ナタリー PowerPush - DOLL$BOXX
実力派ガールズバンドが誕生するまで
ガチャピンとLIGHT BRINGERのいいとこ取り
──具体的にこの5人でどういう音楽をやろうと考えましたか?
Fuki まず最初に「メタルは絶対にイヤだ」って言いました。私は今までメタルバンドでしか音源を出したりライブをしたりしてこなかったので、このメンバーで改めてメタルをやる意味が感じられなくて。メタルをやるならLIGHT BRINGERがあるので。
F チョッパーKOGA まあガチャピンとLIGHT BRINGERのFukiの合体したいいとこ取りですね。曲はガチャピンが書いて、歌詞はFukiが全部書いてるので、そういう意味ではそれぞれの個性が合体したらどういうものが生まれるんだろう、そこで新しいものができるんじゃないかと思って。
──この5人で新たなジャンルを生み出そうということではなく?
F チョッパーKOGA ではなくて。あくまでも2つのバンドのいいところが合体したら、何かすごいものが生まれるんじゃないかと漠然と思って始めました。
──その漠然と「何かすごいものが生まれるんじゃないか」と思いながら制作してる途中で、アルバムの完成型はイメージできていたんですか?
Fuki 制作期間も相当タイトなスケジュールだったんですけど、みんながレコーディングした曲の最終型が締め切りギリギリまで見えなくて。アレンジもギリギリまでやっていて、1週間くらい前に歌録りが終わって、やっと昨日マスタリングが終わったのかな。そんな感じだったので、自分たちでもできあがったものを聴いたときに「おお、こうなったか!」っていう新鮮さがありました。
──作詞する上でLIGHT BRINGERとはあえて変えようと思ったところはありましたか?
Fuki LIGHT BRINGERの中では歌詞の世界を全て一任されていたけど、今回はみんなに意見を聞いたりして。改めて「そっか、自分がいいと思ってるだけじゃダメなんだ」って考えながら書きました。
仮歌の段階でこうしてほしいっていう歌い方をしている
──作曲したときに、作詞をするFukiさんに楽曲のイメージは伝えるんですか?
はな 一応デモの段階で私が仮歌を入れていて。仮歌の段階で雰囲気はこうしてほしいっていう歌い方をしているので、大体は伝わってるんじゃないかな。
Fuki そうですね。逆に「Loud Twin Stars」っていう全編ツインボーカルの曲では、ツインボーカルであることの面白さに重きを置いたと事前に言われていたんで、そのへんは曲によりけりかな。そもそもはなの歌い方と自分の歌い方は全然違うので。
オレオレオナ 声質も違う(笑)。
Fuki うん。そういう意味ではデモの仮歌と自分の声が入ったものの差っていうのは、どの曲に関してもガラッと雰囲気は変わってるんだろうなと思います。
F チョッパーKOGA だから面白いのかもね。
DOLL$BOXXは完全にバンドです
──はなさんは曲作りにおいて、Gacharic SpinとDOLL$BOXXとで意識的に変えた部分はありますか?
はな ガチャピンのときは面白い要素を入れたりとか、いろんな攻め方をしようって考えるんですが、DOLL$BOXXは単純にカッコいいものを作りたいなと。あ、別にガチャピンがカッコ悪いわけじゃないですけど(笑)。
一同 あははははは(笑)。
はな 男性バンドに負けないような、ストレートにカッコいいものを作ろうと思って。だから自分の引き出しの中でも、普段よりもロック色の強いものを引っ張り出しましたね。でも演奏してる人間が一緒なんで、基本的にはガチャピン寄りというか、ガチャピンの要素は入ってきてるのかなとは思います。
F チョッパーKOGA オレオとかはLIGHT BRINGERの音源やYouTubeでFukiを研究して(笑)。
オレオレオナ Fuki研究会を1人で開いて(笑)、Fukiのボーカルが活きるメロディっていうのはどういう感じなんだろうなと考えながらメロディを作っていきました。
F チョッパーKOGA Fuki、はな、オレオと歌えるメンバーが3人がいるんで、曲作りの段階で「ここははなが歌って、ここはFukiが歌ったら面白いよね?」とか「ここではながデスボイスで歌ったらよくない?」「逆にFukiがラップやるのも新しくない?」とか、そういうやり取りは結構しましたよ。
──こう言ったら変ですけど、すごくバンドっぽいですよね。
オレオレオナ あはははは! バンドです(笑)。
──もちろんバンドなんですけど、人によっては1回こっきりのプロジェクトと見る人もいると思うんですよ。
Fuki まあプロジェクトと言えば、プロジェクトですけどね。でも私のバックでガチャピンが弾いてるとかそういうことでも全然なくて、完全にバンドです(笑)。
──これまでの話を聞けば、5人対等で音楽を作っているバンドだということが理解できると思いますよ。そういえばアルバムの最後にGacharic Spinの楽曲「ヌーディズム」のDOLL$BOXXバージョンが収録されています。この曲をカバーしようと思ったのは?
はな 単純に、この曲をFukiが歌ったらどうなるんだろうと思ったんです。
F チョッパーKOGA 1曲カバーを入れたいという話があって、最初はアニソンとかいろんな人の曲が案に上がったんですけど、最終的に選ばれたのが「ヌーディリズム」だったっていうだけで。はなもオレオもシンガーとしてのFukiを尊敬してるし、うちらの曲を歌ってもらうなら何がいいかと考えたときにガチャピンが今の編成になって初めてリリースした「ヌーディリズム」が一番聴いてみたいということになったんです。だから最初から「絶対にガチャピンのカバーをやろう」と思ってたわけじゃないんですよ。
- ニューアルバム「DOLLS APARTMENT」 / 2012年12月12日発売 / KING RECORDS
- ニューアルバム「DOLLS APARTMENT」初回限定盤[CD+DVD] / 3780円 / KICS-91850
- ニューアルバム「DOLLS APARTMENT」通常盤[CD] / 3150円 / KICS-1850
CD収録曲
- Loud Twin Stars
- Merrily High Go Round
- Take My Chance
- monopoly
- ロールプレイング・ライフ
- fragrance
- KARAKURI TOWN
- おもちゃの兵隊
- Doll's Box
- ヌーディリズム($ヴァージョン)
DVD収録内容
- Merrily High Go Round(Music Video)
- おもちゃの兵隊(Music Video)
- メイキング映像
DOLL$BOXX (どーるずぼっくす)
Gacharic SpinのF チョッパーKOGA(B)、TOMO-ZO(G)、はな(Dr)、オレオレオナ(Key)とLIGHT BRINGERのFuki(Vo)からなるガールズロックバンド。2012年3月に行われたGacharic Spinの全国ツアーにFukiがゲストボーカルとして参加したことをきっかけに、両バンドとも異なる新たなバンドとして結成された。Fukiの伸びやかなハイトーンボイスと楽器隊の卓越した演奏テクニック、親しみやすいメロディとエッジの効いたバンドサウンドが魅力。同年12月に1stアルバム「DOLLS APARTMENT」をリリースした。