ナタリー PowerPush - DOES

4人編成での初音源「FIVE STUFF」で見せた変化

ちゃんと前を向いて進んでいかないと未来はない

──ラストのスローナンバー「トゥデイ」は歌詞が特に印象的でした。普遍的な力強さがあって、じんわりと力をもらえる曲だと思いました。

ワタル 最近あまり長い曲を作ってなかったし、こういう曲は久しぶりですね。「MODERN AGE」を作ってる頃からそうだったんだけど、常日頃ちゃんと前を向いて進んでいかないと未来はないっていう気持ちがあるんですよね。努力することの大切さを自分も実感してて、そういうことがどんどん歌詞に出るようになった。結果として、曲がメッセージ性の強いものになっていってますね。

──「欲望」はちょっとテイストが違うかもしれないですけど、今回の新作も基本的に前へ前へという意志が伝わる曲が多かったです。

ワタル そうですよね。ま、全部震災前に作った曲なんですけど、震災後のポジティブに考えなきゃっていう志向にも合うと思うし。何より人が生きる上での重要なことというか、今は経済的にもデフレスパイラルでどんよりしてるじゃないですか。そんなときこそ、明るい曲やちょっとでも救われるような要素が入ったものを届けたいですよね。

──なるほど。そういった思いはここ何年かの間、ワタルさんの中で強く持ち続けているものですよね? 暗いときに暗いものを聴いても仕方ないみたいな。

ワタル そうですね。以前は暗い明るいに関係なく、単純に情景描写だったりとかちょっとした寂しさや明るさだったりとかを描く感じだったんですけど、そういうのも自然となくなってきました。なんか自分がここにいることって、どういうことなのかとかね。メジャーで活動すると影響力もあって、たくさんの人が知ってきてくれてて、ただ単にそこにいるだけではもう済まなくなってきてるから。だから、ライブではやっぱり盛り上げたいし、自分も盛り上がりたい。何事もダイレクトになってきてますね。

ヤス 歌詞はより直接的になったよね。昔、あまりわかんなかったもん(笑)。好きではあったけど。

ワタル あははは! 何歌ってるかわかんないみたいな? 昔から言葉は響きやすいように作ってたんだけど、その抜けてきた言葉がいったいどこに行くのかが……。ま、今となってはわからない感じでしたよね(笑)。最近はそれがわかるようになってきてて、自分でも歌ってて気持ちが入るというかね。次のフルアルバムに向けて意識してるのはズバリそこなんですよ。これまでは俯瞰的な視点から歌詞を文学的に処理したり、響きを重視したりをこれまでやってたから、ちょっとそうじゃないところをやりたいなって。

簡単な言葉がフッとあるだけでいい

──サウンドもそうですが、詞も変化してきているんですね。

ワタル 例えば「好き」とか、あるいは「死ね」とかでもいいんですけど、わかりやすく気持ちが入るものがロックにしても何にしても重要だと思うんですよね。それを一番気付かせてくれた曲が「タイニー・パンク(愛を叫ぼう)」なんですよ。まだメロディや歌詞が決まってない段階でディレクターと飲んでたときに、「愛を歌ったらいいんじゃないか」とか、まあ適当なノリで言われたことがあったんです。でも、確かに清志郎さんもヒロトさんもTHE BEATLESも、LOVEについて歌ってるわけじゃないですか。

──「愛し合ってるかい?」ですもんね。

ワタル そうそう。愛ってロックミュージシャンが歌うことで、ただ「いいよね!」みたいなカジュアルな感じにできる。そこがいいなって思ったんですよね。そういう曲ってすごく歌いやすいし。

──そうですよね。ちなみに、先日DOESと対バンされていたflood of circleが9月にリリースする新曲も「I LOVE YOU」というタイトルなんですよ。

ワタル 言ってた言ってた(笑)。聴いてくれって言われたなあ。震災があったのがデカイのかもしれないけど、簡単な言葉がフッとあるだけでいいって思える状況なんだよね。読解して噛み砕くのがたぶん今はめんどくさいんですよ。

──震災といえば、ワタルさんは地震のあとに「勇気」という楽曲をオフィシャルサイトで公開されてましたよね。

ワタル あれは単純な気持ちですよね。何かできることといったら、ああいうことしかできなかったから。あの曲もまさにダイレクトなメッセージです。

──ツアーが一段落して、これからは夏フェスとかもありますが、何より楽しみなのは9月8日に赤坂BLITZで行なわれるメジャーデビュー5周年記念のワンマンライブですね。

ワタル うん、普段のワンマンとは趣向を変えたものにしたいですね。ファンもスタッフもメンバーも、その場にいた全員が面白かったと思えるような。

ヤス まさに1回きりのショーというかね。4人での世界観もより深いものになっていくと思います。

ケーサク うん、スペシャルな夜にしたいですね。今、まさにいろいろ考えてるところなんです(笑)。楽しみにしててください。

ミニアルバム「FIVE STUFF」 / 2011年7月27日発売 / Ki/oon Records

  • ミニアルバム「FIVE STUFF」初回限定盤 Amazon.co.jpへ
  • 初回限定盤[CD+DVD] / 2100円(税込) / KSCL-1812~1813 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 1785円(税込) / KSCL-1814 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. イーグルマン
  2. 黒い太陽
  3. タイニー・パンク(愛を叫ぼう)
  4. 欲望
  5. トゥデイ
DVD収録曲
  1. イーグルマン(Music Clip)
  2. 地下鉄曲(LIVE at HEAVEN'S ROCK kumagaya.VJ-1)
  3. 欲望(LIVE at HEAVEN'S ROCK kumagaya.VJ-1)
  4. ダンス・イン・ザ・ムーンライト(LIVE at HEAVEN'S ROCK kumagaya.VJ-1)
LIVE INFORMATION
デビュー5周年ライブ「5th Anniversary LIVE」開催決定!

2011年9月8日(木)東京都 赤坂BLITZ
OPEN 18:15 / START 19:00

チケット一般発売:2011年8月6日(土)~

DOES(どーず)

2000年に結成された、福岡出身のスリーピースロックバンド。クラブイベント出演や音源制作を中心に、精力的な活動を展開する。数度にわたるメンバーチェンジを経て、2005年8月より現在の編成となる。2006年には活動拠点を東京に移し、初の全国ツアーを敢行。同年9月にはシングル「明日は来るのか」でメジャーデビューを果たす。2010年4月にリリースしたシングル「バクチ・ダンサー」は10万枚を超えるヒットを記録した。同年7月には初のベストアルバム「SINGLES」を発表。全国ツアーも精力的に行い、幅広い層から熱狂的な支持を集めている。2011年7月には初のミニアルバム「FIVE STUFF」をリリース。