音楽ナタリー PowerPush - DJ Deckstream×DEN(ex. 妄走族)×JAZEE MINOR×輪入道「LIVE DRESS CODE」座談会
“日本語ラップの垣根越える”リキッド公演を前に
はっ倒された妄走族解散ライブ
──ここからはDENさん、JAZEE MINORさん、輪入道さん1人ひとりにスポットを当てて話していきたいんですが。
Deckstream じゃあ、DENさんから。
──「見えないけどRZ feat. 妄走族」って、妄走族として解散前最後の客演曲になったんでしょうか?(参照:妄走族が解散「単純に言うと、ケジメです」)
DEN そうっす。こないだ解散したんですけど、Deckくんとのコラボはもともとライブも込みで約束してたので、5月のライブにも妄走族として出させてもらおうと思ってて。
──えっ、それサプライズじゃなくて事前に言ってしまっていいんですか?(※取材は4月初旬)
DEN いいっす、いいっす。全然いいっすよ。俺ら的にも10年ぶりに復活して活動してる間に、ガッチリ打ち合わせから参加してやらしてもらった曲なんで、約束を絶対に果たしたいなと思っていて。2月に解散のワンマンライブやったけど、ステージ上で「解散!」って言ったときに「解散っていうかもう1個(ライブ)あるけどね」ってずっと思ってたもん(笑)。それぐらいずっと頭の中にあったライブかな。
Deckstream ありがとうございます。
DEN うちの場合はラッパーのコンビが面白いっていうより、妄走族とDeckくんでやったことがでかくて。俺ら、GAS CRACKERZ以外のビートで歌ったことがないのね。ソロではいろんな人のビートで歌ってるけど、妄走族のときは絶対GAS CRACKERZでしかやらない。それを初めてDeckstreamのトラックでやると、妄走族こんな感じで変わるのねと。ちょっとキレイに聴けるようになるな、みたいな(笑)。だからDeckくんの音であるっていうのが俺らにとってはありえない掛け合わせだったんだよね。
──「見えないけどRZ」のリリックは、リリース当時は解散するとは知る由もなかったけど、今聴くと“見えないけどある”妄走族の絆を歌っているように感じます。解散を機に改めて妄走族のことを考えた人もいると思いますが、輪入道さんとJAZEEさんもやっぱり彼らには思い入れがありますか?
輪入道 はい。解散ライブは現場で観てたんですけど、そこにあった質感みたいなものがすごすぎて。ホントに考えましたね、いろんなことを。自分がやりたい音楽とか今生きてる時代とか。俺は平成生まれなんで、平成生まれの仲間とやりたいようにやってるだけなんですけど、ここまでリアルな質感はうちらの代からも下の代からも絶対出てこないだろうし、これが見れて本当によかったなって思えました。勝手にはっ倒されましたね、俺は。
JAZEE MINOR 自分は、もともと兄が神さんと仲よくさせてもらってて。で、高校生のときに兄を介して神さんを紹介してもらって、HARLEMのデイイベントに誘ってもらったんです。1人じゃおっかないから友達も連れて行って。そこで初めて妄走族のライブを観たんですよね。そのときはすごい距離があるように感じたけど、この前の解散ライブを観てて、自分の立ち位置があのときとは違うから感慨深いものがありましたね。そうやって自分のことを振り返ったりもしたし、単なる解散ライブってだけではない、いろんなものを自分の中で感じました。
──それならきっと5月のライブでも何か感じるでしょうね。妄走族の前か後にすぐ同じステージに立つわけですから。
JAZEE MINOR そうだと思います。
JAZEE MINORはシーンの外に突き抜けられる
──JAZEE MINORさんの参加した「Stay Ready feat. JAZEE MINOR & Minami(CREAM)」はかなり若々しい組み合わせで。
Deckstream これは声質がなんとなく合いそうだなって。トラックは、自分としてはあんまりこういうビート作らないんですけど今風にしてみたんですよ。今っぽいかな?(笑)
JAZEE MINOR そうですね、簡単な言葉で言っちゃうとキラキラ系というか。でもアルバムの中でいいスパイスになってるなと思います。それを自分に当ててくれたのは、自分に対するイメージがそういうものなんだろうなとも思ったし。あと共演するのがCREAMのMinamiっていうのが……なんかDeckstreamさんが神様に見えたというか。
DEN 神様!(笑)
JAZEE MINOR 以前からCREAMを聴いてて、この人と曲作りたいなと思ってたんです。だから願ったり叶ったりというか、めっちゃ憧れの芸能人をいきなり先輩に紹介してもらったみたいな感じで。前から思っていたことを実現していただいたんで、曲を聴いた瞬間にパパッとイメージができて、リリックもすぐできましたね。すごいやりやすかったし楽しかったです。
──DENさんはJAZEE MINORというアーティストにどんな印象を持っていますか?
DEN まあ次のシーン支えてくヤツの1人だよね。さっきDeckくんが言ってたけど、ヒップホップのちっちゃい壁をどんどんぶち破ってると思うし。こういう言われ方するの嫌いそうだけど……日本のウィズ・カリファです。
JAZEE MINOR (笑)。
輪入道 ヤバいっす(笑)。
DEN まあ、そういうふうにシーンの中から出て外に突き抜けられるようなスタイルなんじゃないのかと僕は思ってますよ。
JAZEE MINOR ありがとうございます。
輪入道 自分もこの曲聴いて、すげー振れ幅の広い人だなと思いました。俺もこのラインナップの中に入れてホントにうれしいっす。
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2015年5月9日(土)東京都 LIQUIDROOM
OPEN 18:00 / START 19:00
<出演者>
DJ Deckstream / D.O / JAZEE MINOR / 漢 a.k.a. GAMI / Minami(CREAM) / 大神:OHGA / RINO LATINA II / SEAMO / TAKUMA THE GREAT / WATT a.k.a. ヨッテルブッテル / YURIKA / NIPPS / Shing02 / S-WORD / 輪入道 / 川畑要 / 妄走族 / Mummy-D (RHYMESTER) / SKY-HI
料金:オールスタンディング 4500円(1ドリンク別)
INFO:ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999(平日12:00~18:00)
- DJ Deckstream ニューアルバム「DRESS CODE」/ 2014年12月10日発売 / 2500円 / Sepera / XQBZ-1036
- DJ Deckstream ニューアルバム「DRESS CODE」
収録曲
- Young World feat. VERBAL(m-flo) & Shing02
- SEASON4 feat. S-WORD & RINO LATINA II
- You Only Live Once feat. 漢 a.k.a. GAMI & 輪入道
- 見えないけどRZ feat. 妄走族
- Most Beautiful In The World feat. SEAMO & D.O
- Stay Ready feat. JAZEE MINOR & Minami(CREAM)
- Time Capsule feat. NIPPS & YURIKA
- Far East Movement feat. RINO LATINA II & SKY-HI
- 夜とその先 feat. WATT a.k.a. ヨッテルブッテル
- Stormy feat. Mummy-D(Rhymester) & RYUZO
- Minority Rules feat. Arkitec & 大神
- Walk With Me feat. Takuma The Great
DJ Deckstream(ディージェイデックストリーム)
DJ、トラックメーカー。1990年代後半からアンダーグラウンドのヒップホップシーンにて活動を開始。2001年、m-floのリミックスをきっかけに注目を集め、2007年10月に1stフルアルバム「Sound Tracks」、2009年2月に2ndアルバム「Sound Tracks2」を発表。独特のサウンドメイキングが大きな話題となり、外資系CDショップを中心に爆発的な売上を記録する。また「Rahze」名義でダンスアルバムを制作し、レーベル「Sepera」を立ち上げ自身のプロデュース作品をリリースするなど、精力的に音楽活動を展開している。2014年12月にはSeperaからアルバム「DRESS CODE」をリリースした。
DEN(デン)(ex. 妄走族 / GAS CRACKERZ)
1998年に結成され、2015年2月に解散したヒップホップユニット・妄走族のMC。サウンドプロデュースチームGAS CRACKERZのメンバーでもある。東京・渋谷で生まれ育ち、妄走族として2000年にユニバーサルミュージックよりメジャーデビュー。GAS CRACKERZ名義でも2002年にメジャーデビューを果たす。ソロでは2006年と2010年にアルバムをリリースしているほか、ラジオのパーソナリティや雑誌連載などで多才ぶりを発揮してきた。人気イベント「A+」の仕掛け人でもあり、レーベル「LEGENDARY inc.」のCEOとしてもヒップホップシーンの底上げを続けている。GAS CRACKERZ名義で4月20日から10日間限定フリーダウンロード配信にて新曲「妄 FOREVER」を発表した。
JAZEE MINOR(ジャジーマイナー)
東京生まれ、千葉育ちのヒップホップアーティスト。高校時代に音楽活動を開始し、卒業後に単身渡米。ニューヨークにあるオープンマイクのメッカ、Nuyorican Poets Cafeにて日本語でパフォーマンスし、レギュラーイベント出演を勝ち取る。帰国後、楽曲のクオリティやライブパフォーマンスで評判を集め、ANARCHY、R指定、DAG FORCE、SKY-HI、SALU、サイプレス上野、DJ HAZIMEなど国内ヒップホップシーンを代表する数々のアーティストとコラボし、幾多のクラシックを生むフィーチャリングキングとして名を馳せる。シングルカットされた「"100" feat. AKLO」は2014年を代表するヒップホップアンセムの1つとなる。2014年8月に1stアルバム「Black Cranberry」をリリースし、シンガーとラッパーの二刀流というスタイルを確立した。
輪入道(ワニュウドウ)
1990年東京生まれのラッパー。千葉の埋立地で育つ。アーティスト名の由来は、石ころをダイヤに変えてみたかったから。2007年頃に単独で活動開始。17歳の夏休みに千葉・CLUB BELTの「REPRESENT MC BATTLE」に出場し、ラップを始めてわずか4カ月にして優勝賞金20万円を手にする。18歳のときには渋谷を中心に関東各地のクラブイベントに出演し、年間合計131本におよぶライブショーケースをフリースタイルで歌い上げ、活動の幅を広げていく。その後も2011年度「UMB」千葉予選優勝や2013年度「罵倒」下町予選優勝など、日本語のMCバトルやフリースタイルに関してオーディエンスから高い評価を得ている。2013年に1stアルバム「片割れ」をリリース。