Devil ANTHEM.インタビュー|青春を捧げた10年間の“奇跡的な軌跡”がベストアルバムに (2/3)

まだデビアンは新しいことに挑戦できる

──ベストアルバムに収録される新曲3曲についても聞かせてください。まずはアルバムのオープニングを飾る「夜明けの軌跡」から。

あいり 本当にカッコいい曲で、アレンジができあがったあと、佐藤さんと車に乗っていたときにスピーカーで音源を聴いたら泣きそうになりました。今私たちが感じてることが音でも歌詞でも表現されていて、「なんでこんなに私たちのことがわかるの!?」ってムカついてきちゃうくらいでした(笑)。瞳がデビアンに入ってきてから6年が経ちますが、佐藤さんはこの5人のことを本当によく理解しているんだなって。いろんな意味で厚みがある曲ですね。

くるみ 佐藤さんはいつも、その時々の私たちの感情が反映された曲を用意してくれるんです。私も逆張り人間なので(笑)、ムカつくというか、絶対にこの曲のような感情にはならないぞと思っちゃうんですけど、佐藤さんからの愛をすごく感じますね。佐藤さんは前に「まだまだデビアンに新しいことをさせたい」と言っていたことがあって、その思いが「夜明けの軌跡」に詰まっていると思います。結成から10年経っても、まだデビアンは新しいことに挑戦できるんだぞっていう、強い意志みたいなものも感じましたし、デビアンをずっと応援してくれてる人が聴いたらワクワクすると思います。

──デビアンの楽曲はハードなサウンドのダンスミュージックが多い印象ですが、「夜明けの軌跡」はそのイメージとは異なるスタイリッシュかつ壮大な音像です。

くるみ レコーディングのとき、私は落ちサビを悲しげに歌おうと思って準備していたんですけど、スタッフさんに「燃えたぎるような、秘めたる思いを爆発させるような感じで歌ってほしい」と言われて。さらに「この曲をたくさん歌っていったら、もっといろんな歌の表現できるようになるよ」とも言われたので、もっとこの曲を成長させて、完成形にもっていきたいですね。佐藤さんもメンバーもいつも以上に強い思いを込めているはずなので、ファンの方はデビアンの歴史を感じながらぜひ大切に聴いてほしいです。

Devil ANTHEM.

Devil ANTHEM.

──「たとえどんな遠くなっても 時が経っても ずっと褪せないこのストーリー」と歌うサビなど、デビアンが10周年という大きな節目を迎えたことを実感できる歌詞が印象的です。

くるみ この曲を歌いながら、今まで経験したつらかったこと、楽しかったこと、デビアンでやり遂げてうれしかったこと、いろいろな思い出がよみがえってきました。この言い方がふさわしいかわからないですが、10周年のエンドロールのようなイメージがありますね。

侑芽 「ar」や「Blue Youth」(2024年2月発表のメジャー1stアルバムの表題曲)は自分たちに向けた歌だと捉えていたんですけど、「夜明けの軌跡」はファンの皆さんに向けた曲なんじゃないかなと勝手に思っていて。「ここにいたこと 君といたこと そのすべてが奇跡だった」とか「今 伝えたい 心から ありがとう」という歌詞は、ずっと応援してくださっているファンの皆さんに届けたいです。日頃の感謝の気持ちが詰まった楽曲です。この曲を聴いてセンチメンタルな気持ちになっちゃう方もいるかもしれないですが、私は前向きな曲だと思っているので、明るい気持ちで聴いてほしいです。

橋本侑芽

橋本侑芽

──デビアンは12月27日のTOKYO DOME CITY HALL公演をもって活動休止することが決まっていますが、その事実と歌詞の内容をリンクさせて捉える人はいるでしょうね。作詞作曲を手がけたのが、「あなたにANTHEM」「ココロカラ」などの最初期曲からデビアンに関わり続けているIMAKISASAさんであることも、楽曲の意味合いを強くしていると思います。

くるみ IMAKIさんはデビアンの歴史、いやアイドル業界に欠かせない方です。えびちゅう(私立恵比寿中学)さんやFES☆TIVEさんの楽曲を聴いていて「この曲すごくいいな」と思ったら、IMAKIさんの提供曲だったりしますし。ほとんどお会いしたことがないんですけど。

 レコーディングの現場で1回お会いしたことがあるだけだよね。優しい方という印象があります。

安藤楓

安藤楓

くるみ デビアンの新曲に関しては、クレジットを見る前にIMAKIさんが書いた曲だとわかります。デビアンのことをずっと見てくれているのかなと思うとうれしいですし、IMAKIさんにずっと曲を書いてもらえているのは大きな強みですね。

「余裕で勝利するから そこで見ていてよ」

──アルバムの2曲目に収録される新曲「FACT」は、IMAKIさん同様にデビアンの多くの楽曲に関わっている山下智輝さんの提供曲です。疾走感あふれる曲調が印象的で、これもすぐにライブの人気曲になりそうです。

くるみ 私、山下さんが楽曲プロデュースを手がけていたnanoCUNE(2023年12月に解散した愛媛発のアイドルグループ)さんが大好きで。対バンしたこともあるし、nanoCUNEさんの体制が変わっていくところもずっと見ていたし、今も曲をたくさん聴くくらい憧れのアイドルさんなんです。そんな中、「FACT」のデモを聴いたときにnanoCUNEっぽさを感じられてテンションが上がりました。デビアンの楽曲の中でも、自分の好みに一番近いかもしれないです。デビアンって初期の頃はコミカルな曲が多かったし、中期以降の楽曲の「Club City」や「STARLIGHT CIRCUS」はちょっと現実味がないというか、どこかファンタジーっぽいところが感じられたんですけど、最近はこういうストレートな楽曲を歌えるようになってきていて。その事実もうれしかったですし、「FACT」は今のデビアンのイメージに一番近い曲だと思います。

竹越くるみ

竹越くるみ

──メンバーが成長して大人になったことで、歌に説得力が出てきたのかもしれないですね。

あいり 最近は私たちが先陣を切るようなライブができるようになったと感じていて。昔はお客さんに飲み込まれないようにしながらライブをしていたし、ファンの方たちの盛り上がり次第で私たちのパフォーマンスの出来が決まっちゃう時期もあったんです。でも最近は「FACT」のような、私たちがファンの方たちに向けて思いを伝える楽曲をしっかり歌えているという実感があります。それもメンバー個々の力がすごい伸びているからだと思っていて。楓ちゃんのパートの落ちサビは語りかけるような、ファンの方を包み込むような歌になっていますし、そのあとの瞳のパートは空気をぱっと明るく変えるような雰囲気がありますし、それぞれのキャラが立ったことで、歌の色の変える表現の仕方ができるようになった気がします。メンバー1人ひとりの強さを表現できているので、この曲を自信満々に歌うことができますね。

竹本あいり

竹本あいり

 楓ちゃんが歌っている「余裕で勝利するから そこで見ていてよ」という落ちサビの歌詞からは、デビアンはこの5人が集まることでどんな高い壁も乗り越えてきたんだ、という自信が感じられると思います。ここまでの道のりは決して余裕ではなかったですけど(笑)、「安心して見ていてね」とファンの皆さんには伝えたいです。ファンの方って私たちのことを私たち以上に心配してくれるんですよ。今年の1月に活動休止を発表してから、私たちの一挙手一投足で深読みさせてしまったり、いろいろな感情にさせてしまっていますが、この曲を聴いて安心させたいです。ついてきてくれれば、私たちはそれだけでうれしいし、この先もがんばっていけるので。

水野瞳

水野瞳

──続いて3つ目の新曲「ちょまっ!」の話に移りますが、この曲は5月に配信リリースされ、すでにライブで何回も披露されています。“限られた時間”をテーマに、今を全力で走るグループの心情がダンサブルなサウンドで表現されていますね。

 ライブでは、サビの「ちょっと待って」の部分でファンの方が振りを真似してくれるんです。まだ披露し始めて間もないのに、たくさんの人に曲が浸透しているのがうれしいです。この夏に大きく成長した曲だと思います。

あいり 「ちょっと待って 時よ まだ行かないで」って、活動休止を発表した私たちが歌っているのがコミカルなところなのかと思います(笑)。ファンの方たちからしたら、「自分たちがメンバーに対して『ちょっと待って』って思ってるのに!」って感じかも。