ナタリー PowerPush - DOLL$BOXX
実力派ガールズバンドが誕生するまで
「GIVE ME FIVE!」でAKB48に演奏指導
──F チョッパーKOGAさん、はなさん、TOMO-ZOさんはそれぞれプレイヤーとして教則ビデオを発表していますよね。テクニック面で注目されることも多いと思いますが、皆さんもそういった教則ビデオを観て練習してきたんですか?
はな 私は独学で、対バンしたバンドの中で自分が魅力を感じた技術を盗むみたいな感じでずっとやってきてるんです。教則ビデオは「へーっ、こういうのもあるんだ」ってたまにちょっと観る程度。KOGAさんもあると思うけど難しいんだよね、教則DVDって。
F チョッパーKOGA そうなんですよ。私、最初に誰かから借りて教則ビデオを観たんですけど、最初の5分で挫折して。なかなか次に進めないんだよね、難しすぎて。
はな だから自分たちが作るときはまずそこを改善したいなと思って、自分たちなりの解釈でわかりやすく噛み砕いて教えてあげられるようにしてます。
TOMO-ZO 専門用語とかもあまり使わないようにして。
F チョッパーKOGA 専門用語を言われても、初心者はその単語の意味がわからないんで。
──そもそも人に何かを教えるのって得意なほうですか?
F チョッパーKOGA はなはうまいよね。私のベースの先生は、はななんで。
──えっ、どういうことですか?
はな 私はどうやったらよりカッコよく見えて、しかも将来的に上達できるかを常に研究しながら楽器を練習してるんですね。ドラム以外にもギター、ベース、キーボードとかひととおり弾くことができるんです。その道のプロではないので難しいテクニック的なことは無理ですけど、簡単に練習できる方法をみんなに提供してる感じです。
F チョッパーKOGA ギターとかベースとかでも難しい奏法だってあるじゃないですか。そこでつまずくと、はなが「ちょっと待って。こうやって弾いたら簡単だよ」って教えてくれるんですよ。
はな 運指を変えてあげたりとかね。なので教則ビデオを出すときも、より短時間ですぐ上達できるような方法を教えるんです。
──そうなんですね。ちなみにはなさんのレクチャーの中で、特に印象に残ってることって何かありますか?
F チョッパーKOGA 一番印象に残ってるのは、ガチャピンがAKB48の「GIVE ME FIVE!」っていう曲でAKB48の皆さんに演奏指導をしたときですね。はなが松井珠理奈ちゃんにドラムを教えてたときに、珠理奈ちゃんがすごく楽しそうに練習していて、自分からはなに「これってどうやってやったらカッコよく見えますか?」って質問してたんです。そういう信頼関係をものの5分とかで作れるはなって、やっぱりすごいなって思います。
──その時点ではAKB48のほとんどのメンバーが楽器経験ゼロだったと聞いてますし。
はな そうですね。
F チョッパーKOGA やっぱり楽器を練習するのって楽しいと思ってもらうのが一番大事だと思いますし。そうすればもっと練習したい、勉強したいと思うようになるんじゃないかな。
DOLL$BOXXってメンバーみんなが成長できる場所
──はなさんはボーカルも担当してますけど、歌も研究してるんですか?
はな 歌も研究してます。実は私、呼吸するのが結構苦手で。
一同 ええっ!?
──それ、人間が生きる上での基本的な動作じゃないですか(笑)。
はな 生きる上での呼吸が下手なんですよ。結構息を止めちゃう癖があって、ボイトレも何度か通ったことがあるんですけど、まず「息を吸ってください」と言われて息を吸うことができなくて。「これは多分習ってもダメだ」と思って辞めて、そこからはよりスムーズに息を吸って吐く方法を生活してる中で見つけてる感じです。
──呼吸法以外で(笑)、何か自分ならではの歌唱法ってありますか?
はな 怒ってワーって叫んだときに、「あれ、今の声響きが良くてロングトーンが出た」みたいな。怒ってるんですけど、「今の声いいな」って気付かされました。
F チョッパーKOGA そこで現実に戻れるのがすごいよね(笑)。
はな 日常の些細なことから「こうすると声が出やすいんだな」っていうことを見つけて、日々成長するみたいな。
F チョッパーKOGA 今回のアルバムにもはなのデスボイスが入ってるんですけど、そのデスボイスもGacharic Spinのツアー中に習得したものらしくて。
Fuki あれも独学なんでしょ?
はな そう。対バンですごいデスボイスを使ってるバンドがいて、面白そうだなと思って最初はTOMO-ZOと一緒に真似して。なかなかうまくできなかったんですけど、あるタイミングに急にコツをつかんで声を響かせる位置を変えたりしてマスターしました。
──響かせる位置を変えるだけで出るものなんですか?
はな そうなんですよ。位置を下げると、喉に負担がかからずに歪ませることができたんです。
Fuki 私はデスボイスとか全然できないから、出せるだけすごいと思う。
F チョッパーKOGA 逆にFukiなりの研究方法ってあるの?
Fuki 私、研究するのはめっちゃ好き。知り合いにすごく研究熱心なボーカリストががいるんですけど、その人は内臓を下に下げることで横隔膜の広がるスペース、響くスペースを増やすことができるんです。男性なんですけど、妊娠したみたいにお腹がポコッと膨らむんですよ。私もその人の影響でそういった歌唱法を研究することにこだわるようになって。あと今回のレコーディング中も、レオナとはなの歌い方は結構参考にしました。
──え、そうなんですか?
Fuki はなは母音をはっきり発音する歌い方をするんですよ。例えば「愛してる」というフレーズなら私はそのときの流れで「あ」と「い」をくっつけたような歌い方をするんですけど、はなは「あ、い、してる」とはっきり歌う。そのほうがリズム感も強調されてパキッとした歌い方になるんで、途中から真似して歌うようにしました。あと「Doll'sBox」というバラードでは、レオナがソロで歌ってる弾き語り映像を観て「こういう感じで歌えばいいのね」とインプットしてからレコーディングに臨んだり。
F チョッパーKOGA Fukiフィルターを通してから歌うわけだ。
Fuki そう。身近な人からもどんどん勉強してます。
──いい感じでお互いに影響を与え合ってますね。
F チョッパーKOGA そういう意味ではDOLL$BOXXってメンバーみんなが成長できる場所なんじゃないかと思います。
- ニューアルバム「DOLLS APARTMENT」 / 2012年12月12日発売 / KING RECORDS
- ニューアルバム「DOLLS APARTMENT」初回限定盤[CD+DVD] / 3780円 / KICS-91850
- ニューアルバム「DOLLS APARTMENT」通常盤[CD] / 3150円 / KICS-1850
CD収録曲
- Loud Twin Stars
- Merrily High Go Round
- Take My Chance
- monopoly
- ロールプレイング・ライフ
- fragrance
- KARAKURI TOWN
- おもちゃの兵隊
- Doll's Box
- ヌーディリズム($ヴァージョン)
DVD収録内容
- Merrily High Go Round(Music Video)
- おもちゃの兵隊(Music Video)
- メイキング映像
DOLL$BOXX (どーるずぼっくす)
Gacharic SpinのF チョッパーKOGA(B)、TOMO-ZO(G)、はな(Dr)、オレオレオナ(Key)とLIGHT BRINGERのFuki(Vo)からなるガールズロックバンド。2012年3月に行われたGacharic Spinの全国ツアーにFukiがゲストボーカルとして参加したことをきっかけに、両バンドとも異なる新たなバンドとして結成された。Fukiの伸びやかなハイトーンボイスと楽器隊の卓越した演奏テクニック、親しみやすいメロディとエッジの効いたバンドサウンドが魅力。同年12月に1stアルバム「DOLLS APARTMENT」をリリースした。