音楽ナタリー PowerPush - DJ Deckstream×DEN(ex. 妄走族 / GAS CRACKERZ)×JAZEE MINOR×輪入道「LIVE DRESS CODE」座談会

“日本語ラップの垣根越える”リキッド公演を前に

DJ Deckstreamが昨年12月にリリースしたアルバム「DRESS CODE」の発売記念ライブが、5月9日に東京・LIQUIDROOMにて開催される。当日は「DRESS CODE」に参加したD.O、JAZEE MINOR、漢 a.k.a. GAMI、Minami(CREAM)、大神:OHGA、RINO LATINA II、SEAMO、Takuma The Great、WATT a.k.a. ヨッテルブッテル、YURIKA、NIPPS、Shing02、S-WORD、輪入道、川畑要、妄走族、Mummy-D
(RHYMESTER)、SKY-HIの出演が決定している。アルバムの中で展開した異色のコラボを生披露するとあって豪華なステージが期待できそうだ。

音楽ナタリーではこのライブを前に、出演者のDJ Deckstream、DEN(ex. 妄走族 / GAS CRACKERZ)、JAZEE MINOR、輪入道による座談会を実施。新鮮な顔ぶれの4人で、アルバム参加曲について、ライブ本番について、各々のアーティスト性について意見を交わした。

取材・文 / 鳴田麻未 撮影 / 小原啓樹

接点なさそうな組み合わせでお願いした

──人によってはかなり意外な顔ぶれだと感じると思うんですが、この4人で会って話すことってあるんですか?

DJ Deckstream

DJ Deckstream この4人ではないね。ここ(DeckstreamとDEN)は交流あるよね。

DEN そうだね。輪入とJAZEE MINORは知り合い?

JAZEE MINOR あ、はい。昔から知ってるよね。

輪入道 地元が一緒なんで。初めて会ったときは、たぶん俺18歳ぐらいでしたね。

Deckstream へえー、ちょっと意外。今回、一応俺が(座談会の)メンツ選んだんだけど、接点なさそうな組み合わせでお願いしたんだよね。個人間のつながりが一部あって一部ないっていうのが面白いかなと。

輪入道 あ、そうだったんですね(笑)。

──というわけで今回はアルバム「DRESS CODE」という共通のアイテムを切り口に、作品の話、リリース記念ライブの話、それぞれのアーティスト性の話などができればと思います。まずはDeckstreamさん、昨年12月に「DRESS CODE」をリリースして反響はどうでしたか?

Deckstream はたから見てると僕に邦楽ってイメージがあんまりないのか、「日本語ラップだけの盤を作ると思わなかった」みたいな声は聞きました。前にEPIC(レコードジャパン)から「DECKSTREAM.JP」っていう邦楽アーティストが参加したアルバムも出してるんですけど、それは歌モノが多かったので「そんなに日本語ラップの人たちの知り合いがいると思わなかった」とか。

DEN ははは(笑)。俺も聴いたけど、すげえいい曲が多くて。輪入の曲もJAZEEの曲も。その土台にあるDeckくんのビートもまあヤバくて。やっぱりラッパーの色がバラけててもプロデューサーが一貫してると統一感が出るっつうか。通して聴いてまた頭に戻りたくなるアルバムだよね。何度も聴きましたよ、俺は。

輪入道 自分も、いちリスナーとして地元の友達と車で聴いたりするんですけど、全然飽きないですね。いろんなアプローチが盛り込まれてるから。俺はWATTさんの曲のトラックが一番好みで、ラップの乗せ方も超カッケーなって。すげえ、カッコいいっす。ボキャブラリーないっすけど(笑)。

Deckstream WATTくんに「輪入道が『俺のほうがもっとバッチリハメれる』みたいなこと言ってたよ」って伝えとくよ。

輪入道 えええ! 俺、面識ないんでちょっとやめてもらっていいですか(笑)。

──そんなふうに日本語ラップ界の中でも異なる畑のラッパーたちが集まってるんですよね。盟友で固めたわけではなく、この人とこの人が1枚のアルバムに入ってるなんて!という驚きと贅沢さがあります。

左からJAZEE MINOR、DEN。

JAZEE MINOR まさにそうですね。この話をいただいて、ほかのラインナップを見せてもらったとき、いちリスナーとして「え、D.OとSEAMO?」って。「あり得ないっしょ、DJ Deckstreamの力技だなこれは」って思ったし、すごいパワーを感じたんですよね。ただ、文字で見るとドーンってインパクトが強いんだけど、聴いてみたらうまく調和してるというか、バランスが取れてるというか。実はすっげえ計算された上でこういうラインナップになったのかなとも思いました。すごい勉強になったし、そのラインナップの中に自分の名前があるのはすごくうれしかったですね。

──Deckさんは今作を作るとき、ラッパーで固めつつもこういう新鮮な組み合わせをっていうところまで考えていたんですか?

Deckstream “○○の垣根を越えたコラボ”みたいな謳い文句ってよくあるじゃないですか。それって別に、ロックの人とコラボとか、EDMの人とコラボとか、そこまでしなくても日本語ラップといえどいろんなスタイルの人がいるから、日本語ラップの中だけでもけっこう垣根は壊せるのかなっていう思いがあったんですよね。あとは声質的にこの人とこの人合うかなあとか、この2人は絶対組まなそうだけどやったら面白そうだなとか思いながらフィーチャリングを考えて。でもまあ嫌がられたら嫌がられたで終わってた話だし、面白がってくれる人たちが集まって、こんな感じになりました。

──JAZEEさんも話を聞いて面白がった1人ってことですね。

JAZEE MINOR そうですね。なんかこの祭りには参加しないと、みたいな。

──そもそもDeckさんが「このラッパーいいな」と思うポイントって?

Deckstream やっぱり声とフロウですかね。声がいい人もいれば、乗せ方が面白い人もいたり、リリックに独特の世界観のある人もいたり、それぞれよさは違うんですけど。

──3人はその条件を満たしていたと。

Deckstream 輪入道さんとか、すべてを兼ね備えてるので……(笑)。

輪入道 絶対そんなんじゃないです(笑)。ありがとうございます。

LIVE DRESS CODE

2015年5月9日(土)東京都 LIQUIDROOM
OPEN 18:00 / START 19:00

<出演者>
DJ Deckstream / D.O / JAZEE MINOR / 漢 a.k.a. GAMI / Minami(CREAM) / 大神:OHGA / RINO LATINA II / SEAMO / TAKUMA THE GREAT / WATT a.k.a. ヨッテルブッテル / YURIKA / NIPPS / Shing02 / S-WORD / 輪入道 / 川畑要 / 妄走族 / Mummy-D (RHYMESTER) / SKY-HI

料金:オールスタンディング 4500円(1ドリンク別)
INFO:ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999(平日12:00~18:00)

DJ Deckstream ニューアルバム「DRESS CODE」/ 2014年12月10日発売 / 2500円 / Sepera / XQBZ-1036
DJ Deckstream ニューアルバム「DRESS CODE」
収録曲
  1. Young World feat. VERBAL(m-flo) & Shing02
  2. SEASON4 feat. S-WORD & RINO LATINA II
  3. You Only Live Once feat. 漢 a.k.a. GAMI & 輪入道
  4. 見えないけどRZ feat. 妄走族
  5. Most Beautiful In The World feat. SEAMO & D.O
  6. Stay Ready feat. JAZEE MINOR & Minami(CREAM)
  7. Time Capsule feat. NIPPS & YURIKA
  8. Far East Movement feat. RINO LATINA II & SKY-HI
  9. 夜とその先 feat. WATT a.k.a. ヨッテルブッテル
  10. Stormy feat. Mummy-D(Rhymester) & RYUZO
  11. Minority Rules feat. Arkitec & 大神
  12. Walk With Me feat. Takuma The Great
DJ Deckstream(ディージェイデックストリーム)

DJ、トラックメーカー。1990年代後半からアンダーグラウンドのヒップホップシーンにて活動を開始。2001年、m-floのリミックスをきっかけに注目を集め、2007年10月に1stフルアルバム「Sound Tracks」、2009年2月に2ndアルバム「Sound Tracks2」を発表。独特のサウンドメイキングが大きな話題となり、外資系CDショップを中心に爆発的な売上を記録する。また「Rahze」名義でダンスアルバムを制作し、レーベル「Sepera」を立ち上げ自身のプロデュース作品をリリースするなど、精力的に音楽活動を展開している。2014年12月にはSeperaからアルバム「DRESS CODE」をリリースした。

DEN(デン)(ex. 妄走族 / GAS CRACKERZ)

1998年に結成され、2015年2月に解散したヒップホップユニット・妄走族のMC。サウンドプロデュースチームGAS CRACKERZのメンバーでもある。東京・渋谷で生まれ育ち、妄走族として2000年にユニバーサルミュージックよりメジャーデビュー。GAS CRACKERZ名義でも2002年にメジャーデビューを果たす。ソロでは2006年と2010年にアルバムをリリースしているほか、ラジオのパーソナリティや雑誌連載などで多才ぶりを発揮してきた。人気イベント「A+」の仕掛け人でもあり、レーベル「LEGENDARY inc.」のCEOとしてもヒップホップシーンの底上げを続けている。GAS CRACKERZ名義で4月20日から10日間限定フリーダウンロード配信にて新曲「妄 FOREVER」を発表した。

JAZEE MINOR(ジャジーマイナー)

東京生まれ、千葉育ちのヒップホップアーティスト。高校時代に音楽活動を開始し、卒業後に単身渡米。ニューヨークにあるオープンマイクのメッカ、Nuyorican Poets Cafeにて日本語でパフォーマンスし、レギュラーイベント出演を勝ち取る。帰国後、楽曲のクオリティやライブパフォーマンスで評判を集め、ANARCHY、R指定、DAG FORCE、SKY-HI、SALU、サイプレス上野、DJ HAZIMEなど国内ヒップホップシーンを代表する数々のアーティストとコラボし、幾多のクラシックを生むフィーチャリングキングとして名を馳せる。シングルカットされた「"100" feat. AKLO」は2014年を代表するヒップホップアンセムの1つとなる。2014年8月に1stアルバム「Black Cranberry」をリリースし、シンガーとラッパーの二刀流というスタイルを確立した。

輪入道(ワニュウドウ)

1990年東京生まれのラッパー。千葉の埋立地で育つ。アーティスト名の由来は、石ころをダイヤに変えてみたかったから。2007年頃に単独で活動開始。17歳の夏休みに千葉・CLUB BELTの「REPRESENT MC BATTLE」に出場し、ラップを始めてわずか4カ月にして優勝賞金20万円を手にする。18歳のときには渋谷を中心に関東各地のクラブイベントに出演し、年間合計131本におよぶライブショーケースをフリースタイルで歌い上げ、活動の幅を広げていく。その後も2011年度「UMB」千葉予選優勝や2013年度「罵倒」下町予選優勝など、日本語のMCバトルやフリースタイルに関してオーディエンスから高い評価を得ている。2013年に1stアルバム「片割れ」をリリース。