ナタリー PowerPush - DJ Fumiya
1stソロアルバムに込めた歴史と手癖
リズムだけは本当に気を遣ってる
──では曲作りにおいて、Fumiyaさんが一番こだわっているところは?
リズムですね。ヒップホップって、ドラムにラップが乗っかるだけでカッコよく成立する音楽なんですよ。極端な話、リズムさえカッコよければいい。そこがヒップホップの良いなって思うところです。だからリズムだけは本当気を遣ってるし、納得いくまで打ち込みたい。リズムを作ってるのが一番楽しいですね。
──今回のアルバムで言うと「FANTASTIQUE!」などにストイックなドラム愛が感じられますね。
この「FANTASTIQUE!」は最後の最後まで悩んで。自分の頭の中では鳴ってるんだけどどうしてもうまくまとまらない。こういうのが難しいんです。「TOKYO LOVE STORY」とかは自分の得意な感じだからすっごい簡単にできるけど、やっぱ4つ打ちは難しくて。
──4つ打ちに苦手意識があるんですか。
単純に4つドンドンドンって鳴ってるだけなんだけど、すごい奥深いんですよね、ハウスとか4つ打ちの音楽って。簡単にダサくなれるっていうか。だからカッコいいの作ってる人はすごいなと尊敬します。
──例えばどういう人ですか?
テイ(TOWA TEI)さんとか。テイさんとは、スネアを「ダーン」にするか「ダッ」にするか、音が速いか遅いかだけで曲のタイトさが変わってくるんですよねっていうことをよく話します。全部弾きっぱなしだったらそれはそれでカッコいいんですけど、どこかの音を短くしてあげるとか……そういうのをいつも家でシコシコやってます。
すぐに新しい曲を作りたい
──ところで今年のRIP SLYMEはメンバー個々のソロ活動が目立つ1年でしたね。
もうやべえんじゃねえかって思ってる人もいますかね。ものすごい仲悪いんですよ(笑)。
──ウソはやめてください(笑)。もちろん仲は良いし、今後動きもありますよね?
はい。多分このタイミングでそれぞれやったのは、良くなるための1回休みというか。十何年間ずっと一緒だったじゃないですか。だから違う場所の新鮮な空気吸って、それをリップ内で吐き出したらどんなものができるのかっていう時期だと思いますね。
──Fumiyaさんは初のオリジナルアルバムを作り終わって、どんな気分ですか?
今、すごくリップの新しい曲作りたいんですよ。いつもは疲れて当分制作したくなくなるんですけど、ある程度肩の力抜いて作ったからか、次すぐ作りたいな新しいの。このペースだったらできるなと。オケでみんなのテンションを引っ張っていけたらいいですね。
──意欲的ですね。
個人としての作品を出せたことで、良い意味で穴っていうか自分の足りないところはすごいわかったんで。これをリップに還元できたらいいし、自分名義でも、名前変えてもっと偏ったものも、例えば全部ドラムない曲とか(笑)そういうのもやってみたいですね。
CD収録曲
- Voice for Daddy
- JYANAI? feat. 鎮座DOPENESS
- BUMBRITY feat. Trippple Nippples
- HOTCAKE SAMBA feat. BAKUBAKU DOKIN & Tomoko Nagashima from orange pekoe
- ENERGY FORCE
- Continue? feat. RHYMESTER
- LOVE 地獄 feat. RYO-Z & 黒沢かずこ from 森三中
- FANTASTIQUE!
- TOKYO LOVE STORY feat. 奇妙礼太郎
- Here We Go feat Dynamite MC(Diplo Remix)
DJ Fumiya(でぃーじぇいふみや)
RIP SLYMEのDJ。14歳でDJを始め、クラブで開催されたDJバトル優勝を機に、数々のアーティストのツアーやレコーディングに参加する。18歳でRIP SLYMEに加入し、2001年にメジャーデビュー。これまでに「One」「楽園ベイベー」「熱帯夜」など多くのヒット曲を放っている。また他のアーティストのプロデュース、楽曲提供、リミックス制作も多く、これまでにbird、AYUSE KOZUE、LITTLE、HALCALI、KOHEI JAPAN、真心ブラザーズ、YO-KING、Fantastic Plastic Machine、Mr.Children、布袋寅泰などの作品に参加。現在はクラブイベントなどで積極的にDJ活動を行っており、主にエレクトロハウス、バイレファンキ、ドラムンベースなどをスピンしている。2010年には初のミックスCD「DJ FUMIYA IN THE MIX」を、2012年には待望のオリジナルアルバム「Beats for Daddy」をリリース。