ナタリー PowerPush - DIR EN GREY

「UROBOROS」を経て向かう新たな地平 14カ月ぶり新作ついに登場

DIR EN GREYがニューシングル「LOTUS」を1月26日にリリースする。衝撃的なビデオクリップで話題を集めた前作「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」から約14カ月ぶりに発表される本作。タイトル曲はスクリームやグロウルを排除したメロディアスなミディアムナンバーで、カップリングには人気曲「OBSCURE」の新録バージョンと「冷血なりせば」のライブ音源を収録。3曲ともミキシングとマスタリングに海外の著名エンジニアを迎えており、よりダイナミックなサウンドを楽しむことができる。

今回ナタリーでは、メンバーの薫(G)にインタビューを実施。ニューシングルについての話題はもちろんのこと、アルバム「UROBOROS」(2008年11月発売)のツアーを終えバンドがたどり着いた現在の状態、さらには今年リリースが予定されているニューアルバムについてなど、興味深い話をじっくり訊いた。

取材・文/西廣智一

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「UROBOROS」という縛りがなくなって自由にやれる

──昨年秋と今年の頭にDIR EN GREYのライブを観たときに、昨年1月の日本武道館公演の頃と比較すると、ちょっとバンドの印象が変わったなと思ったんです。音自体が全体に太くなった気がしたのと、ステージ上のみなさんから余裕というか楽しんでいるような雰囲気が感じられて。何か心境の変化があったんでしょうか?

ライブ写真

「UROBOROS」という縛りがなくなって、自由にやれてるっていうことの表れなんじゃないかな。武道館公演が終わってからいろいろと可能性を探っていこうっていう感じで、わりとフラットな状態で曲作りを始めて。そういう中でツアーが始まったので、精神的には以前より自由だったというか、さっき言われたように余裕があったと思うんです。あとは、やり慣れてる曲でライブが構成されてたんで、ちょっと肩の力が抜けた状態になれたのは確かですね。

──アルバムを披露するツアーとは違って、純粋にライブをすることが楽しめたと。

そういうことです。

──昨年10月には4年ぶりに「LOUD PARK」に出演しましたが、前回とは観客の反応が違ったという声をよく耳にしました。そういう、状況が変わったという手応えは実際に感じましたか?

とにかくもう、やってる自分らが一番びっくりしたというか。直前までは4年前みたいな、割と寒い反応なんやろなっていう感じでステージに立とうとしてたんで、すごく驚きましたね。今回はお客さんに助けられた部分も多いし、自分らのライブをより展開しやすくなったし、だから手応えというよりは……ちょっと居場所があったというか。今後につながるライブにはなったなと思います。

──4年前に出演した頃って、DIR EN GREYが海外での活動を積極的に始めたくらいのタイミングで、いわゆる海外のロックを聴いてる人たちへの知名度や認識もそこまで高くはなかったと思うんです。でも近年の活動の成果が、「LOUD PARK」の観客の反応からも透けて見えた気がしました。

そうなんでしょうかね。あと、うちのワンマンライブのチケットが取りにくいという問題があるんで、ああいうイベントだと観にきやすいというのもあるし。もちろん話をもらえないとできないですけど、今後もたまには出たいなと思います。

「LOTUS」はすごくアレンジのしがいがある曲

──新曲の話を伺いたいんですけど、いつ頃から録り始めたんですか?

去年の、本当に1年前ぐらいですかね。武道館が終わった直後から準備に入って、2月ぐらいにちょっと合わし始めてっていう感じで。

──それはシングルというよりは、次のアルバムに向けての制作ですか?

そうです。

──この曲は年末年始のツアーでも演奏されてましたが、最初に聴いたときに音が太いけど音の隙間の部分が効果的に出てる曲だなと感じて。そこは今までの、同じようなラウドでメロディアスな曲とはちょっと印象が違うなと思ったんです。

すごくアレンジのしがいがある曲というか、いろんな方向に進んでいける曲なんですよね。うちの場合って、どういう感じに聴かせるかっていうところで、もっといろんなサウンドが欲しくなってくるタイプで。波がすごく大事というか、上がるところと下がるところ、押し引きを気持ち良く聴かせていかないとせっかくのメロディも良い感じに聴こえてこないので、そういう意味では間をすごく意識して作りましたね。あと、今まではどんな状況でもギターがしっかり聴こえるっていうミックスが多かったんですけど、今回は引っ込めるところは本当になんとなくギターが鳴ってるようなミックスなので、音の押し引きがより見えやすいのかなと思います。

ライブ写真

──楽器ひとつひとつが主張して、ぶつかり合って一丸となる感じとは違って、今回は例えばギターが曲の世界観を作るための、演出の道具みたいに後ろで鳴っている印象もあります。

そうなっていたらうれしいですね。

──曲自体もすごくコンパクトですが、そのへんも意識しましたか?

なるべく無駄な部分はないよう、そこは意識してます。うちの場合、わりと最初の段階でいろんなアイデアをぶちこんでいくので、最終的によくわかんなくなってくるんですよ。それを良い感じでまとめあげられると「さぁ、じゃあ録ろうか」っていう段階になるんです。

ニューシングル「LOTUS」 / 2011年1月26日発売 / FIREWALL DIVISION

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 1890円(税込) / SFCD-0078~79 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 1260円(税込) / SFCD-0080 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. LOTUS
  2. OBSCURE
  3. 冷血なりせば~Live take at SHINKIBA STUDIO COAST on July 20, 2010~
DVD収録内容 ※初回生産限定盤のみ

“THE UNWAVERING FACT OF TOMORROW TOUR2010”2010.07.21 SHINKIBA STUDIO COAST

  • LIE BURIED WITH A VENGEANCE
  • 逆上堪能ケロイドミルク
DIR EN GREY(でぃるあんぐれい)

京(Vo)、薫(G)、Die(G)、Toshiya(B)、Shinya(Dr)から成る5人組バンド。1997年に現メンバーが揃い「人間の弱さ、あさはかさ、エゴが原因で引き起こす現象により、人々が受けるさまざまな心の痛みを世に広める」という意志の元に結成。ミクスチャー/ヘヴィロック的な要素をゴシック的な様式美の中で表現する世界観が評価され、日本のみならず海外でも大ブレイク。2002年にアジアツアーを成功させたのを機に、アメリカ、ヨーロッパ各国にも進出し、熱狂的なファンを多数獲得する。2008年にアルバム「UROBOROS」を世界16カ国で同時期にリリース。同作はアメリカのBillboard Top 200で114位、インディーズアルバムチャートBillboard “TOP INDEPENDENT ALBUMS”で9位、新人アーティストを対象としたチャートBillboard “Heatseekers Chart”で1位という快挙を達成する。その後、2008年末から2010年にかけて「UROBOROS」を携えたライブツアーを国内外で展開。2010年1月に日本武道館公演を2日間にわたり開催し、ロングツアーを締めくくった。

オフィシャルモバイルサイト DIR EN GREY ONLINE