音楽ナタリー PowerPush - DREAMS COME TRUE
祝・デビュー25周年「ATTACK25」特集
中村正人インタビュー
後半8曲が“究極のドリカム”
──アルバムは前半に新曲8曲、後半にタイアップ曲8曲という曲順ですが、こんなにはっきり分けるのは普通じゃないですよね。
普通じゃないと思います(笑)。
──本来はいろんな曲をうまく混ぜて1枚のアルバムとしてパッケージしたほうが、商品としては売れるわけですよね。
そうですね。1曲目に一番有名な曲を入れてね。
──それをやらなかったからこそ、ドリカムにとって今までにない、新しい作品ができた?
そう、作品になりました。
──タイアップ曲について、亀田誠治さんとの対談で中村さんは「クライアントのリクエストに150%応えた上で“ドリカムの曲”を作る」と話していましたが、そうしたリクエストが邪魔になることはないんですか?
ないですね。僕は後半の8曲が、“究極のドリカム”だと思ってます。
──なるほど。
タイアップとかコラボレーションをいっぱいやりたいんですよ。僕はその課題をクリアするのが楽しくてしょうがない。歌謡曲の時代って、素晴らしいタイアップ曲だらけだったんですよね。「色・ホワイトブレンド」(中山美穂)にしても、「い・け・な・いルージュマジック」(忌野清志郎+坂本龍一)にしても、化粧品のCMソングですからね。僕はそれを見習ってるだけなんです。
吉田美和の作詞法
──中村さんがクライアントのリクエストに応えるのが楽しいというのはわかるんですが、吉田さんはどうですか? クライアントの要望通りの歌詞を書くというのは難しい作業なのでは?
吉田はクライアントのリクエスト通りにはなかなかできないけど、必ずそれ以上のものを提案してくるんですよね。リクエストを150%満たした上で、自分が伝えたい歌を歌う。
──そこが不思議なんです。吉田さんは自分の作詞法について「言葉が降りてくるのを待つ」とおっしゃってますが、タイアップ曲の歌詞でもそれは当てはまるものなんですか?
降りてくるんだと思いますよ、タイアップの条件をすべてインクルードした歌詞が。例えばドーナツのコマーシャルソングだとしても、単に「ドーナツ」っていう言葉を入れるんじゃなく、彼女はそこに「オールドファッション」とか「まるい輪っかをふたりで分けよう」なんて歌詞を持ってくる。無理やりひねり出して作れるものじゃない。やっぱり音楽の神様がいて、彼女にそれを渡してくれるんだと思います。
──資料を見ながら「どの言葉が使えるかな」みたいな話じゃないんですね。いったん自分の中を通った言葉が歌詞になる。
そう。いろんな要素が吉田の頭の中で消化されて出てくるというか。いっぺんトランス状態になって、そのとき彼女はテレビゲームやってたりするんですけど(笑)。そうやってるうちにツルツルっと出てくるんです。
楽曲自体が愛されたバンド
──今回の作品には「MONKEY GIRL - 懺鉄拳 - (懺鉄拳の懺は懺悔の懺)」や「あなたにサラダ以外も」のように、初期からのモチーフを盛り込んだ曲も入っていますね。
それは25周年というマジックが働いたんだと思います。「あなたにサラダ」なんて最初のバージョンは吉田が高校生のときに作った曲ですからね。その主人公がこうやって40代後半になったときにどんな人になってるのかっていうのは、25周年だからこそみんなに伝えたかったことだと思うんですよ。
──ファンを大切にする姿勢の表れですね。中村さんは曲を作るときに、ファンのことはどれくらい意識していますか?
うーん、ドリカムってコアなファンの方ももちろんいらっしゃるんですけど、ファンだって言ってくださる方の大半は、曲名も知らなければ僕が誰かもわからないんですよ。
──そんなことはないでしょう!
いや、本当なんですよ。「ダチョウ倶楽部に似てる人がいるバンド」っていうくらいの認識で、そういうファンが8割なんです。「いつも聴いてます!」って言ってくださる人も、曲名はうろ覚えだったり。だからドリカムは楽曲自体が愛された幸せなバンドなんですよ。我々の存在自体は漠然としてるんです。
──逆にそっちのほうがすごい気がしますね。
すごくうれしいことですよ。だから、そういう意味ではファンのことを考えて音楽を作るというよりも、僕は全人類にウケたい、聴いてもらいたいと思ってる。で、吉田は、ウケたらすごくうれしいけれど、やっぱ自分が伝えたいことを歌ってますね。
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- CONTENTS TOP
- 中村正人×百田夏菜子(ももいろクローバーZ)対談
- 中村正人×ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)対談
- 中村正人×亀田誠治対談
- 著名人アンケート「私の好きなドリカム」
- 中村正人インタビュー
- ニューアルバム「ATTACK25」 2014年8月20日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 4104円 / UMCK-9725
- 通常盤 [CD] / 3240円 / UMCK-1525
CD収録曲
- THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC
- ONE LAST DANCE, STILL IN A TRANCE
- あなたにサラダ以外も
- I WAS BORN READY!!
- MONKEY GIRL - 懺鉄拳 - (懺鉄拳の懺は懺悔の懺)
- 軌跡と奇跡
- FALL FALLS
- MORE LIKE LAUGHABLE
- さぁ鐘を鳴らせ
- 愛して笑ってうれしくて涙して
- 想像を超える明日へ - Album Version -
- MADE OF GOLD ―featuring DABADA―
- この街で
- MY TIME TO SHINE
- 愛がたどりつく場所
- AGAIN - Album Version -
初回限定盤DVD収録内容
撮り下ろし&レア映像満載の豪華85分。25周年を記念したスーパーでスペシャルな架空テレビ番組「THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC」。なんと!あの日本テレビ系列の人気音楽番組「LIVE MONSTER」の制作チームが全面協力!アタックマン、チャンスウーマンの2人が登場し、さまざまなレアコンテンツを紹介!
DREAMS COME TRUE(ドリームズカムトゥルー)
吉田美和(Vo)と中村正人(B, Arrangement , Programming)による2人組バンド。1989年にメジャーデビューし、1992年発売の5thアルバム「The Swinging Star」は当時の日本記録となる300万枚以上のセールスを記録する。その後もシングル、アルバムともにミリオンヒットを連発し、ソウル / R&Bを基軸にしたサウンドが老若男女問わず幅広い層から支持されている。2014年にはデビュー25周年を迎え、同年8月20日に通算17枚目のオリジナルアルバム「ATTACK25」をリリース。8月23日からは全国13都市32公演におよぶ全国アリーナツアーをスタートさせる。なお1991年より4年に1回のペースで「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」と題したイベントを実施しており、エンタテインメント性を追求した内容で多くのファンを魅了し続けている。
2014年8月19日更新