聴いてくれる人の背中を押すのはDo Asのカラー

──ギリシャ神話の「アリアドネの糸」をモチーフにした歌詞からは、信じる道を戻らずに突き進めという痛快なメッセージを受け取ることができました。

大渡　作詞家さんの歌詞をもうちょっとドラマの雰囲気に寄せて、さらに先が見えない状況での意志みたいなものを出すために、チームInfinityで手を加えさせていただいた感じです。歌入れの前日くらいにそういう作業をやってましたね。結果、全体的により便通が良くなったというか（笑）。

伴　情報がいっぱいあふれてる時代だから、ときどきそれに翻弄されそうな自分がいるんですよ。でもやっぱり、ブレない自分の軸は大事じゃないかなって思うので、そういう意志を歌でも表現したいと思ってたんです。

──Do Asとして芯のある活動をされているお2人でも、気持ちが揺らいだり迷ったりすることってあるんですか？

大渡　ありますよ、やっぱり。なんか気持ちが乗らないなあとかね。だいたい酒飲むことで乗り越えますけど（笑）。あ、でも僕の場合、すごく大きなことにぶつかったときには自然に触れることでその気持ちが溶けていくかもなあ。浄化されるっていうかね。そういうアースパワーが足りないと、悩んだりしやすいと思うし。土の匂いをかぐとかね、そんなことだけでもいいような気がするな。

伴　私の場合は運動して汗流すか、お酒か（笑）、遠くを見つめるかで、そういう気持ちを解消してますね。

大渡　あさっての方向をボーっと眺めて現実逃避するんだ（笑）。

伴　そうだね。好きな音楽流してボーっとしてると、悩んでたことってなんだったっけ、ってなる。汗と一緒に流すっていうのも効果的。

──この「アリアドネの糸」という曲もそうですけど、リスナーの場合はDo Asの曲で前を向く気持ちを取り戻せますよね、きっと。

伴　ああ、それがひとつのDo Asのカラーになっているとは思いますね。応援歌というか、聴いてくれる人の背中を押すような楽曲を作るっていうのはうちらが持ってるカラーのひとつで、それがここまで続いているっていう感じですかね。

大渡　正直、Do Asはバンドとしての基盤が何もない状態からスタートしてるんですよ。で、そこから手探りながらも12年やってきたことで、ようやく自分たちでも認められるDo Asの雰囲気とかカラーとかができてきたんだと思うんですよね。最初はほんとに「とにかくやるしかない」って感じでしたから。

どっちかっていうと根暗だと思う

──結果として聴き手の気持ちを持ち上げるスタイルが生まれたということは、お2人とも根本にポジティブなパーソナリティを持っていたっていうことなんでしょうね。

大渡　そうですね。だから、今回みたいな曲のときに自分の本質をあらためて知る、再確認できるという感じはありますよね。俺はやっぱこれだな、みたいな。そういうことを繰り返してきたことで、Do Asとしてのカードが増えていったんだろうなとも思うし。

伴　曲に自分を知らされているというかね。続けてきたことでそういうことは多々ありましたね。でも、私はどっちかっていうと根暗だと思うんですけどね。

大渡　僕もそうだと思う。

──12年目にしてまさかの根暗発言！（笑）

伴　アハハハ。でも、だからこそ生まれるものもあるのかなって。ものすごく憤慨しているとかものすごく悲しんでいるとか、音楽をやっていく原動力としてはそういうことのほうが大きいのかなって。で、そこから生まれた自分たちの曲で気持ちを鼓舞されたり癒してもらったりするっていう。

大渡　確かにそれはあるよね。そもそもギターを始めるきっかけって反抗だったりするじゃないですか。なんかアニキがムカつく、とかね。大人になっていくとそういうことをだんだん忘れてしまうけど、そこを思い出すのも重要なんじゃないかなって。俺はそうじゃなかったはずだ。誰かをぶっ殺すためにギターを持ったはずだ、みたいな（笑）。

伴　極端だなあ（笑）。

大渡　極端だよね。でもそういうことを忘れないようにしていきたいとは思うんですよね。