ナタリー PowerPush - 怒髪天
歩きつづけるかぎり夢は終わらない
おいおい大変なことになったぞ
──一方、両A面として収録されるもうひとつの新曲「DO RORO DERODERO ON DO RORO」が、これもまた違った怒髪天らしさにあふれる曲で。
これはセガから出る「百鬼大戦絵巻」ってアプリがあって、そのエンディングテーマ。前作は田原順子さんっていう琵琶の先生が主題歌を演奏してたんだけど、今回のエンディングテーマの話が来たときに「絶対に田原先生を呼んだほうがいい。一緒にやらせてくれるんならやるよ」って言ったら、先生もすごく喜んでくれて「じゃあやりましょう」と。
──なぜこのような曲調に?
最初はサイコビリー的な曲にしようってアイデアが挙がって。そこに琵琶が入るんなら「琵琶ビリーじゃね?」って。「琵琶ビリー」ってキーワードが出てきた瞬間にもう決まり。さっそく田原先生呼んでやってもらったら、やっぱ面白かったね。でも、琵琶って楽器がどんなもんかわかんないでしょ?
──見た目や音のイメージはあるけど、実際にどうやって演奏されてるのかは、よくわからないです。
楽器って大体チューニングの基本があるでしょ。それがさ、演奏して歌う人の声に合わせるの。だからひとりずつ全部違う! ちなみに先生のはオープンCチューニング。「おいおい大変なことになったぞ」と(笑)。俺と先生のキーの、ちょうど間くらいのいいところ取らなきゃいけないからすり合わせが大変だったけど、面白かったねえ。
──「琵琶のチューニング」って、ちょっと考えたことなかったですね(笑)。
ねえ。すげえ楽器だなと思って。レコーディングはひたすら面白かった。コンセプトありきで投げどころがハッキリした、見えてる的に投げるように曲を作るっていうのは、正解がわかってるから作業も速い。この曲は「ドロロンえん魔くん」とか「デビルマン」とか、そういうアニメの主題歌になり得るものにしたいなと思って作ったから、楽しかったね。世代的に。
──あの世界観は否応なしに気分がアガりますよね(笑)。あのちょっと不気味な、怪しいムードって今はもうほとんどないですけど、あれ、なんでなくなったんでしょう。
やっぱ世の中明るくなりすぎたんだろうね。闇がなくなったんじゃないかな。物理的な意味での。なんか潜んでるんじゃないか、あそこ怖いから近寄るなよみたいな、そういうのがなくなったから。人間のほうが怖い世の中になっちゃった。DNAに刷り込まれた恐怖を呼び起こす音だね、あの琵琶の音って。べベーンって鳴ったらそれだけで怖いもんね。
──今の時代を子供として生きてたら、ピンとこない恐怖なのかも。
わからない! もうだって、生まれたときからケータイまであるからね。その辺のジェネレーションギャップっていうのは如実にあるなっていう。そこに恐怖した部分もあるよね、本当に(笑)。
PVは「イイ顔祭り」
──今日はこれから「歩きつづけるかぎり」のビデオクリップの撮影準備が始まると聞きました。少し内容について教えてもらったのですが、かなり面白いことになっているようで。
「歩きつづけるかぎり」ってことで、長年自分の道を歩き続けてきた人たちの顔を撮ろうと。「顔は履歴書」じゃないけど、男でも女でも、自分の周りにいる人間たちと、記念写真を撮ろうか的な。イイ顔祭り。
──あはははは! イイ顔の説得力だけで魅せる(笑)。
そう! いろんな人に声かけて、イイ顔祭りをやろうかと。……(しみじみと)顔なんだよね。根本敬じゃないけど、本当イイ顔。ハンサムとかじゃなくて、グッドフェイスなんだよね、要は。味のある顔っていうかさ。そこにはいろんな物語があって、そういう顔になるんだからね。そういう奴らが一同に会したら画面どうなるんだっていう。わりと突き抜けた、疾走感のある曲を作ったのにさ、大変なことになるんじゃないかと思う。かなり面白いと思うよ。うちのメンバーだけでも相当濃いからさ(笑)。
──アハハ(笑)。いや、顔は大事ですね。
オファーするときに「顔で選んだ」ってちゃんと伝えてあんのかな(笑)。成功も失敗もない、歩き続けてきた人間の顔だよね。
妙に赤いね
ところでさ、今これシングルの話してるけど、早くアルバムの話がしたいんだよ。すんごいのできたから。ちょっとねえ、すんごいよ! ここ何年間かは、アルバム曲のバランスを考えてて、コース料理のように作ってたんだけど、今回は2年空いたから「曲作りたい欲」が全員溜まっちゃってて、全部推し曲、超濃厚な曲ばっかり。ちょっと濃くなりすぎたかなっていうきらいもある。相当大トロ入ってるね。
──アハハハハ! この皿やけに赤いなーみたいな(笑)。
妙に赤いね。かなりイイと思うよ。
──全員曲作りモードに入ってるというのは相当楽しみですね。去年の関ジャニ∞への提供曲「モンじゃい・ビート」も話題になりましたが、ジョイポリスの「百鬼フェス」では増子さん、ももクロにも曲を書きたいって自らおっしゃってましたよね。
作りたいねえ! 超本気で。つうかネタももう用意してあるからね。
──そこまで! 楽曲制作チームとしての怒髪天がももクロとぶつかると、面白いことになりそうだなという予感はひしひしとあります。
絶対面白くなると思う。ももクロは忍者の格好したりもするから、「歴女」じゃないけど、歴史モノ、戦国恋愛絵巻的なね。恋の戦国武将的な。ちゃんとネタ考えてあるんだけどなあ。ももクロは実にフィジカルだし、ハードコアバンドと変わんないよ。本気で人に伝えようと思ったり楽しんでもらおうとしたときは、使えるエネルギー全部使って全身全霊でやらないと伝わるわけもないし、それをやったときに人間は失笑を買うくらいの状況になるの。それが本当の姿。自分の歌を聴かせるのって、ラブレター渡してるようなもんなんだよ。「俺こういうふうに思ってます。どうぞ」って言うときに、ポーズ決めて「この角度しかダメだからこの角度で渡します。読んでください」みたいなさ、そんなもん読むか!って話で。もう涙も鼻水も垂らしてさ、土下座してでも本当の気持ちを伝えるってこと。それがももクロにはあるんだよな。
──いやー、実現してほしいですね。
うん。投げどころわかってるとさ、俺らかなり精度高いもの作れるから。ちゃんとニーズに応えたものを。そこは自信あるから、ぜひやりたいね。
収録内容
バンド至上最高峰ライブのDVDと、怒髪天至上最豪華特別編成でのライブCDを完全コンプリート。2011年怒髪天の進化の軌跡を見逃すな。
2011年7月10日に行われた「LIVE LIFE LINE TOUR」FINAL公演・Zepp Tokyoでのライブ 映像(DVD)と、怒髪天&THE JOE-NETS「LIVE ALIVE TOUR 2011 “GOLDEN MUSIC HOUR”」東京・NHKホール公演のライブ音源(2枚組CD)を1パッケージに!
OK!Let's Go TOUR 2012“夢追道中”
5月6日(日)大阪城野外音楽堂を皮切りに、ファイナル7月16日(月・祝)ZEPP DiverCity TOKYOまでライブハウスとホールで開催する全国27公演!
怒髪天(どはつてん)
1984年に札幌にて結成。1988年には増子直純(Vo)、上原子友康(G)、清水泰而(B)、坂詰克彦(Dr)という抜群のキャラクターを誇る現在のメンバーが揃い、「JAPANESE R&E(ジャパニーズ アール アンド イー)」を旗印に掲げた独自のスタイルで幅広い支持を集めている。2012年1月15日には、中野サンプラザ新春公演「謹賀新年 新春ドラゴン・ツイスト“俺達の琵琶ビリーナイト”」を開催。5月には最新アルバム「Tabbey Road」を携え全国ツアーを行う。