ナタリー PowerPush - DIR EN GREY
バンドの完全復活を示す意欲作「輪郭」
リミックスは畑が違う人がやるからこそ面白い
──今回のシングルにはカップリングに「輪郭」のリミックスが収録されています。山岡晃さんというゲームや映画畑の人がリミックスを手がけていますが、どうして山岡さんにリミックスをお願いすることになったんですか?
薫 今回のシングルにリミックスを入れることが決まったとき、こういうリミックスをやったことがないイメージの人にお願いしようということになったんです。よくリミックスをやってる人にお願いするとなんとなく聴く前から音が想像できてしまうし。山岡さんとは以前から知り合いで、何度かライブも観てもらったことがあったし、とても個性的な人なのでちょっとお願いしてみようかと声をかけてみたら「絶対にやりたい」と言ってくれて。
──事前に何か伝えたり、打ち合わせはしましたか?
薫 いや、何も。
──じゃあ本当に自由にリミックスしてもらったんですね。そして完成したリミックスは原曲とは異なる、まるで映画のサントラを聴いてるかのようなサウンドに生まれ変わってますが、聴いてみた感想は?
薫 メロディはしっかり残しつつ、その聴かせ方を変えるだけでこうも変わるんだなと。サウンドもホラーゲームっぽくて、「わっ!」って驚かすんじゃなくて淡々と進んでいく中で迫ってくる恐怖感が表現されていて。ちょっとずつ近付いてくる足音だったり、そういう雰囲気が演出されながらも、メロディだけは淡々と流れている。そういうリミックスはやっぱり畑が違う人がやるからこそ面白いのかなと思いますね。
──メロディだけを残して別の曲を組み立てる感じは、リミックスというよりも再構築と呼んだほうが合ってるかもしれませんね。DIR EN GREYとしては過去にもシングルにリミックスを収録していますが、皆さんはリミックスに対して何かこだわりは持っているんですか?
薫 いや……特にないですね。
Die 自分がやる場合と人にやってもらう場合でちょっと違ってくるだろうし。
──やっぱり人にお願いするからには自分の中にない発想を求めるわけですか。
薫 求めるっていうか、頼んだ以上もう全てを委ねるみたいな。
──じゃあできあがったリミックスに対して「ちょっと違うな」と思うことは?
Die 「ちょっとこれ、あかんなあ」っていうんやったらあるんやけど、それ以前にそういう人には頼まないと思うんで。
ジャケットも含めて3曲で自分たちの世界観を表現
──カップリングにはさらに、初期の楽曲「霧と繭」を再レコーディングしたバージョンが収録されていますが、これはすごく意外な選曲だと思いました。
Die 過去の楽曲のリアレンジはここ数年よくやってきたことなんですけど、この「霧と繭」はその候補になかなか挙がってこなかった曲で。かなり昔の曲だったので考えてもいなかったんですけど、この曲が挙がったときは「あ、そこがあったか」って思いました。今思うとそれくらいのインパクトが必要だったのかもしれないですね。
──ちなみにこの曲を候補に選んだのは誰だったんですか?
薫 京ですね。何曲か挙げた候補の中にあって、正直「あ、それか」みたいに思ったんですけど、ちょっと頭の中で再構築をイメージしたらなんかやれるんちゃうかなと思って。そこから軽くたたき台を作って、それをみんなに聴いてもらってからプリプロするか判断しようということになったんです。で、聴いてもらったら「いけるかも」って感じだったんで、じゃあプリプロしようと。
──じゃあ本当に予想外の曲だったと。
Die うん。普通に考えたら多分ピックアップしないかもしれないですね。
──京さんも「輪郭」とは真逆に、スクリームしまくってますし。
薫 そういう意味ではシングルに3曲並んでいる中で、ほかの2曲といいコントラストが取れてるかな。シングルはアルバムと比べれば曲数が少ないですけど、ひとつの作品としてはジャケットも含めて3曲で自分らの世界観をしっかり表現できていると思います。
まあ……何かやりますよ(笑)
──ライブを休んでる間も皆さん曲作りを続けていたという話は、前回のインタビューで薫さんから聞いていましたが、この「輪郭」以外にも新曲ができつつあるということなんでしょうか?
Die まあ作ってはいますけど、まだどうなるかは全然わからないですね。
──今後のリリースについては何も決まってない?
薫 話せることは何もないんで……。
──何もないんですか(笑)。
薫 何もないんですけど、まあ……何かやりますよ(笑)。
──でもライブ活動再開を発表してから、シングル「輪郭」のリリースや2013年1月のショートツアーなど、徐々に活動ペースが上がってきてる気がするんですが。
薫 ライブ自体はその今年の1月から9カ月くらい空いてたんですけど、その間は地下ですごい動いてたというか。休んでた感覚もほとんどないくらい忙しくて、今年の夏もずっと制作してたので。今も1月のライブに向けて絶賛準備中なので、まあ……いろいろありますよ(笑)。
DIR EN GREY - 輪郭 (RINKAKU)
- ニューシングル「輪郭」/ 2012年12月19日発売 / FIREWALL DIVISION
- 「輪郭」初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / SFCD-0109/110
- 「輪郭」通常盤 [CD] 1260円 / SFCD-0111
- 「輪郭」完全受注生産限定盤 [CD+DVD] 4725円 / SFCD-0107/108
CD収録曲
- 輪郭
- 霧と繭
- 輪郭 Eternal Slumber Mix(Remixed by Akira Yamaoka)
初回限定盤 DVD収録内容
- 輪郭(Scenes From Recording)
完全受注生産限定盤 DVD収録内容
- AMON
- LOTUS
- OBSCURE
- 流転の塔
- 暁
- 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
- THE BLOSSOMING BEELZEBUB
- mazohyst of decadence
- 蜜と唾
- 「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨
- DIFFERENT SENSE
- DECAYED CROW
- 輪郭(Scenes From Recording)
DIR EN GREY TOUR2012 IN SITU
- 2012年12月25日(火)東京都 東京国際フォーラム ホールA
OPEN 18:15 / START 19:00
※チケット完売
TOUR2013 IN SITU -The Depiction of Reality-
- 2013年1月26日(土)愛知県 Zepp Nagoya
OPEN 18:15 / START 19:00
※「a knot」会員&「DIR EN GREY ONLINE」有料会員限定ライブ - 2013年1月27日(日)大阪府 堂島リバーフォーラム
OPEN 18:15 / START 19:00
※「a knot」会員&「DIR EN GREY ONLINE」有料会員限定ライブ - 2013年1月31日(木)東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 18:15 / START 19:00
※「STUDIO COAST 10th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE」の一環として開催。 - 2013年2月1日(金)東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 18:15 / START 19:00
※「a knot」会員&「DIR EN GREY ONLINE」有料会員限定ライブ - 料金 5700円
※1月31日(木)新木場STUDIO COAST公演のみドリンク代が別途必要。
rockin'on presents COUNTDOWN JAPAN 12/13
- 2012年12月29日(土)千葉県 幕張メッセ国際展示場1~8ホール / イベントホール
OPEN 12:00 / START 13:00 / END 21:30
DIR EN GREY (でぃるあんぐれい)
京(Vo)、薫(G)、Die(G)、Toshiya(B)、Shinya(Dr)からなる5人組バンド。1997年に現メンバーが揃い「人間の弱さ、あさはかさ、エゴが原因で引き起こす現象により、人々が受けるさまざまな心の痛みを世に広める」という意志の元に結成。ミクスチャー/ヘヴィロック的な要素をゴシック的な様式美の中で表現する世界観が評価され、日本のみならず海外でも大ブレイク。2002年にアジアツアーを成功させたのを機に、アメリカ、ヨーロッパ各国にも進出し、熱狂的なファンを多数獲得する。2008年にアルバム「UROBOROS」を世界16カ国で同時期にリリース。同作はアメリカのBillboard Top 200で114位、インディーズアルバムチャートBillboard "TOP INDEPENDENT ALBUMS"で9位、新人アーティストを対象としたチャートBillboard "Heatseekers Chart"で1位という快挙を達成する。その後、2008年末から2010年にかけて「UROBOROS」を携えたライブツアーを国内外で展開。2010年1月に日本武道館公演を2日間にわたり開催し、ロングツアーを締めくくった。2011年8月には約3年ぶりのアルバム「DUM SPIRO SPERO」をリリース。発売直後からヨーロッパや北米、中南米などで海外ツアーも行った。2012年1月には大阪城ホールで「UROBOROS -that's where the truth is-」と題した一夜限りのライブを敢行。しかし2月からは京の声帯不調を理由に表立った活動を休止していたが、10月よりライブ活動を再開。同年12月にはニューシングル「輪郭」を発売する。