8人組の声優アーティストユニット・DIALOGUE+の3rdフルアルバム「DIALOGUE+3」がリリースされた。
「DIALOGUE+3」は、サウンドプロデューサーを務める田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)の「一度DIALOGUE+の音楽を完成させる」という宣言のもと、過去2枚のアルバムの流れを継承しつつ、ポップスに主軸に置いた楽曲で構成された“声優音楽の最新形態”。これまでもDIALOGUE+の楽曲制作に携わってきたクリエイターに加え、星銀乃丈、照井順政(siraph、ハイスイノナサ)、Neko Hackerが作家陣に加わり、ひと味違ったエッセンスでアルバムを彩っている。
音楽ナタリーではアルバムの発売に先駆け、DIALOGUE+と近い関係のミュージシャンや、DIALOGUE+ファンを公言している著名人に収録曲の試聴を依頼。黒須克彦、木島(ハンブレッダーズ)、中村繪里子、根本凪、堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)、宮野弦士、森保まどか、吉田尚記に新曲8曲を1曲ずつレビューしてもらった。さらに本企画では、参加者8人がDIALOGUE+の過去曲の中からお気に入りの1曲をピックアップ。プロデューサーの田淵に、コメント参加者がセレクトした過去曲と新曲8曲を混ぜ合わせたプレイリストを作ってもらった。
構成 / 近藤隼人
黒須克彦(DIALOGUE+バンドメンバー)
「DIALOGUE+3」新曲レビュー
「FU-TSU-TSU-KA I love you」
[作詞・作曲:田淵智也 / 編曲:Akki]
DIALOGUE+楽曲にあるいくつかのタイプの中の「アップテンポだけど優しい」路線の楽曲ですね。
以前からこのタイプの楽曲はいくつかありましたが、
このテンポ感の中で熱くなり過ぎず、アグレッシブになり過ぎずに、
優しさを表現する歌のニュアンスもこれまで以上に感じました。
今からライブでどのように演奏しようかと画策中です。
DIALOGUE+のお気に入り曲
「パジャマdeパーティー」
(ミニアルバム「DREAMY-LOGUE」収録曲)
[作詞:三森すずこ / 作曲:田淵智也 / 編曲:園田健太郎]
アップテンポのスウィング曲は個人的に好きなので。
ライブで弾いていても楽しいですね。忙しいですけど笑
プロフィール
黒須克彦(クロスカツヒコ)
作曲家、編曲家、ベーシスト。2015年に畑亜貴、田代智一、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)とともにプロデュースチーム・Q-MHzを結成した。DIALOGUE+の楽曲のライブにバンドメンバーとして参加している。
木島(ハンブレッダーズ)
「DIALOGUE+3」新曲レビュー
「流星群の向こうで」
[作詞・作曲:田淵智也 / 編曲:広川恵一(MONACA)]
13曲通して聴いた時の圧倒的フィナーレ感。加えてこの先何年経っても色褪せない、DIALOGUE+にとって決意表明のような曲になっていると感じました。その理由には“ログっ子への感謝”がテーマにあると、いちファンとして思います。
僕自身、2021年のツアーからほぼ全部のライブを会場や映像で拝見してきました。これだけ観たい・追いかけたいと思わせてくれたのも、ファンを信じて走ってきたDIALOGUE+チームの愛だと思います。そのアンサーが彼女たちの歌声からもビシビシと伝わってきました。結成5周年を迎えたことも一つにあるのかもしれません。
1Aの歌詞にある「定期的に足跡をたどれるように音楽が生まれた」。刹那的なものだったとしても積み重ねていくことで過去を辿れる足跡になり、それを繋ぐことで樹形図のように無数のストーリーが生まれます。僕の勝手な想像ですが、この曲は「僕らは素敵だ」のアンサーソングにも思えました。メンバーのことを誰よりも一番考えている田淵さんだからこそ、特にサビの歌詞からはその軌跡を感じとれ、成長した今を等身大で丁寧に描いている気がしています。
また「新しい未来」「今よりちょっと先で」「またね!」といった歌詞からも足跡は未来にも向けられていることが感じられ、DIALOGUE+の物語に期待が高まるばかりです。そして最後の意味深なブレス。この後に紡ぎ出されるものは、言葉なのか、ライブでの演出なのか、はたまた未来に生まれる楽曲なのか。本当に楽しみが尽きません。
改めてアルバムリリースおめでとうございます。
DIALOGUE+のお気に入り曲
「デネブとスピカ」
(7thシングル表題曲)
[作詞・作曲:田淵智也 / 編曲:堀江晶太]
初めて聴いたのは「DIALOGUE+BOX vol. 33」で「継母の連れ子が元カノだった」のアニメPVが解禁されたときです。キャラクターの台詞の後ろで流れていても歌詞とメロディーが圧倒的に輝いており、勝手ながらDIALOGUE+の代表曲の一つになるに違いない!とその一瞬で思いました。
なかでも1サビの「僕たちはデネブとスピカの平行線上で ちぐはぐな恋をしてる」という歌詞にやられました。こんなにも想像力を掻き立てられて景色が見える美しい恋愛表現があるんだと。そこに乗る8人の歌声も素晴らしいです。
他にも2サビの「ジュリエットとロミオ」「イブとアダム」と一般的な言い方とは逆の表現をしたり、2Aから間奏を挟んで2Bへと楽曲の展開で高揚感を生み出したりする、田淵さん節が全開なのも推しポイントです。
またこの曲には一つストーリーがあります。リリース前にメンバーが一時活動休止となり8人揃って曲を披露することは当分ありませんでした。もう完成形は見れないのかも……と不安があるなか、それでも歩むことを止めずに続けて、ついに8人集まった「Zepp Tour 2023 Longitude」公演の最後の曲が「デネブとスピカ」。その完成したパズルを見て僕は大号泣しました。この曲に詰まったDIALOGUE+の物語はファンとして一生忘れられません。おすすめのアニソンは?と聞かれたら真っ先に挙げるぐらい大好きな曲です。
プロフィール
木島(キジマ)
2009年に結成されたロックバンド・ハンブレッダーズのドラム担当。2020年2月に1stフルアルバム「ユースレスマシン」でメジャーデビュー。2024年10月に初の東京・日本武道館でのワンマンライブを行う。アニメやアニソン好きとしても知られる。
中村繪里子
「DIALOGUE+3」新曲レビュー
「たびのとちゅ」
[作詞:古屋真 / 作曲・編曲:星銀乃丈]
なんということだろう。わたしは4曲めを聴いているのか??
もしやなにかちょっと時空がねじれて12くらいまでとんでないか?とんでないな。
と、何度聴いても最初の2小節でかるく心地良く混乱する。
ライブパフォでDIALOGUE+を摂取してきた経験から
咄嗟にアルバムトラックNo.をセトリ順と混同してしまうようだ。
彼女たちのフルライブステージ4曲めでこの曲はこないだろうから(きたらきたで手放しで喜び放心する)。
そういった発見ができるのも
アルバムならではの良さである。
それにしても。
随所にちりばめられる韻踏み、過去作へのオマージュ、巧みな比喩表現……
極めつけ
「宵っパリーピーポー」ってなんなんだ!!!
どんな言語センスだ、こわいな!
こんな急角度ノンブレーキノン助走でしれっと来られたら
“駄”洒落なのにお洒落になっちゃうよ、すごいな!
作詞家・古屋真氏の胆力に震えます。
そして、このギリギリでお洒落になっちゃった「宵っパリーピーポー」付近に
これほど湿り気のあるコードをのせるなんて。
いったいどういうおつもりか。
作編曲家・星銀乃丈氏の耳の中身を覗いてみたい。
(できたらいつかこの曲についておふたりのお話をききたいので、焚き火とマシュマロとココア、準備しておきます!)
そうだ、焚き火だ、
「焚き火」のフレーズからはじまるこの曲、
後半へ行けばゆくほど
炎がゆらめいて静かに温度をあげてゆくように、
同じフレーズの繰り返しと思わせておきながら
ボーカルの息の量がしぜんに膨らむようにメロディラインが気持ちよく上昇してゆく。
炎を絶やさず空気を送り込むが如く。
ニクイですよね、ほんと。
「『そろそろ寝ますか』って あくび出ない」の“出”の音
これセルフテイクですか?
ディレクション有りですか?
どちらにしても、全方位天才集団ですね!!!!!
このテイクチョイスした方とも一晩中マシュマロを焼きたいです。
いや、ほんと。正直ちっとも書き足りないのですが。
あんまり鼻息荒いのがバレてDIALOGUE+出禁になってもかなしいので
今日はこのくらいで失礼します。
きっとまだまだ たびのとちゅ の彼女たちの音楽に
これからも勝手に寄り添えますように。
追伸:ライブ差し入れは、ココアでいかが?
DIALOGUE+のお気に入り曲
「シャーベットマーメイド」
(7thシングル「デネブとスピカ」収録曲)
[作詞:やぎぬまかな / 作曲・編曲:伊藤翼]
聴いたことのないDIALOGUE+の低温度を表現した一曲。
ひらききらない唇
とじきらない瞳
あがりきらない体温
そのどれもが“中途半端”ではなく、“新しい表現方法を体得した彼女たち”として
聴かせることができるのは、紛れもない進化である
この曲に感じる独特の空気感は
ガラス一枚隔てた向こう側に彼女たちが居るからだ。
まるで水槽に入ったマーメイドさながら。
水の中を漂う空気は泡となって見えるのに触れられない。
歌声が冷たければ冷たいほど、
その代わりと言わんばかりに情熱的に語りかけてくる楽器構成もおもしろい。
(2Aの泡沫を表現したかのようなシンセも好きです)
ライブパフォとなると、がぜん楽曲の色も温度も変わる度合いがエグくて
病みつきになる曲です。
プロフィール
中村繪里子(ナカムラエリコ)
声優、ラジオパーソナリティ、アニソンDJ。「THE IDOLM@STER」のメインヒロイン・天海春香役でデビュー。同時にラジオパーソナリティ業もスタートさせた。独特の言語センスを持って“良い”と思ったものを発信している。アニソンDJもその1つ。
根本凪
「DIALOGUE+3」新曲レビュー
「わたしたちのラプソディー」
[作詞:大胡田なつき / 作曲:瀬名航(SOVA) / 編曲:中山真斗]
オーケストラ調のインパクトのある楽曲! ラプソティ・イン・ブルー×アイドルってとても新しくて発想がすごい!! 次々と拍子が変わるのもオーケストラの良さとアイドル楽曲の良さが合わさってトリッキーかつ馴染んでいて、DIALOGUE+さんの表現力がすごく活きている素敵な楽曲だと思いました!! 歌詞も前向きで元気が出るので、外を歩く時たくさん聴きたいと思います!
DIALOGUE+のお気に入り曲
「プライベイト」
(1stアルバム「DIALOGUE+1」収録曲)
[作詞:大胡田なつき / 作曲・編曲:睦月周平]
とにかく大好き! どこにいてもリラックスできる可愛らしい楽曲です! 私はお風呂に入りながら飲み物を飲みつつスピーカーで聴くのが大好きです。チルアウト……という気持ちになります。ゆったりした曲調なのでメンバーさんの歌声がじっくり楽しめます! 「ひとりの時間があってだからこそ楽しいんじゃない」という歌詞が大好き! 可愛いラップにも注目です!
プロフィール
根本凪(ネモトナギ)
2022年4月に虹のコンキスタドール、でんぱ組.incを卒業し、Vtuberとしての活動を開始。バーチャルとリアルの両方の姿でシンガーとして活動しながら、グラビア、イラスト、衣装デザイン、作詞など多方面で活躍している。2024年7月より清 竜人25の第103夫人・清凪としても活動中。