やついいちろう(エレキコミック)主催のサーキットフェス「YATSUI FESTIVAL!」が、今年も開催目前に迫ってきた。バンド、ラッパー、DJ、アイドル、お笑い芸人など総勢340組を超える“異業種”アクトが東京・渋谷に大集結。アーティストのラインナップだけ見ても、水前寺清子からマッツ・グスタフソンまで出演するイベントはほかに類がない。
今年はやついいちろう(エレキコミック)、Sundayカミデ(ワンダフルボーイズ、TENSAI BAND II)、塙宣之(ナイツ)による「LIFE」がフェスのアンセムソングに決定し、5月30日から配信されている。音楽ナタリーでは、やついとSundayの2人を迎え、「LIFE」ならびに「やついフェス」について話してもらった。
取材・文 / 高岡洋詞 撮影 / 須田卓馬
初めて会ったときからテーマは「座持ち」
──「LIFE」ができた経緯から教えていただけますか?
やついいちろう 僕は「やついフェス」をやってて、Sundayさんも「Love Sofa」っていうイベントをやってて、何度もお互い呼んだり呼ばれたりしてるんですけど、これまでは呼んでもらっても一緒にやれることがなかったんですよ(笑)。「2人一緒の曲があれば座持ちがするんですけどね」「ああ、いいですね。1曲作りますか」みたいなところから曲の制作が始まったんです。そしたらあるとき、塙くんも入るって話になってて。
Sundayカミデ 僕は「月曜プリマ」っていう配信番組をやってまして、やついさんにも2回ぐらい出てもらってるんですけど、その番組に塙さんに出てもらったとき、お二人の大学時代の話を詳しく聞いたんですね。それがすごく面白くて、インスピレーションが湧いてしまったんです。
──やついさんと塙さんは大学の先輩後輩ですもんね。
やつい Sundayさんの嗅覚が働いて、入れたほうがいいって判断になったのか。僕からすれば寝耳に水のユニットなんですけど(笑)、3人でやってみたらすごくよかったんです。インスピレーションが湧いたテンションで曲を作ったからよかったんでしょうね。
──それはどのあたりに反映されていますか?
Sunday Aメロのやついさんと塙さんが歌ってる歌詞のくだりは、すべてお二人の学生時代のことを美化して書きました(笑)。
やつい 僕と塙くんは下宿先が同じで、ほぼ一緒に住んでたんですよ。だから彼は誰よりも僕の被害を受けてるという。
Sunday 歌詞の「ふざけあったり」にはいろいろ含まれてるわけですね(笑)。
やつい 塙くんの部屋は留守のときにドアの鍵が開いてるんですよ。だから僕のコンポが壊れたとき、勝手に部屋に入って音楽を聴いてたんです。あと、彼はすっごいきれい好きなんですけど、僕はすっごい“汚な好き”なんで、ついつい部屋を汚しちゃうんですよね(笑)。でも、大学の後輩なんて奴隷みたいなもんだったじゃないですか、あの時代。
Sunday そういう逸話の数々を被害者の塙さんから聞いて、塙さんにも入ってもらったんです。
やつい 2人で作ってたら、もっとパーティ感のあるものになってたんじゃないかと思いますけど、塙くんが入ったことでちょっとセンチメンタルになって、偶然ではあったけどよかったですよね。
──それで昨年9月に行われたSundayさんライブ「ピアノKISS!!」にやついさんと塙さんが出演して、初披露したと。そういう機会のために作った曲なんですね。
やつい 座持ちのためです(笑)。僕と塙くんが出ることになってたけど、「このままいくとトークだけじゃん?」って思ってたので。1曲あったことで座持ちしました。
Sunday ワンダフルボーイズでやついさんと島根県のイベントで一緒になって、初めてお会いしたときから、“座持ち”はずっとテーマだったんです。
やつい 初対面なのに、アンコールで「やついいちろうさん!」っていきなりステージに呼び出されて、知らない曲を即興で歌わされてね(笑)。そろそろステージで安心したいじゃないですか。
Sunday 毎回違う曲で「やついさん!」って振られても困りますよね。
名曲には小鳥のさえずりが入ってる
──「LIFE」は今回の「やついフェス」のアンセムに採用されましたよね。
やつい 「やついフェス」のために作ったものではないけど、できてみたらぴったりだったんです。僕と塙くんとSundayさんって異業種だし、つながりもよくわかんないじゃないですか。3人が一緒にやってること自体がそうだし、「僕らつないでいくよ」っていうフレーズが、いろんな人たちが一堂に会する「やついフェス」に重なるんですよね。「このスタイルでLife Life Life」って歌ってますけど、それぞれのスタイルをリスペクトし合って、なおかつ、つながって一緒にやっていこうっていう。「LIFE」はまさにそういう歌で、できるべくしてできた感じがあったので、アンセムソングになりました。
──イントロに鳥のさえずりが入っているのは、どんな狙いで?
Sunday あれはもともと入ってなかったんですけど、一緒にトラック制作したアツムワンダフルに「鳥の声を5種類ぐらい作ってほしい」ってお願いしたんです。「なんでですか?」って聞かれて「いい曲になるから」って答えたんですけど(笑)。やっぱり名曲には小鳥のさえずりが入ってるじゃないですか。
やつい The Beatlesの「Blackbird」とかミニー・リパートンの「Lovin' You」とかね。僕は鳥のさえずりが入ることで、パーティが終わったような始まったような感じがしていいなと思いました。オールナイトのイベントが終わって、外に出たときの景色って言うか。始まったのか終わったのかよくわかんないんですよ、オールナイト明けって。朝、太陽が昇って鳥の声を聞くと。なんか哲学的じゃないですか? 終わりと始まりが一緒になってるみたいな。
Sunday そ、そうですね……。
やつい どうですか? こんな感じで!
──素晴らしいです! 曲の最後に歌詞カードに載らない遊びが入っていますね。「僕らいくよ・くるよ」「僕ら桂子・好江」って。
Sunday 僕からお二人に宿題として、「僕らつないでいくよ」に続けて「僕ら◯◯」で何か考えてきてください、って言ってたんですよ。お二人とも全然考えてこないまま最初の練習日になって(笑)、やついさんに「どうします?」って聞いたら「いくよ・くるよ」って言ったので、塙さんもすぐに追いかけて「(内海)桂子師匠」って言って、その場では「あはは」ってなってたんですけど、その後何度かライブしても毎回それだったので、強い意思を感じて、入れざるを得ない感じに……。
やつい 今いくよ・くるよさんのことを言ってるわけじゃないんですよ。
Sunday 哲学的なことですよね。
やつい そう。“行く”と“来る”が一緒になってるっていう。世代的に僕は“いくよ”っていう文字を見ると“くるよ”って言いたくなっちゃうんですよ。なりませんか?
──なります。
やつい でも桂子・好江は違うなって思いますね、正直。ダブルミーニングできないじゃないですか(笑)。哲学がないんですよ。ただのかぶせなんですよねー。手癖でやってんなって。
Sunday でも追いかけるのは早かったですよね。
やつい あそこはフリーと考えていただいたほうがいいですよね。これからも変わって“いくよ”ってことです。そういう意味も込めての「続いていくよ」なわけですね。
Sunday 素晴らしい。
やつい ぜひ生命保険のCMに使ってほしいですね。完璧だと思うんですよ。十代の頃はムチャもしたけど、これからは保険に入って、生活も財産もつないでいくよ、と(笑)。
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4年目にしてやっと……
- やついいちろう×Sundayカミデ×ナイツ塙「LIFE」
- 2018年5月30日配信 / Victor Entertainment
- 収録曲
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- LIFE
イベント情報
- YATSUI FESTIVAL! 2018
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2018年6月16日(土)
2018年6月17日(日)東京都 TSUTAYA O-EAST / TSUTAYA O-WEST / TSUTAYA O-nest / TSUTAYA O-Crest / 渋谷duo MUSIC EXCHANGE / 渋谷7th FLOOR / clubasia / VUENOS / Glad / SOUND MUSEUM VISION / HARLEM PLUS / LOFT9 shibuya
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- やついいちろう
- お笑いコンビ・エレキコミックのメンバー。芸人としての活動の一方で、DJとしても活躍しており「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「COUNTDOWN JAPAN」といったロックフェスに出演し、人気を博している。自身でもお笑いと音楽を融合させたフェス「YATSUI FESTIVAL!」を主催するほか、フェスと同時期に毎年ミックスCDも発表している。
- Sundayカミデ(サンデーカミデ)
- ワンダフルボーイズのボーカルやTENSAI BAND IIのキーボーディスト、ベーシストとして活動。FM802のヘビーローテーションナンバーとして話題を集めた「君が誰かの彼女になりくさっても」やソフトバンクのCMソングに使用された「ダラダラ」などさまざまな楽曲を手がける。ワンダフルボーイズとしては2017年6月に「ロックロックロックジェネレーションSUPERVERSION!!!」をリリース。ソロとして同年9月に東京上野恩賜公園野外ステージにて初の単独野外ワンマン、10月にオーガナイザーを務めるイベント「Love sofa」を大阪・CONPASSで開催した。2018年10月には東京・上野恩賜公園野外ステージにてピアノ弾き語りによるソロワンマン公演も決定している。