DEVIL NO ID|“MV監督”市原隼人から見たDevillmaticな3人

DEVIL NO IDが1stフルアルバム「Devillmatic」を3月6日にリリースした。TeddyLoidが楽曲提供&サウンドプロデュースを手がけたデビュー曲「EVE -革命前夜-」やMonster Rionがサウンドプロデュースした3rdシングル収録曲「まよいのもり」、上田剛士(AA=)が作曲、KEN THE 390がラップ詞を手がけた「BEAUTIFUL BEAST」などを収録した「Devillmatic」。本作にはさらに上田やTeddyLoidといったこれまで彼女たちの楽曲に関わってきたクリエイターが参加した新曲や、ライブでの人気曲「RSG」なども収められ、彼女たちのさまざまな表情を楽しめる1枚に仕上がっている。

アルバムの作家陣からもわかる通り、彼女たちはさまざまなクリエイターを惹き付ける魅力を持つ。その1人が、俳優の市原隼人だ。彼は俳優として活躍するかたわら、映像監督としての一面も持っており、昨年10月にリリースされたDEVIL NO IDの4thシングル「BEAUTIFUL BEAST」では初のミュージックビデオ制作を行っている。音楽ナタリーでは「Devillmatic」のリリースを記念し、市原にインタビューを実施。DEVIL NO IDの魅力や、彼が監督を務めたリード曲「サバイバー」のミュージックビデオ撮影にまつわるエピソードなどを聞いた。後半にはアルバムについてメンバー3人のコメントも掲載しているので併せて楽しんでほしい。

取材・文 / 阿刀“DA”大志 撮影 / 後藤倫人

市原隼人監督インタビュー

“映像監督”市原隼人の始まりは

──市原さんは俳優としてのイメージが強いですが、実はショートフィルムの監督として賞を受賞しているほどの実力派です。いつからご自分で映像を撮るようになったんですか?

自分が俳優としてデビューした頃から面識があるスチールカメラマンがいて、今でもその人のことを自分の父親のように慕っているんですけど、当時はその人の事務所に遊びに行くのが日常になっていたんです。毎日機材を準備して現場に出るのを見送って、帰ってきたら「今日はこんな撮影だったんだよ」「今日の撮影は室内でこうやって作り込んで……」って話を聞いて、夜はその人の奥さんにご飯を作ってもらったり。そういう生活を送っているうちにまず映像に興味が出てきて、18歳の頃に初めて手にしたのがSONYのHVR-Z1Jっていうビデオカメラでした。それを使って地元の友人と「コマーシャルみたいなの作ってみようよ!」って遊びで撮影して、それをファイナルカットで編集しているうちにカメラワークの難しさに気付いて。それで「もっと勉強したい!」と思い動画のスキルを上げるためにスチ―ルカメラを手に取るようになって、写真も好きになっていきました。

──なるほど。

芝居でもなんでもそうですけど、僕は物作りが好きなんです。服も好きなので、靴にスプレーを吹き付けてアレンジしたり、実際に自分で服をデザインしたり。音楽に関してもLogicを使って打ち込みで曲を作ったりしていました。

──どういう音楽が好きなんですか?

市原隼人

小学校の頃はファンクラブに入っていたぐらいB'zが好きで、そのあとにBRAHMANとかハイスタみたいなパンクを聴くようになりました。「ディッキーズ! ハイソックス! VANS! パンク大好き!」みたいな感じで(笑)。そこから今度は、中2の頃に友達の家で遊んでたときに流れていたジブさん(Zeebra)の「Neva Enuff」っていう曲に衝撃を受けたのをきっかけに、ドレ(Dr. Dre)とかスヌープ(Snoop Dogg)とかNasみたいなヒップホップが好きになって、レコードを買うようになりました。レコ屋でジャケ買いしたり、インストを自分でつなげてラップしたり、グラフィティもやってみたり、駅前で踊ってる人たちのところに行って、「すみません! 俺も入れてください!」ってお願いしてブレイクダンスしてみたり(笑)。

──興味の幅が広いし、ハマり方が半端じゃないですね!

ラップって討論みたいなもので普通のポップスよりも言葉が詰まってるし、そこにその人の価値観や生き方が凝縮されているじゃないですか。そういうのを見るのが好きなんです。あとはシンガーソングライターも好きです。作られたカリスマにもよさはあると思うんですけど、チャート1位がいいわけではないし、チャート3位が悪いとも思わないんです。

──おっしゃる通りです。ダンスミュージックに関してはどうですか?

だいたいヒップホップだったので、ハウスとかEDMには全く触れたことがなかったんです。だけど、ニューヨークに行ったときに初めてちゃんと聴いて、「なんだこれは!?」って。

DEVIL NO IDは既に唯一無二のアーティスト

──では、EDMやベースミュージックを取り入れているDEVIL NO IDの音楽はどうでしょう。

まず、(「BEAUTIFUL BEAST」「サバイバー」の作曲およびサウンドプロデュースを務めるAA=)上田(剛士)さんが作る曲がすごいんです! 「どこを感じ取って映像を撮ればいいんだろう?」って悩むぐらい多面性にあふれていて、ハードで圧があって、いつも裏切られる感じ。上田さん以外の方の曲もすごく振り幅があって、それぞれにまったく違う持ち味がある。DEVIL NO IDはすでに唯一無二のアーティストになってると思います。DEVIL NO IDがどんなジャンルかと聞かれたら、「DEVIL NO ID」と答えるしかない。以前、「マイケル・ジャクソンのジャンルって何?」って友達に聞かれたことがあって、「いや、マイケルはマイケルでしょう!」って答えたことがあるんですけど、それと同じようにDEVIL NO IDもDEVIL NO IDなんです。

──ああ、わかりやすい。

あと、写真で例えると、一瞬で飽きてしまう写真とずっと見ていられる写真があるんですけど、DEVIL NO IDは額に入れてずっと見ていられる写真みたいな存在。しかも、メンバーの3人はダンスが飛び抜けてうまい。機会があればぜひライブを観に行ってもらいたいです。そんな彼女たちと一緒に仕事をするのはすごく楽しいです。

──どうして市原さんに彼女たちのミュージックビデオを撮る話が来たんですか?

ご縁ですね。僕がものを作るのが好きっていう話がDEVIL NO IDのチームに伝わったみたいで、「じゃあ、どうですか?」「やります!」っていう。

──でもミュージックビデオの監督というのは市原さんにとって未知の世界なわけじゃないですか。そこに対する戸惑いはなかったんですか?

ワクワク感しかなかったです。孤独で、眠れなくて、大変なことが多いんですけど、なんのためにやってるのかと言ったら、DEVIL NO IDの未来に少しでも華を添えられるようにするため。そういう気持ちをメンバーに少しでも受け取ってもらえたらうれしいということは最初から伝えていました。