサリーライブツアーを行う。ファイナル公演は10月25日に日比谷野外大音楽堂で行う予定。
2014年8月19日更新