音楽ナタリー PowerPush - DREAMS COME TRUE
祝・デビュー25周年「ATTACK25」特集
中村正人×百田夏菜子(ももいろクローバーZ)対談
最初の挫折はデビューのとき
百田 そういえば美和さんはライブのときにCDと全然違う歌い方をするのがカッコいいですよね。フェイク入れたりとかすごいなって思うんですけど。
中村 でもあれ、吉田も昔はできなかったんだよ。そもそも俺たちがデビュー前にデモテープ作ってたときは、アドリブを入れちゃいけないって言われてたんだから。
百田 えー?
中村 どんなレコード会社に持っていっても「そんな洋楽みたいなアドリブ入れた曲が売れるわけがない」って言われたの。それで結局誰も手を挙げなかった、2年間も。「未来予想図II」とかもね、こんなニューミュージックみたいな曲誰も聴かないって言われて(笑)。
百田 えー! そこで手を挙げなかった人どんだけ後悔してるんだろう。
──何がきっかけでその状況が変わったんですか?
中村 バンドの形にしてからですね。2人でやっててダメだったから、吉田の先輩だった西川(隆宏)を入れて。当時のロンドンにはSwing Out SisterとかCulture Clubとか、アメリカ風のソウルミュージックをやってる人がいっぱいいたから、俺たちもそういう形がいいなってことで3人のバンドにして、同じデモテープを配り続けてたらレコード会社が見つかったんです。
百田 あきらめなかったおかげですね。
中村 そう、でも最初のアルバムには俺の曲1曲しか入ってないんだよ。
百田 えっ?
中村 当時は吉田が曲を書いてて、ディレクターにお前の曲には期待してないって言われてた。だから最初の挫折がデビューのときだったの。そのときは悔しくて悔しくて。
百田 わあ……。
中村 でもデビューして吉田が1人でプロモーションしたりしてるうちに、疲れて曲が書けなくなっちゃった。で、タイアップの話が来たときに「じゃあ俺書きます」って手を挙げて。ダチョウ倶楽部と違って誰も「どうぞどうぞ」って言ってくれないから、自分から「やります!」って言ってね(笑)。
百田 あははは(笑)。
中村 そのときはもう何度も何度もダメ出しされて直しまくって。でもその曲がヒットしたんだよね。「笑顔の行方」っていう曲なんだけど。それから変わった。
百田 正人さんでもそんなダメ出しされるんだ……。
中村 でもうれしかったですよ。ドラマの主題歌を書かせてもらえるなんて、10代のときから憧れていた夢のまた夢だったから。書き直すことだって当たり前だと思ってたし。だからいまだにタイアップ来るとうれしいんだよね。
緊張からの飛んだり踊ったり
百田 ところで正人さんは歌番組の司会をしてますけど、美和さんはあんまりテレビ出ないですよね。
中村 出てほしいんですけどね、我々としては。でもあの人は人前に出るのがすごい苦手なんですよ。特にテレビは緊張しちゃうみたいで。
百田 ライブのときはあんなに堂々としてるのに。
中村 ライブの本番前も始まるまでは今にも逃げ出しそうですよ、いつも。震えちゃって。涙をいっぱいためて。
百田 ほんとですか? それであのすごいライブを……。
中村 プロとしてのプレッシャーも大きいと思うし、やっぱりミュージシャンになるような人は、たいてい何か不得意なところがあるものなんで。例えばしゃべることが苦手だったり人付き合いがヘタだったり。たぶん吉田もその部類の人間だと思うんですよ。
百田 でも全然そんなふうに見えない。すごい存在感で登場して、いきなりアカペラで歌いだしたりしてますよね。
中村 だからずるいなと思うんですよね(笑)。さっきまで君もう壊れそうだったじゃんっていう人がドーンって出てきて、飛んだり踊ったりするんですから。
続けていくということ
──中村さんはライブで緊張することはないんですか?
中村 ステージでは冷静ですね。バンドのメンバーが演奏間違えたところとか全部覚えてますもん。
百田 えっ、ライブ中に?
中村 頭の中でPro Toolsの画面が流れてるんですよ。で、「ライブDVDにするときにここ修正しなきゃ」とかって考えてるの。
百田 うわあ、私たちとはもう次元が違う……。
中村 いやいや、あなたたちは前に立ってる人で、俺は後ろにいる人だから。
百田 でも同じステージの上じゃないですか。
中村 それでも全然違うんですよ。あなたたちがいるバミリ(立ち位置を示す印)のとこに立つと俺なんかもう怖くて震えちゃう、重圧で。だからももクロはほんとにすごいですよ。
百田 いやもう……そんな。
中村 だからね、あなたはできる人なんだから、もっとプライドと自信を持たないと。マネージャーにもガツンと言ってやんなさい(笑)。
百田 あはは(笑)。そうですね。
中村 続けていくんだよね?
百田 はい。
中村 続けると、いいこといっぱいあるよ。
百田 本当ですか?
中村 うん、続けた人にしかわからない素晴らしいことがある。ももクロのあとに道を作っていかないと。
百田 そうですね。私たちのやってることに前例みたいなのがないし、もし例があってもそこに沿っていくのはあんまり得意じゃないので。
中村 うん(笑)。すごくいいと思いますよ。このまま続けていってください。
百田 はい、がんばります!
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- 中村正人×百田夏菜子(ももいろクローバーZ)対談
- 中村正人×ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)対談
- 中村正人×亀田誠治対談
- 著名人アンケート「私の好きなドリカム」
- 中村正人インタビュー
- ニューアルバム「ATTACK25」 2014年8月20日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 4104円 / UMCK-9725
- 通常盤 [CD] / 3240円 / UMCK-1525
CD収録曲
- THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC
- ONE LAST DANCE, STILL IN A TRANCE
- あなたにサラダ以外も
- I WAS BORN READY!!
- MONKEY GIRL - 懺鉄拳 - (懺鉄拳の懺は懺悔の懺)
- 軌跡と奇跡
- FALL FALLS
- MORE LIKE LAUGHABLE
- さぁ鐘を鳴らせ
- 愛して笑ってうれしくて涙して
- 想像を超える明日へ - Album Version -
- MADE OF GOLD ―featuring DABADA―
- この街で
- MY TIME TO SHINE
- 愛がたどりつく場所
- AGAIN - Album Version -
初回限定盤DVD収録内容
撮り下ろし&レア映像満載の豪華85分。25周年を記念したスーパーでスペシャルな架空テレビ番組「THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC」。なんと!あの日本テレビ系列の人気音楽番組「LIVE MONSTER」の制作チームが全面協力!アタックマン、チャンスウーマンの2人が登場し、さまざまなレアコンテンツを紹介!
DREAMS COME TRUE(ドリームズカムトゥルー)
吉田美和(Vo)と中村正人(B, Arrangement , Programming)による2人組バンド。1989年にメジャーデビューし、1992年発売の5thアルバム「The Swinging Star」は当時の日本記録となる300万枚以上のセールスを記録する。その後もシングル、アルバムともにミリオンヒットを連発し、ソウル / R&Bを基軸にしたサウンドが老若男女問わず幅広い層から支持されている。2014年にはデビュー25周年を迎え、同年8月20日に通算17枚目のオリジナルアルバム「ATTACK25」をリリース。8月23日からは全国13都市32公演におよぶ全国アリーナツアーをスタートさせる。なお1991年より4年に1回のペースで「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」と題したイベントを実施しており、エンタテインメント性を追求した内容で多くのファンを魅了し続けている。
百田夏菜子(モモタカナコ)
1994年生まれ、静岡県出身。5人組アイドル「ももいろクローバーZ」のリーダーとして活躍している。2008年にグループを結成。2012年12月に「NHK紅白歌合戦」初出場を果たし、2014年3月には女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。代表曲「行くぜっ!怪盗少女」での振り付け「エビぞりジャンプ」は、その派手なアクションからアイドルファン以外にも広く浸透している。キャッチフレーズは出身地の静岡にちなみ「茶畑のシンデレラ」。
2014年8月19日更新